法人税の中間申告と適格の吸収合併があった場合


今回は、法人税の中間申告と適格の吸収合併があった場合を確認してみましょう。

中間申告があった場合

今回確認する規定は、こちらです。

第七十一条 内国法人である普通法人(清算中のものにあつては、通算子法人に限る。次条及び第七十二条第一項(仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等)において同じ。)は、その事業年度(新たに設立された内国法人である普通法人のうち適格合併(被合併法人の全てが収益事業を行つていない公益法人等であるものを除く。次項及び第三項において同じ。)により設立されたもの以外のものの設立後最初の事業年度、公共法人又は収益事業を行つていない公益法人等が普通法人に該当することとなつた場合のその該当することとなつた日の属する事業年度及び当該普通法人が通算子法人である場合において第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認の効力が生じた日が同日の属する当該普通法人に係る通算親法人の事業年度(以下この項において「通算親法人事業年度」という。)開始の日以後六月を経過した日以後であるときのその効力が生じた日の属する事業年度を除く。第七十二条第一項において同じ。)が六月を超える場合(当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度が六月を超え、かつ、当該通算親法人事業年度開始の日以後六月を経過した日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係がある場合)には、当該事業年度(当該普通法人が通算子法人である場合には、当該事業年度開始の日の属する通算親法人事業年度)開始の日以後六月を経過した日(以下この条において「六月経過日」という。)から二月以内に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。ただし、第一号に掲げる金額が十万円以下である場合若しくは当該金額がない場合又は当該普通法人と通算親法人である協同組合等との間に通算完全支配関係がある場合は、当該申告書を提出することを要しない。

一 当該事業年度の前事業年度の法人税額(確定申告書に記載すべき第七十四条第一項第二号(確定申告)に掲げる金額(第六十九条第十九項(外国税額の控除)の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。次項第一号及び第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したものを当該前事業年度の月数で除し、これに当該事業年度開始の日から当該前日までの期間(次項第一号及び第三項において「中間期間」という。)の月数を乗じて計算した金額

二 前号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

法人税法第71条第1項、令和7年6月20日施行

カッコ書きを省略してみましょう。

第七十一条 内国法人である普通法人(注1)は、その事業年度(注2)が六月を超える場合(注3)には、当該事業年度(注4)開始の日以後六月を経過した日(注5)から二月以内に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。ただし、第一号に掲げる金額が十万円以下である場合若しくは当該金額がない場合又は当該普通法人と通算親法人である協同組合等との間に通算完全支配関係がある場合は、当該申告書を提出することを要しない。

一 当該事業年度の前事業年度の法人税額(注6)で六月経過日の前日までに確定したものを当該前事業年度の月数で除し、これに当該事業年度開始の日から当該前日までの期間(注7)の月数を乗じて計算した金額

二 前号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

事業年度が6月を超える場合には、
その事業年度が開始する日以後6月を経過した日(6月経過日)から
2月以内に、中間申告書を提出する必要があります。

例えば、3月末決算の場合は、
・事業年度が開始する日 4/1
・以後6月を経過した日(6月経過日) 10/1
・2月以内 11/30
が中間申告の期限となります。

適格の吸収合併の場合

今回確認する規定は、こちらです。

2 前項の場合において、同項の普通法人が次の各号に掲げる期間内に行われた適格合併(法人を設立するものを除く。以下この項において同じ。)に係る合併法人であるときは、その普通法人が提出すべき当該事業年度の中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。

一 当該事業年度の前事業年度 当該普通法人の当該事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度(その月数が六月に満たないものを除く。)の法人税額(第六十九条第二十三項において準用する同条第十九項の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額。第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい事業年度に係るもの(次号及び次項において「被合併法人確定法人税額」という。)をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該普通法人の当該前事業年度の月数のうちに占める当該前事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額

二 当該事業年度開始の日から六月経過日の前日までの期間 当該適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該適格合併の日から六月経過日の前日までの期間の月数を乗じて計算した金額

法人税法第71条第2項、令和7年6月20日施行

カッコ書きを省略してみましょう。

2 前項の場合において、同項の普通法人が次の各号に掲げる期間内に行われた適格合併(注1)に係る合併法人であるときは、その普通法人が提出すべき当該事業年度の中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。

一 当該事業年度の前事業年度 当該普通法人の当該事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度(注2)の法人税額(注3)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい事業年度に係るもの(注4)をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該普通法人の当該前事業年度の月数のうちに占める当該前事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額

二 当該事業年度開始の日から六月経過日の前日までの期間 当該適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該適格合併の日から六月経過日の前日までの期間の月数を乗じて計算した金額

次の各号に掲げる期間は、2つです。
第1号、前事業年度
第2号、事業年度が開始する日から6月経過日の前日までの期間

「適格合併(法人を設立するものを除く。」とあるため、
第2項は、適格要件を満たす吸収合併の規定です。

「合併法人であるときは、」とあるため、被合併法人には関係ありません。

その普通法人が提出すべき当該事業年度の中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。

「前項第1号に掲げる金額」は、これ↓です。

一 当該事業年度の前事業年度の法人税額(確定申告書に記載すべき第七十四条第一項第二号(確定申告)に掲げる金額(第六十九条第十九項(外国税額の控除)の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。次項第一号及び第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したものを当該前事業年度の月数で除し、これに当該事業年度開始の日から当該前日までの期間(次項第一号及び第三項において「中間期間」という。)の月数を乗じて計算した金額

同号(第1号、これ↑)の規定に関係なく、
同号(第1号)の規定により計算した金額に相当する金額に
「当該各号に定める金額」を加算する必要があります。

当該各号は、2つです。
第1号、前事業年度
第2号、事業年度が開始する日から6月経過日の前日までの期間

前期合併の場合

第1号の前期に合併があった場合の規定を確認してみましょう。

一 当該事業年度の前事業年度 当該普通法人の当該事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度(その月数が六月に満たないものを除く。)の法人税額(第六十九条第二十三項において準用する同条第十九項の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額。第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい事業年度に係るもの(次号及び次項において「被合併法人確定法人税額」という。)をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該普通法人の当該前事業年度の月数のうちに占める当該前事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額

算式に変えてみましょう。

1、被合併法人確定法人税額÷その計算の基礎となつた被合併法人の事業年度の月数

2、1×普通法人の前事業年度の月数のうちに占める前事業年度開始の日から適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額

数字を使ってみましょう。

1、被合併法人確定法人税額(1200)÷その計算の基礎となつた被合併法人の事業年度の月数(12月)=100

2、1(100)×普通法人の前事業年度の月数(12月)のうちに占める前事業年度開始の日(1/1)から適格合併の日(10/1)の前日(9/30)までの期間の月数(9月)の割合に中間期間の月数(6月)を乗じた数(9÷12×6=4.5)を乗じて計算した金額

100×4.5=450

当期合併の場合

第2号の当期に合併があった場合の規定を確認してみましょう。

二 当該事業年度開始の日から六月経過日の前日までの期間 当該適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額をその計算の基礎となつた当該被合併法人の事業年度の月数で除し、これに当該適格合併の日から六月経過日の前日までの期間の月数を乗じて計算した金額

事業年度開始の日以後6月を経過した日を「6月経過日」といいます。
事業年度の開始する日が4/1の場合、
以後6月を経過した日は、10/1となります。

「6月経過日の前日までの期間」とあるため、
6月経過日(10/1)の前日(9/30)までの期間(上半期)が対象となります。

計算規定については、算式に変えてみましょう。

1、適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額÷その計算の基礎となつた被合併法人の事業年度の月数

2、1×適格合併の日から6月経過日の前日までの期間の月数

数字を使ってみましょう。

1、適格合併に係る被合併法人の被合併法人確定法人税額(700)÷その計算の基礎となつた被合併法人の事業年度の月数(7月)=700÷7=100

2、1(100)×適格合併の日(7/1)から6月経過日(10/1)の前日(9/30)までの期間の月数(3月)

100×3月=300

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