法人税の事業年度の意義


今回は、法人税の事業年度の意義を確認します。

規定の全体像

確認する規定は次の3つです。

  1. 事業年度の定義
  2. 会計期間の届出義務
  3. 会計期間の届出をしなかった場合
事業年度の意義(法法13①)

法人については、一定の期間を区切って損益計算や財産の残高を確認します。この期間を「会計期間」といいます。事業年度と会計期間は同じではありません。

この会計期間について、法令や定款等に定めるものを「事業年度」といいます。法令や定款等で会計期間を定めていない場合は、原則として事業年度がないこととなります。

例外として、会計期間が1年を超える場合は、
会計期間開始の日から1年ごとに期間を区切ります。

仮に、会計期間が4月1日から翌年9月30日までの場合は、
4月1日から3月31日までの会計期間と
翌年4月1日から翌年9月30日までの会計期間が発生します。

会計期間の届出義務(法法13②)

法令等に会計期間の定めがない場合には、
自分で設立の日(注)から2月以内に会計期間を
税務署長に届け出る必要があります。

(注)公益法人等、人格のない社団等については、設立の日ではなく、収益事業(法人税がかかる所得が発生する事業)を開始した日、収益事業を行っていない公益法人等が普通法人等になった場合は、普通法人等に該当した日となります。

参考通達、法人税基本通達

(設立第1回事業年度の開始の日)
1-2-1 法人の設立後最初の事業年度の開始の日は、法人の設立の日による。この場合において、設立の日は、設立の登記により成立する法人にあっては設立の登記をした日、行政官庁の認可又は許可によって成立する法人にあってはその認可又は許可の日とする。

法人税基本通達
会計期間の届出をしなかった場合(法法13③④)

会計期間を届け出ない場合は、税務署長が会計期間を指定します。会計期間を定めないと法人税が計算できないからです。会計期間が指定されたときは、書面により通知が届きます。

人格のない社団等が会計期間を届け出ない場合は、自動的にその年1月1日から12月31日までの期間が会計期間となります。収益事業を開始した年については、開始した日から12月31日までの期間が会計期間となります。税務署長の指定ではないため、通知はありません。

消費税法との関係

消費税の計算期間は「課税期間」といいます。
原則として、課税期間は法人の「事業年度」と同じです。

消費税法の事業年度は、法人税法13条(今回確認した規定)と14条(事業年度の特例)に規定する事業年度となりますが、特殊な法人などについては別途規定が設けられています。

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

十三 事業年度 法人税法第十三条及び第十四条(事業年度)に規定する事業年度(国、地方公共団体その他これらの条の規定の適用を受けない法人については、政令で定める一定の期間)をいう。

消費税法
参考規定

(事業年度の意義)
第十三条 この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。

2 法令及び定款等に会計期間の定めがない法人は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める日以後二月以内に、会計期間を定めてこれを納税地の所轄税務署長に届け出なければならない。
一 内国法人 設立の日(公益法人等又は人格のない社団等については収益事業を開始した日とし、公益法人等(収益事業を行つていないものに限る。)に該当していた普通法人又は協同組合等については当該普通法人又は協同組合等に該当することとなつた日とする。)
二 外国法人 恒久的施設を有する外国法人になつた日又は恒久的施設を有しないで第百三十八条第一項第四号(国内源泉所得)に規定する事業を国内において開始し、若しくは第百四十一条第二号(課税標準)に定める国内源泉所得で同項第四号に掲げる対価以外のものを有することとなつた日(人格のない社団等については、同条各号に掲げる外国法人の区分に応じ当該各号に定める国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなつた日)

3 前項の規定による届出をすべき法人(人格のない社団等を除く。)がその届出をしない場合には、納税地の所轄税務署長は、その会計期間を指定し、当該法人に対し、書面によりその旨を通知する。

4 第二項の規定による届出をすべき人格のない社団等がその届出をしない場合には、その人格のない社団等の会計期間は、その年の一月一日(同項第一号に規定する収益事業を開始した日又は同項第二号に規定する国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなつた日の属する年については、これらの日)から十二月三十一日までの期間とする。

法人税法

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