法人税の事業年度の特例_グループ通算制度_親法人の申請特例年度について通算承認を受けなかった場合等


今回は、グループ通算制度に関する事業年度の特例のうち、
親法人の申請特例年度について通算承認を受けなかった場合と
開始・加入時価評価法人の取扱いを確認します。

親法人の申請特例年度について通算承認を受けなかった場合と
開始(加入)時価評価法人の取扱い(法人税法14条6項)

2パターンあります。

  • 親法人の申請特例年度について、子法人が通算承認を受けなかった場合
  • 子法人が法法64条の9第10項1号(開始時価評価法人)又は
    第12項1号(加入時価評価法人)の法人に該当する場合

1、2の子法人の開始する事業年度は、
申請特例年度終了の日(注1、終了等の日)に終了し、
終了日の翌日から事業年度がスタートします。

注1、合併解散、残余財産の確定があった場合は一定の日

開始時価評価法人・加入時価評価法人については、
申請特例年度終了の日までが単体納税、
申請特例年度終了の日の翌日から通算納税という仕組みなのでしょう。

参考規定

5 次の各号に掲げる内国法人の事業年度は、当該各号に定める日の前日に終了し、これに続く事業年度は、当該各号に定める日から開始するものとする。
一 親法人(第六十四条の九第一項に規定する親法人をいう。以下この条において同じ。)の申請特例年度第六十四条の九第九項に規定する申請特例年度をいう。以下この条において同じ。)開始の時に当該親法人との間に完全支配関係がある内国法人 その申請特例年度開始の日
二 親法人の申請特例年度の期間内に当該親法人との間に当該親法人による完全支配関係を有することとなつた内国法人 その有することとなつた日

法人税法14条、事業年度の特例

6 前項の場合において、同項各号に掲げる内国法人が第六十四条の九第一項の規定による承認を受けなかつたとき、又は前項各号に掲げる内国法人が同条第十項第一号若しくは第十二項第一号に掲げる法人に該当するときは、これらの内国法人の前項各号に定める日から開始する事業年度は、申請特例年度終了の日(同日前にこれらの内国法人の合併による解散又は残余財産の確定により当該各号の親法人との間に完全支配関係を有しなくなつた場合(以下この項において「合併による解散等の場合」という。)には、その有しなくなつた日の前日。次項において「終了等の日」という。)に終了し、これに続く事業年度は、合併による解散等の場合を除き、当該申請特例年度終了の日の翌日から開始するものとする。

法人税法14条、事業年度の特例
開始時価評価法人(法法64条の9第10項1号の法人)

子法人が通算承認を受けた場合には、
その通算承認は、法法64条の9第6項に関係なく、
次の区分に応じ次の日から、その効力が生じます。

1号、開始時価評価法人(他の内国法人)、開始時価評価法人(他の内国法人)が発行済株式等を直接間接に保有する第2項に規定する他の内国法人(100%孫法人)については、申請特例年度終了の日の翌日に通算承認の効力が発生します。

2号、1項の親法人と2項の子法人のうち、1号の法人に該当しない法人については、申請特例年度開始の日に通算承認の効力が発生します。

通算承認の効力が発生するタイミングが変わります。
法法14条第6項の対象は上記1号(開始時価評価法人など)のみです。

参考規定

10 第七項の規定の適用を受けて行つた第二項の申請につき通算承認を受けた場合には、その通算承認は、第六項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める日から、その効力を生ずる。
一 申請特例年度開始の日の前日の属する事業年度終了の時に第六十四条の十一第一項に規定する時価評価資産その他の政令で定めるものを有する第二項に規定する他の内国法人(同条第一項第二号に掲げるものを除く。以下この号において「時価評価法人」という。)及び当該時価評価法人が発行済株式又は出資を直接又は間接に保有する第二項に規定する他の内国法人 当該申請特例年度終了の日の翌日
二 第一項に規定する親法人及び第二項に規定する他の内国法人のうち、前号に掲げる法人以外の法人 申請特例年度開始の日

法人税法64条の9、通算承認
加入時価評価法人(法法64条の9第12項1号の法人)

子法人が申請特例年度において、
親法人との間に100%支配関係が生じた場合(注1)には、

11項に関係なく、次の法人の区分に応じ次の日において
その通算承認があったものとみなされます。
この場合において、その通算承認はそれぞれ定める日から
その効力が発生します。

注1、法法14条8項(2号限定)の適用がある場合を除く。
(法法14条8項は決算日の特例に関する規定)

1号、加入時価評価法人(他の内国法人)、加入時価評価法人・開始時価評価法人(他の内国法人)が発行済株式等を直接間接に保有する第2項に規定する他の内国法人(100%孫法人)については、申請特例年度終了の日の翌日(注2)に通算承認の効力が発生します。

注2、決算日の特例に関する規定の適用がある場合は一定の日。

1号と2号で、通算承認の効力が発生するタイミングが変わります。
法法14条第6項の対象は上記1号(加入時価評価法人など)のみです。

参考規定

12 第二項に規定する他の内国法人が申請特例年度において第七項の規定の適用を受けて通算承認を受ける第一項に規定する親法人との間に当該親法人による完全支配関係を有することとなつた場合(第十四条第八項(第二号に係る部分に限る。)の規定の適用を受ける場合を除く。)には、前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める日においてその通算承認があつたものとみなす。この場合において、その通算承認は、当該各号に定める日から、その効力を生ずるものとする。

一 当該完全支配関係を有することとなつた日の前日の属する事業年度終了の時に第六十四条の十二第一項通算制度への加入に伴う資産の時価評価損益)に規定する時価評価資産その他の政令で定めるものを有する当該他の内国法人(同項各号に掲げるものを除く。以下この号において「時価評価法人」という。)及び当該時価評価法人又は第十項第一号に規定する時価評価法人が発行済株式又は出資を直接又は間接に保有する第二項に規定する他の内国法人 当該申請特例年度終了の日の翌日第十四条第八項の規定の適用を受ける場合にあつては、当該翌日と当該前日の属する同項第一号に規定する特例決算期間の末日の翌日とのうちいずれか遅い日)

二 第二項に規定する他の内国法人のうち、前号に掲げる法人以外の法人 当該完全支配関係を有することとなつた日(第十四条第八項の規定の適用を受ける場合にあつては、同日の前日の属する同項第一号に規定する特例決算期間の末日の翌日)

法人税法64条の9、通算承認
通算子法人は原則の事業年度の取扱いをしない(法人税法14条7項)

通算子法人の期間(注1)については、13条1項(事業年度の意義)と
14条(事業年度の特例)1項(一般の取扱い)の規定は適用されません。

注1、法法14条第5項各号の法人(注2)の
その各号に定める日から終了等の日までの期間を含む。

注2、法法14条第5項各号の法人
1、親法人の申請特例年度開始時に100%支配関係がある法人(子法人)
2、親法人の申請特例年度の期間内に100%支配関係が発生する法人(子法人)

上記2つの法人については、通算子法人ではないため、
その各号に定める日から終了等の日までの期間
通算子法人に該当する期間に含めています。

通算制度関係に該当する法人については、
原則的な取扱いではなく、例外的な取扱いを確認する必要があります。

参考規定

7 内国法人の通算子法人に該当する期間(第五項各号に掲げる内国法人の当該各号に定める日から終了等の日までの期間を含む。については、前条第一項及び第一項の規定は、適用しない。

法人税法14条、事業年度の特例

(事業年度の意義)
第十三条 この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。

法人税法

(事業年度の特例)
第十四条 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、その事実が生じた法人の事業年度は、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に終了し、これに続く事業年度は、第二号又は第五号に掲げる事実が生じた場合を除き、同日の翌日から開始するものとする。
一 内国法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をしたこと その解散の日
二 法人が事業年度の中途において合併により解散したこと その合併の日の前日
三 内国法人である公益法人等又は人格のない社団等が事業年度の中途において新たに収益事業を開始したこと(人格のない社団等にあつては、前条第四項に規定する場合に該当する場合を除く。) その開始した日の前日
四 公益法人等が事業年度の中途において普通法人若しくは協同組合等に該当することとなつたこと又は普通法人若しくは協同組合等が事業年度の中途において公益法人等に該当することとなつたこと その事実が生じた日の前日
五 清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定したこと その残余財産の確定の日
六 清算中の内国法人が事業年度の中途において継続したこと その継続の日の前日
七 恒久的施設を有しない外国法人が事業年度の中途において恒久的施設を有することとなつたこと その有することとなつた日の前日
八 恒久的施設を有する外国法人が事業年度の中途において恒久的施設を有しないこととなつたこと その有しないこととなつた日
九 恒久的施設を有しない外国法人が、事業年度の中途において、国内において新たに第百三十八条第一項第四号(国内源泉所得)に規定する事業を開始し、又は当該事業を廃止したこと 当該事業の開始の日の前日又は当該事業の廃止の日

法人税法
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