法人税の事業年度の特例_グループ通算制度_通算子法人の特例等


今回は、グループ通算制度に関する事業年度の特例のうち、
通算子法人の特例等を確認します。

通算親法人でなくなった場合の事業年度の特例(法人税法14条2項)

通算親法人について一定の事由(注1)により
通算承認の効力がなくなった場合には、

通算親法人だった法人の事業年度は、事業年度の取扱いに関係なく、
その効力を失った日の前日に終了し、
その効力を失った日から新たな事業年度が開始します。

10/1に効力がなくなった場合は、
9/30(前日)で事業年度が終了し、10/1から事業年度がスタートします。

(注1)
一定の事由は、法法64条の10第5項と第6項(3号、4号、7号)です。

  • 5項は、青色申告の承認が取り消された場合
  • 6項3号は、通算親法人が普通法人に100%支配された場合
  • 6項4号は、通算親法人が公益法人等に100%支配されている場合に、その公益法人等が普通法人などに該当するケース
  • 6項7号は、通算子法人の解散などにより、通算法人グループが通算親法人単独になった場合

参考規定、通算制度の取りやめ等

(通算制度の取りやめ等)
5 通算法人が第百二十七条第二項(青色申告の承認の取消し)の規定による通知を受けた場合には、当該通算法人については、通算承認は、その通知を受けた日から、その効力を失うものとする。

6 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、通算法人(第一号から第四号までにあつてはこれらの号に規定する通算親法人及び他の通算法人の全てとし、第五号及び第六号にあつてはこれらの号に規定する通算子法人とし、第七号にあつては同号に規定する通算親法人とする。)については、通算承認は、当該各号に定める日から、その効力を失うものとする。

一 通算親法人の解散 その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)

二 通算親法人が公益法人等に該当することとなつたこと その該当することとなつた日

三 通算親法人と内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係が生じたこと その生じた日

四 通算親法人と内国法人(公益法人等に限る。)との間に当該内国法人による完全支配関係がある場合において、当該内国法人が普通法人又は協同組合等に該当することとなつたこと その該当することとなつた日


五 通算子法人の解散(合併又は破産手続開始の決定による解散に限る。)又は残余財産の確定 その解散の日の翌日(合併による解散の場合には、その合併の日)又はその残余財産の確定の日の翌日

六 通算子法人が通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなつたこと(前各号に掲げる事実に基因するものを除く。) その有しなくなつた日

七 前二号に掲げる事実又は通算子法人について前項の規定により通算承認が効力を失つたことに基因して通算法人が通算親法人のみとなつたこと そのなつた日

法人税法64条の10、通算制度の取りやめ等

上記6項のカッコ書きについて
通算法人グループは、1号から4号までは親子両方、
5号と6号は子のみ、7号は親のみに限定されます。

参考規定、通算親法人でなくなった場合の事業年度の特例

2 通算親法人について第六十四条の十第五項又は第六項(第三号、第四号又は第七号に係る部分に限る。)(通算制度の取りやめ等)の規定により第六十四条の九第一項(通算承認)の規定による承認が効力を失つた場合には、当該通算親法人であつた内国法人の事業年度は、前条第一項の規定にかかわらず、その効力を失つた日の前日に終了し、これに続く事業年度は、当該効力を失つた日から開始するものとする。

法人税法14条、事業年度の特例
通算子法人の事業年度の特例(法人税法14条3項)

通算子法人と通算親法人の事業年度がずれている場合、
通算法人の事業年度が基準となります。

通算親法人の事業年度が始まった時に100%支配関係がある場合、
通算子法人の事業年度は通算親法人の事業年度と一緒にスタートします。

通算親法人の事業年度が終わった時に100%支配関係がある場合、
通算子法人の事業年度は通算親法人の事業年度と一緒に終わります。

3 通算子法人で当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度開始の時に当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものの事業年度は、当該開始の日に開始するものとし、通算子法人で当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の時に当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものの事業年度は、当該終了の日に終了するものとする。

法人税法14条、事業年度の特例
100%支配関係が発生、解消した場合の事業年度の特例(法人税法14条4項)

2パターンあります。

1、100%支配関係が発生した場合

法人が通算親法人に100%支配されたとき(注1)は、
その法人の事業年度はその支配日の前日に終了し、
その支配日から事業年度がスタートします。

2、100%支配関係が解消した場合

法人が通算親法人に100%支配されなくなったときは、
その法人の事業年度はその支配されなくなった日の前日に終了し、
その支配されなくなった日から事業年度が新たにスタートします。
ただし、合併解散と残余財産が確定した場合は事業年度がスタートしません。

4 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、その事実が生じた内国法人の事業年度は、当該各号に定める日の前日に終了し、これに続く事業年度は、第二号の内国法人の合併による解散又は残余財産の確定に基因して同号に掲げる事実が生じた場合を除き、当該各号に定める日から開始するものとする。
一 内国法人が通算親法人との間に当該通算親法人による完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この条において同じ。)を有することとなつたこと その有することとなつた日
二 内国法人が通算親法人との間に当該通算親法人による通算完全支配関係を有しなくなつたこと その有しなくなつた日

法人税法14条、事業年度の特例

注1、100%支配関係は「政令で定める関係に限る。」とあります。

完全支配関係(第三号から第十号までに掲げる法人及び外国法人が介在しないものとして政令で定める関係に限る。以下この目において同じ。)

法人税法64条の9、一部引用

政令で定める関係を確認します。

3号から10号までの法人と外国法人が、介在しないものとして政令で定める関係

2 法第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係は、第四条の二第二項(支配関係及び完全支配関係)中「一の者(その者が個人である場合には、その者及びこれと前条第一項に規定する特殊の関係のある個人)が法人」とあるのを「内国法人が他の内国法人(法第六十四条の九第一項第三号から第十号まで(通算承認)に掲げる法人を除く。)」と、「当該一の者」とあるのを「当該内国法人」と、「法人と」とあるのを「他の内国法人と」と、「二以上の法人が他の法人」とあるのを「二以上の法人が他の内国法人(法第六十四条の九第一項第三号から第十号までに掲げる法人を除く。)」と、「当該他の法人」とあるのを「当該他の内国法人」と、同項各号中「当該法人」とあるのを「当該他の内国法人」と読み替えた場合に完全支配関係に該当する関係とする。

法人税法施行令、131条の11

読み替えた場合に完全支配関係に該当すれば、
事業年度の特例が適用され、事業年度が替わります。

完全支配関係については、外国法人が含まれることがありますが、
グループ通算制度は外国法人を含まないため、
「内国法人」に読み替えています。

2 法第二条第十二号の七の六に規定する政令で定める関係は、内国法人が他の内国法人(法第六十四条の九第一項第三号から第十号まで(通算承認)に掲げる法人を除く。)の発行済株式等(発行済株式(自己が有する自己の株式を除く。)の総数のうちに次に掲げる株式の数を合計した数の占める割合が百分の五に満たない場合の当該株式を除く。以下この項において同じ。)の全部を保有する場合における当該内国法人と当該他の内国法人との間の関係(以下この項において「直接完全支配関係」という。)とする。この場合において、当該一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又は当該一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の内国法人(法第六十四条の九第一項第三号から第十号までに掲げる法人を除く。)の発行済株式等の全部を保有するときは、当該一の者は当該他の内国法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなす。

一 当該他の内国法人の使用人が組合員となつている民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項(組合契約)に規定する組合契約当該他の内国法人の発行する株式を取得することを主たる目的とするものに限る。)による組合(組合員となる者が当該使用人に限られているものに限る。)の当該主たる目的に従つて取得された当該他の内国法人の株式

二 会社法(平成十七年法律第八十六号)第二百三十八条第二項(募集事項の決定)の決議(同法第二百三十九条第一項(募集事項の決定の委任)の決議による委任に基づく同項に規定する募集事項の決定及び同法第二百四十条第一項(公開会社における募集事項の決定の特則)の規定による取締役会の決議を含む。)により当該他の内国法人の役員又は使用人(当該役員又は使用人であつた者及び当該者の相続人を含む。以下この号において「役員等」という。)に付与された新株予約権(次に掲げる権利を含む。)の行使によつて取得された当該他の内国法人の株式(当該役員等が有するものに限る。)
イ 商法等の一部を改正する等の法律(平成十三年法律第七十九号)第一条(商法の一部改正)の規定による改正前の商法(明治三十二年法律第四十八号)第二百十条ノ二第二項(取締役又は使用人に譲渡するための自己株式の取得)の決議により当該他の内国法人の役員等に付与された同項第三号に規定する権利
ロ 商法等の一部を改正する法律(平成十三年法律第百二十八号)第一条(商法の一部改正)の規定による改正前の商法第二百八十条ノ十九第二項(取締役又は使用人に対する新株引受権の付与)の決議により当該他の内国法人の役員等に付与された同項に規定する新株の引受権
ハ 会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七号)第六十四条(商法の一部改正)の規定による改正前の商法第二百八十条ノ二十一第一項(新株予約権の有利発行の決議)の決議により当該他の内国法人の役員等に付与された新株予約権

法人税法施行令4条の2、支配関係及び完全支配関係

政令で定める関係は、内国法人が他の内国法人(注1)の発行済株式等(注2)の全部を保有する場合におけるその内国法人とその他の内国法人との間の関係(直接完全支配関係)をいいます。

注1、法法64条の9第1項第3号から第10号までの法人を除く。

下記3号~10号までの法人については、他の内国法人に含まれません。
仮に100%の支配関係であったとしても事業年度は変更されません。

一 清算中の法人
二 普通法人(外国法人を除く。)又は協同組合等との間に当該普通法人又は協同組合等による完全支配関係がある法人

三 次条第一項の承認を受けた法人でその承認を受けた日の属する事業年度終了の日の翌日から同日以後五年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないもの
四 第百二十七条第二項(青色申告の承認の取消し)の規定による通知を受けた法人でその通知を受けた日から同日以後五年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないもの
五 第百二十八条(青色申告の取りやめ)に規定する届出書の提出をした法人でその届出書を提出した日から同日以後一年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないもの
六 投資法人
七 特定目的会社
八 普通法人以外の法人
九 破産手続開始の決定を受けた法人
十 その他政令で定める法人

法人税法64条の9、通算承認、箇条書き部分

注2、一定の場合に5%未満であれば、発行済株式等から除外して判定します。

例えば、100株発行、一定の場合に該当する株式が4株(5%未満)の場合、
100株-4株=96株となり、96株の全部を所有しているかどうかで判定します。

3号から10号までの法人と外国法人が介在しないものとして政令で定める関係(後段)

後段を確認します。

この場合において、当該一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人又は当該一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人が他の内国法人(注3)の発行済株式等の全部を保有するときは、当該一の者は当該他の内国法人の発行済株式等の全部を保有するものとみなします。

注3、法法64条の9第1項第3号から第10号までの法人を除く。
注1の法人と同じです。「注1の他の内国法人」と「注3の他の内国法人」は別の法人なので、このような規定になっているのでしょう。

「又は」の前後は、

「当該一の者及びこれとの間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人」

又は

「当該一の者との間に直接完全支配関係がある一若しくは二以上の法人」

が他の内国法人(注3)~と読みます。

具体例

関係図で確認します。

通算親法人(当該一の者)
 ↓
 ↓ 100%
 ↓
通算子法人A、通算子法人B(1若しくは2以上の法人)
 =当該一の者との間に直接完全支配関係がある1若しくは2以上の法人
 ↓
 ↓ 100%
 ↓
他の内国法人C(注3)

仮に、通算子法人Aか通算子法人Bが他の内国法人CをR4/11/1に100%支配した場合、通算親法人(当該一の者)が他の内国法人Cを直接100%支配しているものとみなすため、他の内国法人Cの事業年度は、その支配日の前日(R4/10/31)に終わります。

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