今回は、法人税の経過リース資産の償却限度額の特例を確認してみましょう。
償却限度額の特例
法人税では、経費(損金)となる減価償却費ではなく、償却限度額の計算方法が規定されています。
会計上の減価償却費が償却限度額を超えている場合は、償却限度額が経費(損金)となります。反対に会計上の減価償却費が償却限度額を超えていない場合は、会計上の減価償却費がそのまま経費(損金)となります。
この償却限度額の計算には特例があり、この特例を適用しますと有形の減価償却資産については、簿価が1円残ります。
令和7年度改正の経過措置の「経過リース資産」については、どうなるでしょうか? 経過措置を確認してみましょう。
経過措置はこちら↓
7 第二項本文の規定の適用を受けている経過リース資産に係る新令第六十一条第一項の規定の適用については、同項第二号に規定する償却の方法には経過リース期間定額法を含むものとし、同号ハに掲げる減価償却資産には当該経過リース資産を含まないものとする。
法人税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二一号)抄第7条第7項
新令第61条第1項の規定は、上記で確認した償却限度額の特例のことです。
同項(第61条第1項)第2号は、平成19年4月1日以後に取得された減価償却資産が規定されています。
第61条第1項第2号の償却方法は、次の5つです。
・定額法
・定率法
・生産高比例法
・リース期間定額法
・減価償却資産の特別な償却の方法
経過措置により、経過リース期間定額法が含まれます。
同号(第61条第1項第2号)ハを確認してみましょう。
ハ 第四十八条の二第一項第六号に掲げる減価償却資産(当該減価償却資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和九年三月三十一日以前に締結されたものに限る。) その取得価額から当該減価償却資産に係る同条第五項第六号に規定する残価保証額を控除した金額に相当する金額
残価保証額がある場合は、残価保証額を残して減価償却費を計算する必要があります。
第48条の2第1項は選定できる償却方法、第6号はリース資産が規定されています。
六 リース資産 リース期間定額法(当該リース資産の取得価額(当該リース資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和九年三月三十一日以前に締結されたものの取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除した金額)を当該リース資産のリース期間(当該リース資産がリース期間の中途において適格合併、適格分割又は適格現物出資以外の事由により移転を受けたものである場合には、当該移転の日以後の期間に限る。)の月数で除して計算した金額に当該事業年度における当該リース期間の月数を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいう。第七目において同じ。)
リース資産には、経過リース資産が含まれません。
まとめ
1、経過リース期間定額法は、新しい償却方法なので償却方法に含めます。
2、経過リース資産は、リース資産と区別する必要があるため含めません。
参考規定
減価償却資産の償却累積額による償却限度額の特例
第六十一条 内国法人がその有する次の各号に掲げる減価償却資産につき当該事業年度の前事業年度までの各事業年度においてした償却の額(当該前事業年度までの各事業年度において第四十八条第五項第三号(減価償却資産の償却の方法)に規定する評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が減額された場合には当該帳簿価額が減額された金額を含むものとし、各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されたものに限る。次項及び次条第一項において同じ。)の累積額(当該事業年度において第四十八条第五項第四号に規定する期中評価換え等が行われたことによりその帳簿価額が減額された場合には、当該帳簿価額が減額された金額を含む。次項及び次条第一項において同じ。)と当該減価償却資産につき当該各号に規定する償却の方法により計算した当該事業年度の償却限度額に相当する金額との合計額が当該各号に掲げる減価償却資産の区分に応じ当該各号に定める金額を超える場合には、当該減価償却資産については、第五十八条(減価償却資産の償却限度額)及び前条の規定にかかわらず、当該償却限度額に相当する金額からその超える部分の金額を控除した金額をもつて当該事業年度の償却限度額とする。
法人税法施行令第61条第1項、令和7年4月1日施行
以下省略
一 省略
二 平成十九年四月一日以後に取得をされたもの(第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げる減価償却資産にあつては、当該減価償却資産についての同条第五項第五号に規定する所有権移転外リース取引(ハにおいて「所有権移転外リース取引」という。)に係る契約が平成二十年四月一日以後に締結されたもの)で、そのよるべき償却の方法として定額法、定率法、生産高比例法、リース期間定額法又は第四十八条の四第一項に規定する償却の方法を採用しているもの 次に掲げる資産の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ 第十三条第一号から第七号まで及び第九号に掲げる減価償却資産(坑道及びハに掲げる減価償却資産を除く。) その取得価額から一円を控除した金額に相当する金額
ロ 坑道及び第十三条第八号に掲げる無形固定資産 その取得価額に相当する金額
ハ 第四十八条の二第一項第六号に掲げる減価償却資産(当該減価償却資産についての所有権移転外リース取引に係る契約が令和九年三月三十一日以前に締結されたものに限る。) その取得価額から当該減価償却資産に係る同条第五項第六号に規定する残価保証額を控除した金額に相当する金額
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