法人税を納付したときの会計処理と別表調整


今回は、確定申告による法人税を納付したときの会計処理と別表調整を確認します。法人事業税については処理が異なりますが、今回は確認しません。

内容

確定申告による法人税を納付したときの会計処理については複数ありますので、先に貸借対照表(B/S)の未払法人税等勘定の有無を確認しましょう。

今回は、次の4パターンを確認します。

  1. 未払法人税等の計上がない場合
  2. 未払法人税等=納付額の場合
  3. 未払法人税等<納付額の場合
  4. 未払法人税等>納付額の場合
未払法人税等の計上がない場合

未払法人税等勘定がない場合は、前期に未払法人税等を計上していませんので、法人税を支払ったときに、次の仕訳をきります。

納付する法人税が500,000円の場合

借方貸方
法人税等 500,000円現預金 500,000円
法人税の支払い

(注)法人税等勘定ではなく、租税公課で処理している場合もあります。

損益計算書

税引前当期純利益 0円
法人税等 △500,000円 ← 上記仕訳で計上されたもの
当期純利益 △500,000円

別表4の当期利益(1)に△500,000円を入力します。
確定申告による法人税については、経費になりませんので、
損金経理をした法人税等(2)に+500,000円を入力して加算調整します。
所得金額(52)は0円となります。

別表4、所得金額

区分総額
当期利益又は当期欠損の額、1△500,000円
損金経理をした法人税等、2+500,000円
損金経理をした法人住民税、3
損金経理をした納税充当金、4
所得金額又は欠損金額、520円
未払法人税等の計上がない場合

別表5(1)、利益積立金額

区分期首減少増加期末摘要
繰越損益金00△500,000△500,000通常、繰越利益剰余金と一致します。
納税充当金0000通常、未払法人税等と一致します。
未納法人税等
(確定)
△500,000△500,00000
利益積立金額△500,000△500,000△500,000△500,000
別表5-1、未払法人税等の計上がない場合
未払法人税等勘定=納付額の場合

貸借対照表(B/S)の未払法人税等勘定が納付額と同額の場合は、
次の仕訳をきります。

納付する法人税と未払法人税等が500,000円の場合

借方貸方
未払法人税等 500,000円現預金 500,000円
法人税の支払い2

損益計算書

税引前当期純利益 0円
法人税等 0円 ← 未払法人税等(負債)で処理しているため0円
当期純利益 0円

別表4の当期利益(1)に0円を入力します。
確定申告による法人税については、経費になりませんが、
損金経理をした法人税等(2)はありませんので、0円となります。
所得金額(52)は0円となります。

別表4、所得金額

区分総額
当期利益又は当期欠損の額、10円
損金経理をした法人税等、20円
損金経理をした法人住民税、3
損金経理をした納税充当金、4
所得金額又は欠損金額、520円
未払法人税等=納付額の場合

別表5(1)、利益積立金額

区分期首減少増加期末摘要
繰越損益金△500,000△500,000△500,000△500,000通常、繰越利益剰余金と一致します。
納税充当金500,000円500,000円00通常、未払法人税等と一致します。
未納法人税等
(確定)
△500,000△500,00000
利益積立金額△500,000△500,000△500,000△500,000
別表5-1、未払法人税等=納付額の場合
未払法人税等勘定<納付額となる場合

貸借対照表(B/S)の未払法人税等勘定<納付額の場合は、
次の仕訳をきります。

納付する法人税が500,000円、未払法人税等が400,000円の場合

借方貸方
未払法人税等 400,000円現預金 500,000円
法人税等 100,000円
法人税の支払い3

(注)法人税等勘定ではなく、租税公課で処理している場合もあります。

損益計算書

税引前当期純利益 0円
法人税等 △100,000円 ← 上記仕訳で計上されたもの
当期純利益 △100,000円

別表4の当期利益(1)に△100,000円を入力します。
確定申告による法人税については、経費になりませんので、
損金経理をした法人税等(2)に+100,000円を入力して加算調整します。
所得金額(52)は0円となります。

別表4、所得金額

区分総額
当期利益又は当期欠損の額、1△100,000円
損金経理をした法人税等、2+100,000円
損金経理をした法人住民税、3
損金経理をした納税充当金、4
所得金額又は欠損金額、520円
未払法人税等勘定<納付額となる場合

別表5(1)、利益積立金額

区分期首減少増加期末摘要
繰越損益金△400,000△400,000△400,000円△100,000=△500,000△500,000通常、繰越利益剰余金と一致します。
納税充当金400,000円400,000円00通常、未払法人税等と一致します。
未納法人税等
(確定)
△500,000△500,00000
利益積立金額△500,000△500,000△500,000△500,000
別表5-1、未払法人税等勘定<納付額となる場合
未払法人税等勘定>納付額となる場合

貸借対照表(B/S)の未払法人税等勘定>納付額の場合は、
次の仕訳をきります。

納付する法人税が500,000円、未払法人税等が700,000円の場合

借方貸方
未払法人税等 500,000円現預金 500,000円
未払法人税等 200,000円法人税等 200,000円
法人税の支払い4

(注)法人税等勘定ではなく、租税公課で処理している場合もあります。

損益計算書

税引前当期純利益 0円
法人税等 200,000円 ← 上記仕訳で計上されたもの
当期純利益 200,000円

別表4の当期利益(1)に200,000円を入力します。
確定申告による法人税については、経費になりません。
今回は(貸方)法人税で、損金経理をした法人税等(2)に△200,000円とは入力せずに、減算欄で「納税充当金戻入益」として200,000円を減算調整します。
所得金額(52)は0円となります。

別表4、所得金額

区分総額
当期利益又は当期欠損の額、1200,000円
損金経理をした法人税等、20円
損金経理をした法人住民税、3
損金経理をした納税充当金、4
納税充当金戻入益△200,000円
所得金額又は欠損金額、520円
未払法人税等勘定>納付額となる場合

別表5(1)、利益積立金額

区分期首減少増加期末摘要
繰越損益金△700,000△700,000△700,000+200,000円=△500,000△500,000通常、繰越利益剰余金と一致します。
納税充当金700,000円700,000円00通常、未払法人税等と一致します。
未納法人税等
(確定)
△500,000△500,00000
利益積立金額△500,000△500,000△500,000△500,000
別表5-1、未払法人税等勘定>納付額となる場合

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