今回は、海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る消費税の免税を確認してみましょう。
海軍販売所等に対する物品販売の免税
今回確認する規定は、こちらです。
(海軍販売所等に対する物品の譲渡に係る免税)
租税特別措置法第86条の2第1項、令和8年1月1日施行
第八十六条の二 事業者が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第十五条第一項(a)に規定する海軍販売所又はピー・エックスに対し、同協定第一条に規定する合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの家族(次項において「合衆国軍隊の構成員等」という。)が輸出する目的でこれらの機関から政令で定める方法により購入する物品で政令で定めるものを譲渡する場合には、当該物品の譲渡については、消費税を免除する。
事業者(個人事業者と法人)が、
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設と区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(日米地位協定)
第15条第1項(a)に規定する
1、海軍販売所
2、ピー・エックス(売店)
に対し、
同協定(日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定)
第1条に規定する
1、合衆国軍隊の構成員及び軍属
2、これらの家族
(合衆国軍隊の構成員等といいます。)が輸出する目的でこれらの機関(海軍販売所とPX)から政令(租税特別措置法施行令)で定める方法により購入する物品で政令で定めるものを
譲渡(売却)する場合には、消費税が免除されます。
(これらの機関と規定されているのは、日米地位協定15条第1項(a)に、海軍販売所、ピー・エックス、食堂、社交クラブ、劇場、新聞その他の歳出外資金による「諸機関」と規定されているからでしょう。)
参考情報、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条
前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
消費税が免税されない場合
消費税の免税を証明する書類の保存が必要です。
保存しない場合は、原則として消費税が課税されます。
参考規定
2 前項の規定は、同項の物品の譲渡をした事業者が、当該物品が合衆国軍隊の構成員等によつて同項に規定する方法により購入されたことを証する書類を、政令で定めるところにより保存しない場合には、適用しない。ただし、既に次項において準用する消費税法第八条第三項本文若しくは第五項本文(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定の適用により消費税が徴収された場合又は災害その他やむを得ない事情により当該書類を保存できなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
租税特別措置法第86条の2第2項、令和8年1月1日施行
前項(第1項、免税)の規定は、
同項(第1項)の物品(消費税が免除される物品)を
譲渡(売却)した事業者が、
その免税物品が合衆国軍隊の構成員等によって同項(第1項)に規定する方法により購入されたことを証する書類を、
政令で定めるところにより保存しない場合は、適用されなくなります。
その結果、消費税が免除されないため課税されます。
例外は、2つ。
例外が、2つあります。
1、別の規定により消費税が徴収された場合
2、やむを得ない事情(例、災害)により、消費税が免除されることを証明する書類の保存ができなかったことを免税物品を販売した事業者が証明した場合
は、消費税が免除されます。
別の規定は、
次項(第3項)において準用する消費税法第8条
1、第3項本文
2、第5項本文(消費税法第8条第6項において準用する場合を含む。)
の2つです。
消費税法第8条は、
輸出物品販売場の消費税の免除に関する規定です。
第3項本文は、
免税物品を出国する日までに輸出しない場合に消費税を徴収する規定です。
第5項本文は、
免税物品を国内で受け渡しした場合に消費税を徴収する規定です。
輸出物品販売場≒海軍販売所とPXと考えて、
合衆国軍隊の構成員等が輸出しない場合や国内で受け渡しした場合は、
消費税が徴収される仕組みです。
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おまけ
日米地位協定第15条第2項に「2 これらの諸機関による商品及び役務の販売には、1(b)に定める場合を除くほか、日本の租税を課さず、これらの諸機関による商品及び需品の日本国内における購入には、日本の租税を課する。」と規定されています。この「日本の租税を課さず」は、消費税の課税対象外ではなく、非課税取引となり、課税売上割合に影響が生じます。
参考リンク、国税不服審判所
(平成26年5月8日裁決) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所
https://www.kfs.go.jp/service/JP/95/17/index.html
取引の流れ
事業者
↓
↓ 消費税法で課税売上
↓ 措置法の要件を満たせば、免税売上 ← 今回確認した内容
↓
海軍販売所等
↓
↓ 日米地位協定により非課税売上 ← 裁決事例
↓
衆国軍隊の構成員等
↓
↓ 出国
↓
海外
海軍販売所等から見ると
1、非課税売上に対応する課税仕入れ
2、非課税売上に対応する課税対象外の仕入れ
