消費税が免除される場合(輸出免税)_施行令の取扱い


今回は、消費税が免除される場合(輸出免税)のうち、消費税法施行令の取扱いを確認してみましょう。

外国を往来する船舶や航空機

消費税法施行令の取扱いは、5つあります。長くなりますので、1つずつ確認してみましょう。

1つ目は、外国間を往来する船舶や航空機です。

2 法第七条第一項第五号に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産の譲渡等とする。
一 専ら国内以外の地域間で行われる旅客又は貨物の輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡若しくは貸付け又は修理で次に掲げるもの
イ 船舶運航事業又は船舶貸渡業を営む者に対して行われる船舶の譲渡又は貸付け
ロ 航空運送事業を営む者に対して行われる航空機の譲渡又は貸付け
ハ 船舶又は航空機の修理でイ又はロに規定する者の求めに応じて行われるもの

消費税法施行令第17条第2項第1号、令和7年4月1日施行

1号は、外国間を往来する船舶や航空機です。
旅客や貨物を輸送に使用する必要があります。

この船舶や航空機の
・売却や貸付け
・修理
で、次のものをいいます。

イ、船舶
船舶運航事業や船舶貸渡業の営業者に対する船舶の売却や貸付け

ロ、航空機
航空運送事業の営業者に対する航空機の売却や貸付け

ハ、修理
船舶や航空機の修理で、イやロの営業者の求めに応じてされるもの

消費税法第7条第1項第4号の免税は「日本と外国」を往来するもの、今回確認した消費税法第7条第1項第5号の免税は「外国間」を往来するものです。

船舶や航空機の往来する場所が異なるだけで、取引の内容は同じです。

コンテナー

2つ目は、コンテナーです。

二 専ら国内及び国内以外の地域にわたつて又は国内以外の地域間で行われる貨物の輸送の用に供されるコンテナー(コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律(昭和四十六年法律第六十五号)第二条第一号(定義)に規定するコンテナーをいう。)の譲渡若しくは貸付けで船舶運航事業、船舶貸渡業若しくは航空運送事業を営む者(以下この号及び次号において「船舶運航事業者等」という。)に対して行われるもの又は当該コンテナーの修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの

消費税法施行令第17条第2項第2号、令和7年4月1日施行

1、日本と外国を往来する貨物輸送用のコンテナー
2、外国間を往来する貨物輸送用のコンテナー
の2つが対象です。

1、コンテナーの売却や貸付けで
・船舶運航事業者等
に対するもの

2、コンテナーの修理で
・船舶運航事業者等
の求めに応じてされるもの

の2つが免税の対象となります。

・船舶運航事業
・船舶貸渡業
・航空運送事業
の営業者を「船舶運航事業者等」といいます。

船舶運航事業者等に対するサービスの提供

3つ目は、船舶運航事業者等に対するサービスの提供です。

三 前項第一号若しくは第一号に規定する船舶又は前項第二号若しくは第一号に規定する航空機の水先、誘導その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊若しくは駐機のための施設の提供に係る役務の提供その他これらに類する役務の提供(当該施設の貸付けを含む。)で船舶運航事業者等に対して行われるもの

消費税法施行令第17条第2項第3号、令和7年4月1日施行

対象となる船舶と航空機を確認してみましょう。

・前項(第1項)第1号や第1号に規定する船舶
・前項(第1項)第2号や第1号に規定する航空機
とありますので、

・日本と外国を往来する船舶
・外国間を往来する船舶
・日本と外国を往来する航空機
・外国間を往来する航空機
の4つが対象となります。

免税の対象となるサービスは、次の5つです。
・水先
・誘導
・入出港や離着陸の補助
・入出港、離着陸、停泊や駐機のための施設の提供に係るサービスの提供
・これらに類するサービスの提供

サービスの提供だけではなく、入出港、離着陸、停泊や駐機のための施設の貸付けを含みます。

免税の対象となる相手先は、船舶運航事業者等です。

外国貨物に関するサービス

4つ目は、外国貨物に関するサービスです。

四 外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定その他これらに類する外国貨物に係る役務の提供(関税法第二十九条(保税地域の種類)に規定する指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場及び総合保税地域(以下この号において「指定保税地域等」という。)における輸出しようとする貨物及び輸入の許可を受けた貨物に係るこれらの役務の提供を含み、同法第三十条第一項第五号(外国貨物を置く場所の制限)に規定する特例輸出貨物に係るこれらの役務の提供にあつては、指定保税地域等及び当該特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所におけるもの並びに指定保税地域等相互間の運送に限る。)

消費税法施行令第17条第2項第4号、令和7年4月1日施行

外国貨物に関するサービスは、次の6つです。
・荷役
・運送
・保管
・検数
・鑑定
・これらに類する役務の提供

国際郵便

5つ目は、国際郵便などです。

五 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる郵便又は信書便

消費税法施行令第17条第2項第5号、令和7年4月1日施行

おまけ

4つ目の外国貨物に関するサービスのカッコ書きを確認してみましょう。

関税法第二十九条(保税地域の種類)に規定する指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場及び総合保税地域(以下この号において「指定保税地域等」という。)における輸出しようとする貨物及び輸入の許可を受けた貨物に係るこれらの役務の提供を含み、同法第三十条第一項第五号(外国貨物を置く場所の制限)に規定する特例輸出貨物に係るこれらの役務の提供にあつては、指定保税地域等及び当該特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所におけるもの並びに指定保税地域等相互間の運送に限る。

・指定保税地域
・保税蔵置場(ぞうちじょう)
・保税展示場
・総合保税地域
を「指定保税地域等」といいます。

外国貨物のサービスの提供には、
指定保税地域等の
・輸出しようとする貨物
・輸入の許可を受けた貨物
の荷役、運送、保管、検数、鑑定、これらに類するサービスの提供を含みます。

特例輸出貨物の上記のサービスの提供については、
・指定保税地域等におけるもの
・特例輸出貨物の輸出のための船舶や航空機への積込みの場所におけるもの
・指定保税地域等相互間の運送
の3つに限定されます。

特例輸出貨物は、
・特定委託輸出申告
・特定製造貨物輸出申告
・特定輸出申告
がされ、税関長の輸出許可を受けたものです。

上記3つの輸出申告は、保税地域等を経由しないで輸出許可を受けるものです。

参考規定、輸出免税となる取引

2 法第七条第一項第五号に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産の譲渡等とする。
一 専ら国内以外の地域間で行われる旅客又は貨物の輸送の用に供される船舶又は航空機の譲渡若しくは貸付け又は修理で次に掲げるもの
イ 船舶運航事業又は船舶貸渡業を営む者に対して行われる船舶の譲渡又は貸付け
ロ 航空運送事業を営む者に対して行われる航空機の譲渡又は貸付け
ハ 船舶又は航空機の修理でイ又はロに規定する者の求めに応じて行われるもの
二 専ら国内及び国内以外の地域にわたつて又は国内以外の地域間で行われる貨物の輸送の用に供されるコンテナー(コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律(昭和四十六年法律第六十五号)第二条第一号(定義)に規定するコンテナーをいう。)の譲渡若しくは貸付けで船舶運航事業、船舶貸渡業若しくは航空運送事業を営む者(以下この号及び次号において「船舶運航事業者等」という。)に対して行われるもの又は当該コンテナーの修理で船舶運航事業者等の求めに応じて行われるもの
三 前項第一号若しくは第一号に規定する船舶又は前項第二号若しくは第一号に規定する航空機の水先、誘導その他入出港若しくは離着陸の補助又は入出港、離着陸、停泊若しくは駐機のための施設の提供に係る役務の提供その他これらに類する役務の提供(当該施設の貸付けを含む。)で船舶運航事業者等に対して行われるもの
四 外国貨物の荷役、運送、保管、検数、鑑定その他これらに類する外国貨物に係る役務の提供(関税法第二十九条(保税地域の種類)に規定する指定保税地域、保税蔵置場、保税展示場及び総合保税地域(以下この号において「指定保税地域等」という。)における輸出しようとする貨物及び輸入の許可を受けた貨物に係るこれらの役務の提供を含み、同法第三十条第一項第五号(外国貨物を置く場所の制限)に規定する特例輸出貨物に係るこれらの役務の提供にあつては、指定保税地域等及び当該特例輸出貨物の輸出のための船舶又は航空機への積込みの場所におけるもの並びに指定保税地域等相互間の運送に限る。)
五 国内及び国内以外の地域にわたつて行われる郵便又は信書便
六 省略
七 省略

消費税法施行令第17条第2項、令和7年4月1日施行

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