消費税のリース譲渡の経過措置_施行令_附則第3条第6項


今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第6項を確認してみましょう。

規定の確認

先に規定を確認してみましょう。

6 旧効力令第三十四条第二項又は第三十五条第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける事業者のこれらの規定の適用を受ける旧リース譲渡のうち、個人事業者(消費税法第二条第一項第三号に規定する個人事業者をいう。以下この条において同じ。)にあっては令和十二年十二月三十一日以前に開始した課税期間において、法人にあっては同年三月三十一日以前に開始した同法第二条第一項第十三号に規定する事業年度に含まれる各課税期間において、資産の譲渡等(同項第八号に規定する資産の譲渡等をいう。以下この条において同じ。)を行ったものとしなかった部分がある場合には、当該旧リース譲渡のうち、当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で満了基準事業年度等(改正法附則第二十二条第四項に規定する満了基準事業年度等をいう。以下この項において同じ。)の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に当該旧リース譲渡に係る事業を承継させた被相続人若しくは被合併法人(消費税法第二条第一項第五号の二に規定する被合併法人をいう。第二十二項において同じ。)若しくは分割法人(同法第二条第一項第六号に規定する分割法人をいう。第十九項及び第二十二項において同じ。)又は当該事業者が支払を受けたものを除く。)に係る部分については、当該事業者が当該満了基準事業年度等の末日の属する課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなす。この場合において、当該旧リース譲渡については、改正法附則第二十二条第四項に規定する場合に該当するものとみなして、同条第五項の規定を適用することができる。

消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第6項

対象となる規定を確認してみましょう。

対象者は、
・旧効力令第34条第2項
・旧効力令第35条第2項(第35条第5項において準用する場合を含む。)
の規定の適用を受ける事業者です。

対象期間は、
・個人事業者は、令和12年12月31日以前に開始した課税期間
・法人は、令和12年3月31日以前に開始した課税期間
の2つです。

リース譲渡の経過措置の特例が終わった場合は、リース譲渡の残額を精算する必要があります。この場合は、改正法附則第22条第4項に該当するものとして、改正法附則第22条第5項が適用できます。

対象者

旧効力令第34条第2項を確認してみましょう。

2 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている個人事業者が死亡した場合(前項第二号又は第三号に掲げる場合に該当することとなつた場合を除く。次項及び第四項において同じ。)において、当該個人事業者が行つたリース譲渡で同条第二項本文の規定の適用を受けていたものに係る対価の額につき、当該個人事業者の当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が当該死亡の日の属する課税期間以後の課税期間において同条第一項に規定する延払基準の方法(次項並びに次条及び第三十七条において「延払基準の方法」という。)により経理することとしているときは、その経理することとしている対価の額に係るリース譲渡については、当該相続人が資産の譲渡等を行つたものとみなして、法第十六条第二項本文の規定を適用する。この場合において、当該リース譲渡に係る第三十一条の規定の適用については、同条中「支払を受けている金額」とあるのは、「支払を受けている金額(既にその死亡した個人事業者が支払を受けている金額を含む。)」とする。

リース譲渡の特例を事業を承継した相続人が引き継ぐ規定です。

旧効力第35条第2項(第35条第5項において準用する場合を含む。)を確認してみましょう。

2 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が合併により消滅した場合(前項第一号又は第二号に掲げる場合に該当することとなつた場合を除く。次項及び第四項において同じ。)において、その被合併法人が行つたリース譲渡で同条第二項本文の規定の適用を受けていたものに係る対価の額につき、その合併法人が当該合併の日の属する課税期間以後の課税期間において延払基準の方法により経理することとしているときは、その経理することとしている対価の額に係るリース譲渡については、当該合併法人が資産の譲渡等を行つたものとみなして、同項本文の規定を適用する。この場合において、当該リース譲渡に係る第三十一条の規定の適用については、同条中「支払を受けている金額」とあるのは、「支払を受けている金額(既にその合併に係る被合併法人が支払を受けている金額を含む。)」とする。

リース譲渡を選択した法人が合併により消滅し、合併法人がリース譲渡の特例を引き継ぐ規定です。

5 前各項の規定は、リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が分割によりリース譲渡に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。この場合において、第二項中「その合併に係る被合併法人」とあるのは、「その分割に係る分割法人」と読み替えるものとする。

分割でリース譲渡の事業を引き継ぐ場合は、合併の取扱いを準用します。

取扱い

改正法附則第22条第4項を確認してみましょう。

4 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者の旧リース譲渡(前項の規定の適用を受けたものを除く。)のうち、個人事業者にあっては令和十二年十二月三十一日以前に開始した課税期間において、法人にあっては同年三月三十一日以前に開始した事業年度に含まれる各課税期間において、資産の譲渡等を行ったものとしなかった部分がある場合には、当該旧リース譲渡のうち、当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で満了基準事業年度等(個人事業者にあっては令和十三年をいい、法人にあっては令和十二年四月一日以後最初に開始する事業年度をいう。以下この項及び次項において同じ。)の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分については、当該事業者が当該満了基準事業年度等の末日の属する課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなす。

所得税や法人税の延払基準の経理を止めなかった場合であっても、満了基準事業年度等をもって、リース譲渡の残額を計算する必要があります。

満了基準事業年度等は、
・個人事業者は、令和13年
・法人は、令和12年4月1日以後最初の開始する事業年度
をいいます。

改正法附則第22条第5項を確認してみましょう。

5 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者のその適用に係る旧リース譲渡が、前二項に規定する場合のいずれかに該当する場合には、これらの規定にかかわらず、当該旧リース譲渡のうち、第一号に掲げる金額(同号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える課税期間にあっては、同号に掲げる金額)に係る部分については、当該事業者が不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等以後の各年又は各事業年度の末日の属する各課税期間(以下この項及び次項において「適用課税期間」という。)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができる。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年又は事業年度の月数を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
二 当該未計上譲渡額から当該未計上譲渡額のうち当該適用課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額を控除した金額

前2項は、
・第3項、延払基準の経理を止めた場合の取扱い
・第4項、経過措置が終わった場合の取扱い
が規定されています。

第5項は、リース譲渡の残額を10年(120回分割)で計上できる特例です。

まとめ

リース譲渡の引き継いだ相続人や合併法人についても、リース譲渡の残額を10年(120回分割)で計上できます。

10年で分割計上する場合は、確定申告書に付記する必要がありますので留意しましょう。

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