消費税のリース譲渡の経過措置_施行令_附則第3条第7項


今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第7項を確認してみましょう。

内容

先に規定を確認してみましょう。

7 事業者(改正法附則第二十二条第二項に規定する事業者に該当するものを除く。)が、相続又は合併若しくは分割により同項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者の旧リース譲渡に係る事業を承継した場合(旧効力令第三十四条第一項第二号若しくは第三号又は第三十五条第一項第一号若しくは第二号(同条第五項において準用する場合を含む。)に掲げる場合に該当することとなった場合を除く。)には、当該事業を承継した事業者の当該事業に係る旧リース譲渡が改正法附則第二十二条第三項に規定する場合に該当するものとみなして、同条第三項及び第五項の規定を適用する。この場合において、同条第三項及び第五項第一号中「支払を受けたもの」とあるのは、「支払を受けたもの(既に当該旧リース譲渡に係る事業を承継させた被相続人又は消費税法第二条第一項第五号の二に規定する被合併法人若しくは同項第六号に規定する分割法人が支払を受けたものを含む。)」とする。

消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第7項

対象者は、改正法附則第22条第2項に規定する事業者以外の事業者です。

・相続
・合併
・分割
により旧リース譲渡の事業を承継した場合に関する取扱いが規定されています。

改正法附則第22条第2項に規定する事業者は、施行日(令和7年4月1日)より前に旧リース譲渡を行ったことがある事業者です。今回確認する経過措置の対象者は、施行日より前に旧リース譲渡を行っていなかった事業者です。

個人事業者の例
・被相続人 → 旧リース譲渡を行ったことがある事業者
・相続人 → 旧リース譲渡を行ったことがない事業者

取扱い

「旧リース譲渡が改正法附則第22条第3項に規定する場合に該当するものとみなして、同条第3項及び第5項の規定を適用する。」とあります。

改正法附則第22条第3項を確認してみましょう。

3 前項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧消費税法(以下この条において「旧効力消費税法」という。)第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者の旧リース譲渡につき、経過措置課税期間において同項ただし書(附則第十七条第三項に規定する旧効力法人税法第六十三条第三項及び第四項に係る部分を除く。以下この項において同じ。)の規定の適用を受けることとなった場合には、当該旧リース譲渡のうち、当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で旧効力消費税法第十六条第二項ただし書に規定する場合に該当することとなった年又は事業年度(第五項において「不適用基準事業年度等」という。)の末日の属する課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分については、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等(消費税法第二条第一項第八号に規定する資産の譲渡等をいう。以下この条において同じ。)を行ったものとみなす。

所得税や法人税の延払基準の経理を止めた場合は、消費税のリース譲渡の残額を精算する必要があります。

改正法附則第22条第5項を確認してみましょう。

5 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者のその適用に係る旧リース譲渡が、前二項に規定する場合のいずれかに該当する場合には、これらの規定にかかわらず、当該旧リース譲渡のうち、第一号に掲げる金額(同号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える課税期間にあっては、同号に掲げる金額)に係る部分については、当該事業者が不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等以後の各年又は各事業年度の末日の属する各課税期間(以下この項及び次項において「適用課税期間」という。)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができる。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年又は事業年度の月数を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
二 当該未計上譲渡額から当該未計上譲渡額のうち当該適用課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額を控除した金額

前2項は、
・第3項、延払基準の経理を止めた場合の取扱い
・第4項、経過措置が終わった場合の取扱い
が規定されています。

第5項は、リース譲渡の残額を10年(120回分割)で計上できる特例です。

カッコ書きは、適用除外

カッコ書きを確認してみましょう。

相続又は合併若しくは分割により同項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者の旧リース譲渡に係る事業を承継した場合(旧効力令第三十四条第一項第二号若しくは第三号又は第三十五条第一項第一号若しくは第二号(同条第五項において準用する場合を含む。)に掲げる場合に該当することとなった場合を除く。)には、

旧効力令
・第34条第1項第2号
・第34条第1項第3号
・第35条第1項第1号
・第35条第1項第2号(第35条第5項において準用する場合を含む。)
に掲げる場合に該当することとなった場合は、経過措置から除外されています。

第34条第1項第2号を確認してみましょう。

二 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が死亡した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者であるとき。

「課税事業者が亡くなった場合において、リース譲渡を承継した相続人が免税事業者であるとき」とあります。

この場合は、リース譲渡の特例を引き継がずに亡くなった課税事業者でリース譲渡の残額を精算する必要があります。

第34条第1項第3号を確認してみましょう。

三 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が死亡した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定の適用を受けない事業者であるとき。

「免税事業者が亡くなった場合において、リース譲渡を承継した相続人が課税事業者であるとき」とあります。

この場合は、リース譲渡の特例を引き継がずに亡くなった免税事業者でリース譲渡の残額を精算する必要があります。

第35条第1項第1号を確認してみましょう。

一 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人を除く。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人であるとき。

「課税事業者である法人が合併により消滅した場合において、リース譲渡を承継した合併法人が免税事業者であるとき」とあります。

この場合は、リース譲渡の残額を合併される法人(被合併法人)で精算する必要があります。

第35条第1項第2号を確認してみましょう。

二 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人に限る。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定の適用を受けない法人であるとき。

「免税事業者である法人が合併により消滅した場合において、リース譲渡を承継した合併法人が課税事業者であるとき」とあります。

この場合は、リース譲渡の残額を合併される法人(被合併法人)で精算する必要があります。

第35条第5項を確認してみましょう。

5 前各項の規定は、リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が分割によりリース譲渡に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。この場合において、第二項中「その合併に係る被合併法人」とあるのは、「その分割に係る分割法人」と読み替えるものとする。

分割によりリース譲渡の事業を分割承継法人に承継させた場合は、合併の取扱いを準用します。

個人事業者の場合
・被相続人 → 旧リース譲渡を行ったことがある事業者
・相続人 → 旧リース譲渡を行ったことがない事業者
が1つ目の要件です。

お互いに課税事業者か免税事業者であることが2つ目の要件です。

まとめ

リース譲渡の引き継いだ相続人や合併法人についても、リース譲渡の残額を10年(120回分割)で計上できます。

10年で分割計上する場合は、確定申告書に付記する必要がありますので留意しましょう。

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