消費税のリース譲渡の経過措置_施行令_附則第3条第15項と第16項


今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第15項と第16項を確認してみましょう。

附則第3条第15項、相続人の計算

先に規定を確認してみましょう。

15 改正法附則第二十二条第五項の規定の適用を受けている個人事業者が死亡した場合(第十二項の規定の適用を受ける場合を除く。)において、当該個人事業者が同条第五項の規定の適用を受けていた旧リース譲渡に係る事業を相続人が承継したときは、その死亡の日の属する課税期間以後の各課税期間においては、当該相続人を同項に規定する事業者と、当該旧リース譲渡を同項の規定に該当する旧リース譲渡と、それぞれみなして、同項の規定を適用する。この場合において、当該相続人の当該旧リース譲渡に係る同項の規定の適用については、同項第一号中「受けたもの」とあるのは「受けたもの(既にその死亡した個人事業者が支払を受けたものを含む。)」と、「月数」とあるのは「月数(その死亡の日の属する年にあっては、同日の翌日から当該年の末日までの期間の月数)」とする。

消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第15項

改正法附則第22条第5項は、10年(120回)分割でリース譲渡を計算できる特例です。

特例を受けている個人事業者がなくなった場合が要件です。カッコ書きで第12項の適用を受ける場合が除外されています。

第12項は、
1、旧リース譲渡の事業を承継した相続人がいない場合
2、旧リース譲渡の事業を承継した相続人が免税事業者の場合
3、旧リース譲渡の事業を承継した相続人が課税事業者の場合
4、旧リース譲渡の事業の全部を売却や廃止した場合
の特例です。

第12項の4つが除外されているため、第15項は旧リース譲渡の課税関係を引き継ぐ特例です。

「当該相続人を同項に規定する事業者と、当該旧リース譲渡を同項の規定に該当する旧リース譲渡と、それぞれみなして、同項の規定を適用する。」とありますので、自動的に引き継がれます。

続きは読替規定ですので、実際に読み替えてみましょう。

5 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者のその適用に係る旧リース譲渡が、前二項に規定する場合のいずれかに該当する場合には、これらの規定にかかわらず、当該旧リース譲渡のうち、第一号に掲げる金額(同号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える課税期間にあっては、同号に掲げる金額)に係る部分については、当該事業者が不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等以後の各年又は各事業年度の末日の属する各課税期間(以下この項及び次項において「適用課税期間」という。)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができる。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたもの(既にその死亡した個人事業者が支払を受けたものを含む。)を除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年又は事業年度の月数(その死亡の日の属する年にあっては、同日の翌日から当該年の末日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
二 当該未計上譲渡額から当該未計上譲渡額のうち当該適用課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額を控除した金額

読み替えるところは、2つあります。

1、未計上譲渡額には、亡くなった個人事業者が受け取ったものを含みます。

2、亡くなった年の計算については、亡くなった日の翌日から年末までの期間に変わります。

附則第3条第16項、被相続人の計算

先に規定を確認してみましょう。

16 前項の場合において、同項の個人事業者のその死亡の日の属する課税期間における改正法附則第二十二条第五項の規定の適用については、同項中「が不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等以後の各年又は各事業年度の末日の属する各課税期間」とあるのは「の死亡の日の属する課税期間」と、同項第一号中「年又は事業年度」とあるのは「年の初日から当該死亡の日までの期間」とする。

消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第16項

読み替えてみましょう。

5 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者のその適用に係る旧リース譲渡が、前二項に規定する場合のいずれかに該当する場合には、これらの規定にかかわらず、当該旧リース譲渡のうち、第一号に掲げる金額(同号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える課税期間にあっては、同号に掲げる金額)に係る部分については、当該事業者の死亡の日の属する課税期間(以下この項及び次項において「適用課税期間」という。)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができる。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年の初日から当該死亡の日までの期間の月数を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
二 当該未計上譲渡額から当該未計上譲渡額のうち当該適用課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額を控除した金額

附則第3条第15項で読み替えた改正法附則第22条第5項は、
事業を承継した相続人が適用する規定です。

附則第3条第16項で読み替えた改正法附則第22条第5項は、
亡くなった個人事業者が適用する規定です。

個人事業者が亡くなった場合は、
・被相続人については、年初から亡くなった日までの期間
・相続人については、亡くなった日の翌日から年末までの期間
の2つに計算が分かれることになります。

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