今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第2項を確認してみましょう。
目次
内容
政令の附則第3条第2項には、令和7年経過措置課税期間について規定されています。非常に長い規定ですので、読み替える規定ごとに確認してみましょう。
1、読替規定
2、読み替えた後
の順に確認しています。
旧令第35条、合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
1、読替規定
旧令第三十三条から第三十五条までの規定中「法第十六条第二項本文」とあるのは「旧効力消費税法第十六条第二項本文」と、
2、読み替えた後
(合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十五条 リース譲渡につき旧効力消費税法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日の属する課税期間の初日の前日以前に当該法人が行つたリース譲渡で同項本文の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項本文の規定にかかわらず、当該法人が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人を除く。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人であるとき。
二 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人に限る。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定の適用を受けない法人であるとき。
三 当該法人が当該リース譲渡に係る事業の全部を譲渡した場合
2 リース譲渡につき旧効力消費税法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が合併により消滅した場合(前項第一号又は第二号に掲げる場合に該当することとなつた場合を除く。次項及び第四項において同じ。)において、その被合併法人が行つたリース譲渡で同条第二項本文の規定の適用を受けていたものに係る対価の額につき、その合併法人が当該合併の日の属する課税期間以後の課税期間において延払基準の方法により経理することとしているときは、その経理することとしている対価の額に係るリース譲渡については、当該合併法人が資産の譲渡等を行つたものとみなして、同項本文の規定を適用する。この場合において、当該リース譲渡に係る第三十一条の規定の適用については、同条中「支払を受けている金額」とあるのは、「支払を受けている金額(既にその合併に係る被合併法人が支払を受けている金額を含む。)」とする。
3 リース譲渡につき旧効力消費税法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が合併により消滅した場合において、その合併法人が当該合併の日の属する事業年度以後のいずれかの事業年度においてその被合併法人が行つたリース譲渡で同項本文の規定の適用を受けていたものに係る対価の額につき延払基準の方法により経理しなかつたときは、当該リース譲渡のうち当該リース譲渡に係る賦払金の額でその経理しなかつた決算に係る事業年度終了の日の属する課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に当該被合併法人又は当該合併法人が支払を受けたものを除く。)に係る部分については、当該合併法人が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
4 リース譲渡につき旧効力消費税法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が合併により消滅した場合において、その合併法人が当該合併の日の属する課税期間以後のいずれかの課税期間においてその被合併法人が行つたリース譲渡で同項本文の規定の適用を受けていたものに係る対価の額につき同項本文の規定の適用を受けないこととしたときは、当該リース譲渡のうちその適用を受けないこととしたリース譲渡に係る賦払金の額でその適用を受けないこととした課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に当該被合併法人又は当該合併法人が支払を受けたものを除く。)に係る部分については、当該合併法人が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
5 前各項の規定は、リース譲渡につき旧効力消費税法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が分割によりリース譲渡に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。この場合において、第二項中「その合併に係る被合併法人」とあるのは、「その分割に係る分割法人」と読み替えるものとする。
「法第16条第2項本文」が「旧効力消費税法第16条第2項本文」に変わるだけですので、規定の内容は変わりません。
旧令第36条の2、リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
1、読替規定
旧令第三十六条の二第一項中「所得税法」とあるのは「旧効力所得税法」と、「法人税法」とあるのは「旧効力法人税法」と、同条第三項中「法人税法第六十三条第二項ただし書」とあるのは「旧効力法人税法第六十三条第三項若しくは第四項」と、「法人税法施行令」とあるのは「旧効力法人税法施行令」と、「所得税法施行令」とあるのは「旧効力所得税法施行令」と、「同法第六十三条第二項ただし書」とあるのは「旧効力法人税法第六十三条第三項若しくは第四項」と、同条第五項中「法第十六条第三項」とあるのは「旧効力消費税法第十六条第三項」と、
2、読み替えた後
(リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十六条の二 事業者がリース譲渡を行つた場合において、当該事業者(相続により当該事業者の当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人、合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該リース譲渡に係る事業を承継した分割承継法人を含む。以下この条において同じ。)が当該リース譲渡につき旧効力所得税法第六十五条第二項(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)又は旧効力法人税法第六十三条第二項本文(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)の規定の適用を受けるときは、当該リース譲渡のうち当該リース譲渡に係るこれらの規定に規定する各年又は各事業年度(当該リース譲渡をした日の属する課税期間の翌課税期間の初日以後にその年の十二月三十一日又はその事業年度終了の日が到来するものに限る。)のリース譲渡収益額(これらの規定により当該各年の総収入金額に算入される収入金額又は当該各事業年度の益金の額に算入される収益の額をいう。次項及び第三項において同じ。)に係る部分については、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行わなかつたものとみなして、当該部分に係る対価の額を当該課税期間における当該リース譲渡に係る対価の額から控除することができる。
リース譲渡の利息部分を
・(リース譲渡の対価の額-原価の額)×20%
で計算できる特例があります。
第36条の2第1項は、上記特例を適用した場合の売上に関する繰延べ規定です。第2項は、繰り延べた売上に関する規定です。読み替える文言はありません。
3 前項の規定の適用を受けている事業者が同項のリース譲渡に係る対価の額につき旧効力法人税法第六十三条第三項若しくは第四項若しくは旧効力法人税法施行令第百二十五条第二項若しくは第三項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)又は旧効力所得税法施行令第百八十九条第二項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)の規定の適用を受けることとなつた場合には、当該リース譲渡で前項の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る対価の額で旧効力法人税法第六十三条第三項若しくは第四項若しくは旧効力法人税法施行令第百二十五条第二項の規定の適用を受けた事業年度終了の日の属する課税期間若しくは同条第三項に規定する前日の属する事業年度終了の日の属する課税期間又は旧効力所得税法施行令第百八十九条第二項の規定の適用を受けた年の十二月三十一日の属する課税期間(以下この項において「特定課税期間」と総称する。)以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額に係る部分については、前項の規定にかかわらず、当該事業者が当該特定課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
・所得税に関する取扱い(ただし書き)
・法人税に関する取扱い(ただし書き)
の2つが除外されて、法人税の
・非適格株式交換等があった場合のリース譲渡の精算
・通算制度のリース譲渡の精算
の2つが経過措置で残っています。
5 第一項又は第二項の規定の適用を受けようとする事業者は、旧効力消費税法第十六条第三項に規定する申告書(法第四十二条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書で法第四十三条第一項各号に掲げる事項を記載したものを含む。)にその旨を付記するものとする。
旧令第36条の2を適用する場合は、消費税の申告書に付記が必要です。
旧令第37条、公共法人等のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
旧令第三十七条中「同法」とあるのは「旧効力法人税法」と、「法第十六条」とあるのは「旧効力消費税法第十六条及び令和七年改正法附則第二十二条第二項から第八項まで」とする。
(公共法人等のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十七条 法人税法の規定の適用を受けない法人がリース譲渡を行つた場合において、当該法人が当該リース譲渡に係る対価の額につき延払基準の方法又はこれに準ずる方法により経理することとしているときは、当該法人が旧効力法人税法第六十三条第一項(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)の規定の適用を受けるため延払基準の方法により経理するものとみなして、旧効力消費税法第十六条及び令和七年改正法附則第二十二条第二項から第八項までの規定を適用する。
「法第16条」を
・旧効力消費税法第16条及び
・令和7年改正法附則第22条第2項から第8項まで」
に読み替える必要があります。
第2項から第8項までは、第1項以外の経過措置の全てです。
第1項は、
施行日(令和7年4月1日)前にリース譲渡を行った事業者の
施行日(令和7年4月1日)前に開始した
年や事業年度に含まれる各課税期間の消費税については、
削除された規定が有効となるものです。
第2項から第8項までの規定は、
施行日(令和7年4月1日)以後に開始する
年や事業年度に含まれる各課税期間に関する経過措置です。
公共法人は、法人税を納める必要がありません。この公共法人が延払基準の経理などをした場合は、法人税法の延払基準の経理をしたものとして、消費税のリース譲渡の特例が適用できることになります。
参考情報
対象となる経過措置の規定
- 旧令第31条、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
- 旧令第32条、延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理
- 旧令第32の2条、リース延払基準の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
- 旧令第33条、納税義務の免除を受けることとなつた場合等の処理
- 旧令第34条、事業の廃止、死亡等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
- 旧令第35条、合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
- 旧令第36条の2、リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
- 旧令第37条、公共法人等のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例