消費税の事業年度の意義_公共法人等の場合


今回は、消費税の事業年度の意義のうち公共法人等の場合を確認します。

規定の全体像

消費税の事業年度は、原則として法人税の事業年度と一致しますが、
一部異なる取扱いがあります。

確認する規定は次の5つです。

  1. 法人税の事業年度と異なる取扱い
  2. 会計年度等の届出義務
  3. 会計年度等の届出をしなかった場合
  4. 会計年度等の中途に事業が開始した場合
  5. 会計年度等を変更した場合
法人税の事業年度と異なる取扱い(消令3①)

法人については、一定の期間を区切って損益計算や財産の残高を確認します。この期間を「会計期間」といいますが、「公共法人等」については法人税の納税義務がないため、「会計期間」がないと解釈するのでしょうね。そのため、「会計年度等」という定義が別に設けられています。

この会計年度等について、法令や定款等に定めるものを「事業年度」といいます。法令や定款等で会計年度等を定めていない場合は、原則として事業年度がないこととなります。

例外として、会計年度等が1年を超える場合は、
会計年度等開始の日から1年ごとに期間を区切ります。

仮に、会計年度等が4月1日から翌年9月30日までの場合は、
4月1日から3月31日までの会計年度等と
翌年4月1日から翌年9月30日までの会計年度等が発生します。

会計年度等の届出義務(消令3②)

法令等に会計年度等の定めがない場合には、
自分で「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日」から
2月以内に会計年度等を税務署長に届け出る必要があります。

参考、消費税会計年度等届出書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/23120007.pdf

会計年度等の届出をしなかった場合(消令3③④)

会計年度等を届け出ない場合は、税務署長が会計年度等を指定します。会計年度等を定めないと消費税が計算できないからです。会計年度等が指定されたときは、書面により通知が届きます。

人格のない社団等が会計年度等を届け出ない場合は、自動的にその年1月1日から12月31日までの期間が会計年度等となります。

会計年度等の中途に事業が開始した場合(消令3⑤)

上記1項から4項までの会計年度等の中途に「国内において課税資産の譲渡等に係る事業」を開始した場合には、例外的に、その事業を開始した日の属するその会計年度等の初日はその事業を開始した日となります。

4/1~3/31までの会計年度等であっても、11/1に課税売上げが発生する事業を開始した場合は、11/1が会計年度等の初日となります。

また、会計年度等の中途に事業を廃止した場合や残余財産が確定した場合は、例外的に、廃止日や確定日が会計年度等の末日となります。

会計年度等を変更した場合(消令3⑥)

会計年度等を変更した場合や会計年度を定めた場合は、
・変更前の会計年度等、変更後の会計年度等
・定めた会計年度等
を税務署長に届け出る必要があります。

参考規定

消費税法

(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
十三 事業年度 法人税法第十三条及び第十四条(事業年度)に規定する事業年度(国、地方公共団体その他これらの条の規定の適用を受けない法人については、政令で定める一定の期間)をいう。

消費税法

消費税法施行令

(公共法人等の事業年度)
第三条 法第二条第一項第十三号に規定する政令で定める一定の期間は、公共法人等(国、地方公共団体その他法人税法第十三条及び第十四条(事業年度)の規定の適用を受けない法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)をいう。以下この条において同じ。)の会計年度その他これに準ずる期間(以下この条において「会計年度等」という。)で、法令で定めるもの又は公共法人等の定款、寄附行為、規則若しくは規約(以下この条において「定款等」という。)に定めるものとし、法令又は定款等に会計年度等の定めがない場合には、次項の規定により納税地を所轄する税務署長に届け出た会計年度等又は第三項の規定により納税地を所轄する税務署長が指定した会計年度等若しくは第四項に規定する期間とする。ただし、これらの期間が一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)とする。

2 法令又は定款等に会計年度等の定めがない公共法人等は、国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第五項において同じ。)に係る事業を開始した日以後二月以内に、会計年度等を定めてこれを納税地を所轄する税務署長に届け出なければならない。

3 前項の規定による届出をすべき公共法人等(人格のない社団等を除く。)がその届出をしない場合には、納税地を所轄する税務署長は、その会計年度等を指定し、当該公共法人等に対し、書面によりその旨を通知する。

4 第二項の規定による届出をすべき人格のない社団等がその届出をしない場合には、その人格のない社団等の会計年度等は、その年の一月一日から十二月三十一日までの期間とする。

5 前各項の規定により定められる会計年度等の中途において公共法人等が国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、これらの規定にかかわらず、当該事業を開始した日の属する当該会計年度等の初日は当該事業を開始した日とし、これらの規定により定められる会計年度等の中途において公共法人等が当該事業を廃止した場合(合併により消滅した場合を含む。)又は清算中の公共法人等の残余財産が確定した場合には、これらの規定にかかわらず、これらの場合に該当することとなつた日の属する当該会計年度等の末日はその該当することとなつた日とする。

6 公共法人等がその定款等に定める会計年度等を変更し、又はその定款等において新たに会計年度等を定めた場合には、遅滞なく、その変更前の会計年度等及び変更後の会計年度等又はその定めた会計年度等を納税地を所轄する税務署長に届け出なければならない。

消費税法施行令

PAGE TOP