今回は、消費税の控除が否認された場合の別表調整について確認します。
今回は税抜経理の場合です。税込経理は省略します。
税務調整仕訳の作成手順
税務調整仕訳の作成手順については、税込経理の場合と変更ありません。
売上の会計処理(仕訳)を忘れていた場合や決算修正できない場合、
法人税の計算上、別表4で課税所得を計算します。
売上計上もれ等に関する別表調整については、
税務調整仕訳を作成すると処理しやすくなります。
税務調整仕訳の作成手順
- 会計上の仕訳(現時点の仕訳)を確認する。
- 税務上の仕訳(あるべき仕訳)を作成する。
- 税務調整仕訳(1の仕訳を2の仕訳に調整する仕訳)を作成する。
具体例
例えば、税込寄附金11,000円を課税仕入れとして処理したものについて、
消費税の控除が否認された場合。税抜経理を採用している。
1、会計上の仕訳
借方 | 貸方 |
---|---|
寄附金 10,000円 | 現金 11,000円 |
未払消費税 1,000円 | - |
2、税務上の仕訳
税務上の仕訳は正しい仕訳を作成します。
借方 | 貸方 |
---|---|
寄附金 11,000円 | 現金 11,000円 |
3、税務調整仕訳
借方 | 貸方 |
---|---|
寄附金 1,000円 | 未払消費税 1,000円 |
別表調整
正しい税務調整仕訳を作成した後に、別表調整します。
別表調整は、別表4→別表5(1)の順に処理しましょう。
処理もれが減ります。
具体例の別表調整
(別表調整の名前に決まりはありません。
私は別表4にP/L項目、別表5-1にB/S項目を記載しています。)
別表4、課税所得
内容 | 総額 | 留保 | 社外 |
---|---|---|---|
当期純利益 | △10,000円 | △10,000円 | - |
費用計上もれ | △1,000円 | △1,000円 | - |
寄附金の損金不算入 | +11,000円 | - | +11,000円 |
課税所得 | 0 | △11,000円 | +11,000円 |
寄附金については、寄附金の損金不算入の規定により、
寄附金として別表調整する必要があります。
今回は、全額損金不算入として加算調整しています。
別表5(1)、利益積立金額
区分 | ①期首 | ②減少 | ③増加 | ④期末 |
---|---|---|---|---|
未払消費税 | △1,000円 | △1,000円 | ||
繰越損益金 | △10,000円 | △10,000円 | ||
合計 | △11,000円 | △11,000円 |
参考情報
会計上のB/S
資産 | 負債・純資産 |
---|---|
現金 △11,000円 | 繰越利益剰余金 △10,000円 |
未払消費税 1,000円 | - |
税務上のB/S
資産 | 負債・純資産 |
---|---|
現金 △11,000円 | 利益積立金額 △11,000円 |
検算式
期首現在利益積立金額合計「31」①
+ 別表四留保所得金額又は欠損金額「52」- 中間分・確定分の法人税等、道府県民税及び市町村民税の合計額
± 中間分・確定分の通算税効果額の合計額
= 差引翌期首現在利益積立金額合計「31」④
0△11,000円=△11,000円
課税所得は0円、利益積立金額は△11,000円で違和感ありますが、
寄附金は加算(社外)処理されているため、課税所得0円、
利益積立金額△11,000円となります。