今回は、消費税の非居住者にお金を貸した場合の留意点を確認してみましょう。
消費税の非居住者にお金を貸した場合
先に規定を確認してみましょう。
3 第十条第一項に規定する金銭の貸付け又は同条第三項第一号、第二号若しくは第五号から第八号までに掲げる行為で当該貸付け又は行為に係る金銭債権の債務者(同項第七号に掲げるものにあつては、同号の割引を受けた者に限る。)が非居住者であるもの及び同項第十一号に掲げる資産の貸付けで非居住者に対して行われるものは、法第三十一条第一項の規定の適用については、法第七条第一項第五号に規定する政令で定めるものとする。
消費税法施行令第17条第3項、令和7年4月1日施行
お金を貸し付けた相手が非居住者の場合は、消費税法第31条第1項の規定の適用については、消費税法第7条第1項第5号に規定する政令で定めるものとする。
と規定されています。
消費税法第31条第1項は、非課税取引のうち輸出免税の証明がされたものについては、輸出免税の取引として取り扱って、消費税の控除が計算できる規定です。
参考規定
(非課税資産の輸出等を行つた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
消費税法第31条第1項、令和7年6月20日施行
第三十一条 事業者が国内において第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされる資産の譲渡等(以下この項において「非課税資産の譲渡等」という。)のうち第七条第一項各号に掲げる資産の譲渡等(以下この項及び次項において「輸出取引等」という。)に該当するものを行つた場合において、当該非課税資産の譲渡等が輸出取引等に該当するものであることにつき、財務省令で定めるところにより証明がされたときは、当該非課税資産の譲渡等のうち当該証明がされたものは、課税資産の譲渡等に係る輸出取引等に該当するものとみなして、前条の規定を適用する。
消費税法第7条第1項第5号に規定する政令で定めるものは、消費税が免除される取引です。
お金を貸し付けた相手が非居住者の場合については、消費税を控除する金額を計算するときに、非課税取引ではなく輸出免税取引として取り扱うことになります。
非課税取引として取り扱うと、消費税を控除する金額が減るため、例外で輸出免税取引として計算できます。
他の取引も輸出免税になる。
消費税法施行令第10条第1項に規定する金銭の貸付けは、利子を対価とするお金を貸付けのことです。他にも輸出免税となる取引があります。
消費税法施行令第10条第3項には、非課税となる取引が規定されています。
- 第1号、預金や貯金の預入れ
- 第2号、収益の分配金を対価とする一定の信託
- 第5号、利息を対価とする抵当証券の取得
- 第6号、償還差益を対価とする国債などの取得
- 第7号、約束手形を除く手形の割引
- 第8号、金銭債権の承継(例、貸付金や売掛金を買った場合
上記の取引については、輸出免税として消費税の控除が計算できます。
「第11号に掲げる資産」は、次の2つです。
- 金融商品取引法の有価証券
- 登録国債
上記の資産を非居住者に貸した場合も、輸出免税として消費税の控除が計算できます。
参考情報
非課税取引、有価証券や登録国債の貸付け
十一 法別表第二第二号に規定する有価証券(ゴルフ場利用株式等を除くものとし、その権利の帰属が社債、株式等の振替に関する法律の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。)又は登録国債の貸付け
消費税法施行令第10条第3項第11号、令和7年4月1日施行
おまけ
今回確認した非居住者は、所得税法の非居住者ではなく、
・外国為替及び外国貿易法
に規定する非居住者をいいます。