源泉控除対象親族の定義と月次の源泉徴収で重複した場合


今回は、
・源泉控除対象親族の定義
・月次の源泉徴収で重複した場合
を確認してみましょう。

源泉控除対象親族

新しく規定される「源泉控除対象親族」の定義を確認してみましょう。


三十四の五 源泉控除対象親族
 控除対象扶養親族並びに居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)及び児童福祉法第二十七条第一項第三号の規定により同法第六条の四に規定する里親に委託された児童でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち年齢十九歳以上二十三歳未満の者で合計所得金額が百万円以下であるもの(控除対象扶養親族に該当しないものに限る。)をいう。

出だしで「控除対象扶養親族」とありますが、最後で「控除対象扶養親族に該当しないものに限る。」とあります。

1つ目の控除対象扶養親族(A)と2つ目の控除対象扶養親族(B)は、別の人を指しています。

A、控除対象扶養親族
(年齢16歳以上、合計所得金額48万円→58万円以下)

B、控除対象扶養親族以外の人
・居住者の親族(配偶者を除く。)で生計を一にするもの
・里親に委託された児童で生計を一にするもの
に該当する人で、青色事業専従者等に該当しない人です。

さらに
・年齢19歳以上23歳未満
・合計所得金額が100万円以下
に該当する人で、控除対象扶養親族に該当しない人

AとBを併せて「源泉控除対象親族」といいます。

最後で「控除対象扶養親族に該当しないものに限る。」とありますが、Aを全て対象から外すという意味ではなく、AとBが重複する部分から、Aを対象から外す(Bだけが残る)という意味です。

縦が合計所得金額、横が年齢

源泉控除対象親族の控除

特定親族特別控除は、年末調整や確定申告で重複して適用ができない仕組みです。月次の給料や賞与の源泉徴収で重複した場合はどうなるでしょうか?

法案を確認してみましょう。

源泉控除対象親族に係る控除の適用
第百八十六条の三 給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書を提出した居住者(以下この条において「対象居住者」という。)のこれらの申告書に源泉控除対象親族(第八十四条の二第一項(特定親族特別控除)に規定する特定親族に限る。以下この条において同じ。)である旨の記載がされた者(以下この条において「対象者」という。)が、他の者を、当該対象者の提出した給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象親族として第百八十五条第一項第一号若しくは第二号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)又は第百八十六条第一項第一号若しくは第二項第一号(賞与に係る徴収税額)の規定の適用を受ける場合には、当該対象者は当該対象居住者の提出した給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に源泉控除対象親族である旨の記載がされていないものとして、第百八十五条第一項第一号及び第二号並びに第百八十六条第一項第一号及び第二項第一号の規定を適用する。

・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
を提出した居住者を「対象居住者」といいます。

対象居住者が提出した上記2つの申告書に
・特定親族に該当する源泉控除対象親族
であることを記載された人を「対象者」といいます。

この対象者が、他の人を
この対象者が提出した
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
に記載された源泉控除対象親族(特定親族)として
月次の給料や賞与の源泉徴収を受ける場合は、

この対象者は、対象居住者が提出した
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
に源泉控除対象親族の記載がないものとして、取り扱われます。

具体例

具体的に確認してみましょう。

・居住者Aは、扶養控除等申告書に特定親族Bを記載した。
・記載された特定親族Bは、扶養控除等申告書に特定親族Cを記載した。

原則として、税額が確定するまでは、2人とも特定親族特別控除が受けられませんが、月次の給料や賞与の源泉徴収ではどうなるでしょうか?

1、居住者Aの申告書の内容が有効、Bの内容は無効。
2、特定親族Bの申告書の内容が有効、Aの内容は無効。
3、両方の内容が有効。
4、両方の内容が無効。

答えは、2です。

当該対象者(特定親族B)は
当該対象居住者(居住者A)の提出した
・給与所得者の扶養控除等申告書又は
・従たる給与についての扶養控除等申告書
に源泉控除対象親族である旨の記載がされていないものとして、

とありますので、Aが記載した内容は記載がないものとして扱われます。

おまけ

お互いに記載した場合、例えば、
・居住者Aは、扶養控除等申告書に特定親族Bを記載した。
・居住者Bは、扶養控除等申告書に特定親族Aを記載した。

それぞれの記載がないものとして取り扱われると思います。

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