災害等あった場合の電子取引に関する宥恕規定と改正内容の比較


電子取引の保存について、現行法、宥恕規定、改正大綱を比較して確認します。

現行法の取扱い

災害等があった場合

3 法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、当該事情が生じなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則4条

A、規定の対象者は、個人事業者や法人(保存義務者)です。災害等により要件に従って電子データを保存できなかったことを証明したときは、要件に関係なく、電子データを保存することができます。

令和5年12月31日までの特例(宥恕規定)

令和5年12月31日までについては、経過措置が設けられています。

3 この省令の施行の日から令和五年十二月三十一日までの間に電子取引を行う場合における新令第四条第三項の規定の適用については、同項中「証明したとき」とあるのは「証明したとき、又は納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているとき」と、同項ただし書中「当該事情」とあるのは「これらの事情」とする。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則、附 則 (令和三年三月三一日財務省令第二五号)

読み替え規定のため、読み替えます。

読み替え後

3 法第七条に規定する保存義務者が、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、同条に規定する財務省令で定めるところに従って当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明したとき、又は納税地等の所轄税務署長が当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったことについてやむを得ない事情があると認め、かつ、当該保存義務者が国税に関する法律の規定による当該電磁的記録を出力することにより作成した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしているときは、第一項の規定にかかわらず、当該電磁的記録の保存をすることができる。ただし、これらの事情が生じなかったとした場合において、当該財務省令で定めるところに従って当該電磁的記録の保存をすることができなかったと認められるときは、この限りでない。

経過措置で規定が追加されています。
Aについては変更ありません。Bが追加されています。

A、個人事業者や法人(保存義務者)が、災害等により要件に従って電子データを保存できなかったことを証明したときは、原則の要件に関係なく、電子データを保存することができます。

B、税務署長が、要件に従って電子データを保存できなかったことについてやむを得ない事情があると認め、個人事業者や法人(保存義務者)が電子データを紙に出力できるようにしているときは、原則の要件に関係なく、電子データを保存することができます。

Bは令和5年12月31日までの規定です。
令和6年1月1日以後については、B(宥恕規定)が廃止されるため、
令和5年度改正が予定されています。

令和5年度税制改正の大綱

② 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由がある保存義務者に対する猶予措置として、申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。

令和5年度税制改正の大綱、P82

読み替え後の規定と似ていますので、整理します。

内容現行法令和5年12月31日
まで
令和6年1月1日
以後、改正予定
AA、個人事業者や法人(保存義務者)が、災害等により要件に従って電子データを保存できなかったことを証明したときは、原則の要件に関係なく、電子データを保存することができます。同左そのまま残ると
思います。
B、経過措置税務署長が、要件に従って電子データを保存できなかったことについてやむを得ない事情があると認め、
かつ、
個人事業者や法人(保存義務者)が電子データを紙に出力できるようにしているときは、原則の要件に関係なく、電子データを保存することができます。
廃止
C、税制改正大綱税務署長が、電子データを要件に従って保存できなかったことについて相当の理由があると認め、
かつ、
個人事業者や法人(保存義務者)が電子データのDLの求め、電子データの書面出力の提示・提出ができるようにしている場合には、保存要件に関係なく、電子データを保存することができます。
比較

比較しますと、経過措置は電子データのダウンロードが要件に含まれていませんが、改正後は電子データのダウンロードが要件に含まれています。細かいところだと、経過措置はやむを得ない事情、改正は相当の理由の差があります。

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