災害等による期限の延長


今回は災害等により期限内申告ができなかった場合の「期限延長」について確認します。先日のe-taxの接続障害により期限内申告ができなかった場合の対応も、この期限延長の規定によるものです。延長制度は全部で3つあります。

期限の延長の内容

災害により、確定申告等、申請書・届出書の提出、納付の期限が期限内にできない場合、災害等がやんだ日から2ヶ月以内に限り、税務署長等が期限を延長できます。税金を納める人が期限延長を決めるのではなくて、税務署長等が期限延長を決めます。やむを得ない理由はとは、本人に責任がないような場合です。

(災害等による期限の延長)
第十一条 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができる。

国税通則法11条
地域指定延長

例えば、大規模な地震があった場合です。期限内申告が難しいので「地域」と「期日」を指定して、国税庁長官が期限延長を決めます。

(災害等による期限の延長)
第三条 国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第十一条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。

国税通則法施行令3条1項
対象者指定延長

例えば、災害等により、電子申告等ができない人が多いと見込まれる場合です。期限内申告が難しいので「対象者」と「期日」を指定して、国税庁長官が期限延長を決めます。

今回のe-taxの接続障害について、この規定が適用されると予想していた人もいるようですが、対象者が少ないこと等により、この規定は適用されませんでした。

2 国税庁長官は、災害その他やむを得ない理由により、法第十一条に規定する期限までに同条に規定する行為をすべき者(前項の規定の適用がある者を除く。)であつて当該期限までに当該行為のうち特定の税目に係る国税に関する法律又は情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項(電子情報処理組織による申請等)の規定により電子情報処理組織を使用して行う申告その他の特定の税目に係る特定の行為をすることができないと認める者(以下この項において「対象者」という。)多数に上ると認める場合には、対象者の範囲及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。

国税通則法施行令3条2項
個別指定延長

災害等により期限内申告が難しいときは、本人の申請により「期日」だけ延長されます。地域指定延長も対象者指定延長もなかった場合に限ります。

個別指定延長は本人の申請が必要で、自動的に期限は延長されません。先日のe-taxの接続障害により期限内申告ができないときに、電子申告の備考欄等に「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と入力したのは、この規定が理由です。

3 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第十一条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前二項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。

国税通則法施行令3条3項
書面申請

個別指定延長は、申告等ができない理由が止んでから、理由を書いて「書面」を提出する必要があります。電子申告については書面提出せずに、今回の対応のように「○○○○による申告・納付期限延長申請」と記載して申請します。

4 前項の申請は、法第十一条に規定する理由がやんだ後相当の期間内に、その理由を記載した書面でしなければならない。

国税通則法施行令3条4項
消費税の届出書には適用されない

この期限延長の規定は「期限」を延長するものです。消費税の課税事業者選択届書や簡易課税制度選択届出書については「期限」が設けられていないため、災害等により提出できなかったとしても、考慮されません。消費税の届出については消費税法の救済規定を使う必要があります。

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