物品切手等の消費税の通達改正


今回は、物品切手等の消費税の通達改正を確認します。

インボイス制度前の取扱い

郵便切手類や物品切手等については、
原則として購入時ではなく、使用時に消費税の控除が可能です。

ただし、一定の条件(下記通達の要件)を満たす場合、
購入時に消費税の控除が可能です。

参考、消費税法基本通達
(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)

11-3-7 法別表第一第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるが、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める。

消費税法基本通達

一般的には、購入時に消費税の控除をしていると思います。

インボイスQ&A、問98の取扱い

「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問98、郵便切手類又は物品切手等により課税仕入れを行った場合における課税仕入れの時期の中で気になる取扱いがあります。

したがって、このような郵便切手類及び物品切手等(適格請求書発行事業者により回収されることが明らかなものに限ります。)のうち、自ら引換給付を受けるものについては、適格請求書等保存方式においても、引き続き、購入(対価の支払)時に課税仕入れとして計上し、一定の事項を記載した帳簿を保存することにより、仕入税額控除の適用を受けることができます。
なお、上記(一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除の適用を受けることができるもの)以外の物品切手等に係る課税仕入れは、購入(対価の支払)時ではなく、適格請求書等の交付を受けることとなるその引換給付を受けた時に課税仕入れを計上し、仕入税額控除の適用を受けることとなります。

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A、問98

上記の内容を簡単に記載します。

インボイス発行事業者により回収されることが明らかなものについては、
購入時に消費税の控除を認めるが、
そうでないものについては購入時ではなく、使用時に消費税の控除をする。

インボイス制度の導入に伴って
購入時に消費税の控除ができる範囲が狭くなっています。

この内容が現行の基本通達11-3-7(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)から判断できるのだろうか?と思っていたら、基本通達の方が変わります。

インボイス制度後の取扱い

インボイス制度後の基本通達を確認します。
下線部分は変更されたものです。

(郵便切手類又は物品切手等の引換給付に係る課税仕入れの時期)
11―3―7 法別表第二第4号イ又はハ《郵便切手類等の非課税》に規定する郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのであるから留意する。

ただし、次の場合において、郵便切手類又は物品切手等(自ら引換給付を受けるものに限る。)を購入した事業者が、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、これを認める。
⑴ 当該郵便切手類の引換給付に係る課税仕入れが、規則第26 条の6第2号《適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等》に規定する郵便の役務及び貨物の運送に係る課税仕入れに該当する場合
⑵ 当該物品切手等の引換給付に係る課税仕入れが、令第49 条第1項第1号ロ《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する課税仕入れに該当する場合

改正後の消費税法基本通達

基本通達の内容

購入時に消費税の控除ができず、使用時に消費税の控除の対象となります。
ただし、次の場合は、購入時に消費税の控除が可能となります。

1、郵便ポスト特例に該当する場合
2、入場券特例に該当する場合

2つの特例に該当するものに限って、購入時の控除を認めますが、
2つの特例に該当しないものについては、
購入時の控除が認められなくなります。
(インボイスQ&A、問98の内容をそのまま取り込んでいます。)

法人税基本通達と所得税基本通達の取扱い

消費税法基本通達と似たような通達が法人税や所得税にもあります。
(法人税基本通達2-2-15、消耗品費等)
(所得税基本通達37-30の3、消耗品費等)

法人税(所得税)と消費税の処理を合わせている場合
(購入時に処理している場合)は、
消費税の通達改正に該当する部分については処理が異なってしまうため、
法人税(所得税)や会計の取扱いも確認しておきましょう。

参考規定

郵便ポスト特例(2号)の規定

(適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等)
第二十六条の六 令第七十条の九第二項第三号に規定する財務省令で定める課税資産の譲渡等は、次に掲げる課税資産の譲渡等とする。
一 自動販売機又は自動サービス機により行われる課税資産の譲渡等のうち当該課税資産の譲渡等に係る法第五十七条の四第一項第四号に規定する税込価額が三万円未満のもの
二 法別表第二第四号イに規定する郵便切手類のみを対価とする郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)第一条(この法律の目的)に規定する郵便の役務及び貨物の運送(同法第三十八条第一項(郵便差出箱の設置)に規定する郵便差出箱に差し出された郵便物及び貨物に係るものに限る。)

消費税法施行規則、施行日令和5年10月1日

入場券特例(ロ)の規定

(課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等)
第四十九条 法第三十条第七項に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 課税仕入れが次に掲げる課税仕入れに該当する場合(法第三十条第七項に規定する帳簿に次に掲げる課税仕入れのいずれかに該当する旨及び当該課税仕入れの相手方の住所又は所在地(国税庁長官が指定する者に係るものを除く。)を記載している場合に限る。)
イ 省略
ロ 入場券その他の課税仕入れに係る書類のうち法第五十七条の四第二項各号(第二号を除く。)に掲げる事項が記載されているものが、当該課税仕入れに係る課税資産の譲渡等を受けた際に当該課税資産の譲渡等を行う適格請求書発行事業者により回収された課税仕入れ(イに掲げる課税仕入れを除く。)

消費税法施行令、施行日令和5年10月1日

法人税基本通達

(消耗品費等)
2-2-15 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する事業年度の損金の額に算入するのであるが、法人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する事業年度の損金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加)

(注) この取扱いにより損金の額に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

法人税基本通達

所得税基本通達

(消耗品費等)
37-30の3 消耗品その他これに準ずる棚卸資産の取得に要した費用の額は、当該棚卸資産を消費した日の属する年分の必要経費に算入するのであるが、その者が、事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料、広告宣伝用印刷物、見本品その他これらに準ずる棚卸資産(各年ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る。)の取得に要した費用の額を継続してその取得をした日の属する年分の必要経費に算入している場合には、これを認める。(昭55直所3-19、直法6-8追加)

(注) この取扱いにより必要経費に算入する金額が製品の製造等のために要する費用としての性質を有する場合には、当該金額は製造原価に算入するのであるから留意する。

所得税基本通達
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