特例対象外の貸付用の減価償却資産_法人税


今回は、減価償却資産の特例が使用できない「貸付用」について確認します。
以前確認した所得税の取扱いと似ていますので、異なる部分を確認します。

所得税の取扱い
特例対象外の貸付用の減価償却資産_所得税

貸付けに関する規定の関係

以下、法人税の取扱いを記載していますが、所得税の取扱いとほぼ同じです。

法人税法施行令では、「当該対象資産(貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除く。)」とあり、単なる貸付けは特例の対象外、主要事業貸付けは特例の対象となります。今回確認する規定は、法人税法施行規則第第27条の17(※)です。

主要事業貸付けに該当するもの(法規27条の17、1項)

主要事業貸付けに該当するものは次の4点です。
所得税と異なるのは1だけです。1を確認します。

  • 特定関係がある場合の貸付け
  • 実質的に貸付けの利益を受ける場合の貸付け
  • 経営資源を活用して行う事業としての貸付け
  • 主要事業に付随する貸付け

規定を確認します。

一 当該内国法人が当該内国法人との間に特定関係(一の者が法人の事業の経営に参加し、事業を実質的に支配し、又は株式若しくは出資を有する場合における当該一の者と法人との間の関係(以下この号において「当事者間の関係」という。)、一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係その他これらに準ずる関係をいう。)がある法人の事業の管理及び運営を行う場合における当該法人に対する資産の貸付け

法人税法施行規則、第27条の17、1項1号

特定関係は、支配関係や完全支配関係とは別の定義です。

一の者が、事業経営に参加している。
一の者が、事業を実質的に支配している。
一の者が、株式等を有している。

これらの一の者と法人との関係を「当事者間の関係」といいます。
支配関係より広い関係です。

また、一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係なども
特定関係に該当します。

個人A(一の者)

↓ 特定関係

↓-------
↓      ↓
B社    C社

個人AとB社は特定関係、個人AとC社は特定関係、
B社とC社は法人相互の関係です。

株式の所有割合が規定されていないため、かなり広い関係になります。

主要事業貸付けに該当しないもの(法規27条の17、2項)

所得税の取扱いと同様です。租税回避の性質を有する貸付けについては、主要事業貸付けに含まれません。

まとめ

まとめますと、〇が特例あり、×が特例なしです。
1、貸付け以外の用 〇
2、貸付けの用
 1、主要事業以外(単なる貸付け) ×
 2、主要事業、実質的(リスクあり、1項) 〇
 3、主要事業、形式的(リスクなし、2項) ×

参考規定など

一括償却資産の損金算入

第百三十三条の二 内国法人が各事業年度において減価償却資産で取得価額が二十万円未満であるもの(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条第一項の規定の適用を受けるものを除く。以下この項において「対象資産」という。)を事業の用に供した場合において、その内国法人が当該対象資産(貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除く。)の全部又は特定の一部を一括したもの(以下省略)

13 第三項及び第六項から前項までに定めるもののほか、第一項に規定する主要な事業として行われる貸付けに該当するかどうかの判定その他同項、第二項、第四項又は第五項の規定の適用に関し必要な事項は、財務省令で定める。

法人税法施行令

少額の減価償却資産の主要な事業として行う貸付けの判定

第二十七条の十七 次に掲げる貸付け(次項の規定に該当する貸付けを除く。)は、令第百三十三条第一項(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)に規定する主要な事業として行われる貸付けに該当するものとする。

一 当該内国法人が当該内国法人との間に特定関係(一の者が法人の事業の経営に参加し、事業を実質的に支配し、又は株式若しくは出資を有する場合における当該一の者と法人との間の関係(以下この号において「当事者間の関係」という。)、一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係その他これらに準ずる関係をいう。)がある法人の事業の管理及び運営を行う場合における当該法人に対する資産の貸付け

二 当該内国法人に対して資産の譲渡又は役務の提供を行う者の当該資産の譲渡又は役務の提供の事業の用に専ら供する資産の貸付け

三 継続的に当該内国法人の経営資源(事業の用に供される設備(その貸付けの用に供する資産を除く。)、事業に関する従業者の有する技能又は知識(租税に関するものを除く。)その他これらに準ずるものをいう。)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業としての資産の貸付け

四 当該内国法人が行う主要な事業に付随して行う資産の貸付け

2 資産の貸付け後に譲渡人(当該内国法人に対して当該資産を譲渡した者をいう。)その他の者が当該資産を買い取り、又は当該資産を第三者に買い取らせることをあつせんする旨の契約が締結されている場合(当該貸付けの対価の額及び当該資産の買取りの対価の額(当該対価の額が確定していない場合には、当該対価の額として見込まれる金額)の合計額が当該内国法人の当該資産の取得価額のおおむね百分の九十に相当する金額を超える場合に限る。)における当該貸付けは、令第百三十三条第一項に規定する主要な事業として行われる貸付けに該当しないものとする。

法人税法施行規則

一括償却資産の主要な事業として行う貸付けの判定

第二十七条の十七の二 前条の規定は、令第百三十三条の二第一項(一括償却資産の損金算入)に規定する主要な事業として行われる貸付けに該当するかどうかの判定について準用する。

法人税法施行規則

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