今回は、公益法人が特例算定を選択した場合の残存剰余額の解消を確認してみましょう。
原則と特例
公益法人は、5年間の収支のバランスを図るために
・年度剰余額
・年度欠損額
・暫定残存剰余額
・残存欠損額
・残存剰余額の解消額
を計算する必要があります。
上記は、原則の計算方法です。
原則の計算では、黒字(暫定残存剰余額・過年度残存剰余額)が生じた場合に公益目的保有財産の取得などにより黒字を解消することができます。
参考リンク
・公益法人の残存剰余額の解消
原則の計算方法だけではなく、特例の計算方法もあります。特例の計算方法では、特例残存欠損額の計算が可能です。
参考リンク
・公益法人の特例算定方法
特例算定の黒字の解消額
原則の計算と特例の計算では、赤字や黒字の金額が変わります。黒字の金額が変わるため、解消額も変わります。
今回は、特例算定を選択した場合の黒字の解消を確認してみましょう。
参考規定はこちら↓
(特例算定における当該事業年度前の残存剰余額の解消等)
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第20条第1項、施行日令和7年4月1日
第二十条 前条第二項の規定により当該事業年度に係る特例残存欠損額を算定した場合には、当該事業年度における当該事業年度前の各事業年度に係る残存剰余額については、第十七条の規定を準用する。この場合において、同条中「次の各号」とあるのは「第二号又は第三号」と、「当該各号」とあるのは「それぞれこれらの号」と、同条第三号中「前各号」とあるのは「前号」と読み替えるものとする。
特例の赤字(特例残存欠損額)を計算した場合には、黒字(残存剰余額)については、残存剰余額の算定の規定(第17条)を準用します。
原則の解消額の規定を読み替える必要がありますので、読み替えてみましょう。
(残存剰余額の解消)
第十七条 公益法人は、当該事業年度に係る暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額(当該事業年度において年度欠損額が生じた場合には、当該年度欠損額を過年度残存剰余額のうち最も古い事業年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度残存剰余額から控除することとなる額を除く。以下この条及び次条において同じ。)で零を超えるものがある場合は、その全部又は一部を第二号又は第三号に掲げる使途に充てた場合は、それぞれこれらの号に定める額を当該暫定残存剰余額又は過年度残存剰余額の解消額とすることができる。一 公益目的保有財産に係る資産の取得又は改良 当該公益目的保有財産の取得価額又は改良に要した額の全部又は一部
二 公益法人が、災害その他の公益目的事業の実施が著しく困難となる事態として内閣総理大臣が定めるものにあって、公益目的事業を実施するために必要な資金の不足(当該事態により資金の不足が生じた事業年度における欠損金(前条第二項に規定する年度欠損額の算定方法を基礎として内閣総理大臣が定める方法で算定した額))を補うために不可欠なものとして行った借入れに係る元本の返済 その返済に充てた額
三 前号に掲げるもののほか、当該公益法人が行う公益目的事業の内容その他の事情を勘案し、当該公益目的事業の実施のために必要不可欠であるとして行政庁の確認を得た事項 その事項に要した額
原則の解消方法は3つありますが、1つ目の公益目的保有財産の取得などは除外されます。特例の赤字を計算する場合、既に公益目的保有財産の取得などが考慮されているからです。
過去の特例残存欠損額
当期の特例計算をする前に、過去の特例の赤字(特例残存欠損額)を計算する必要があります。
特例残存欠損額は、過年度特例残存欠損額となります。
数字を使って確認してみましょう。
過年度特例残存欠損額(特例残存欠損額)100の内訳
・4年前 25
・3年前 25
・2年前 25
・1年前 25
当期の特例暫定欠損額 60
規定に数字をあてはめてみましょう。
過年度特例残存欠損額の合計額(100)が当該事業年度に係る特例暫定欠損額(60)を超える場合には、その超える部分の額(40=100-60)を過年度特例残存欠損額(100)のうち最も古い事業年度(4年前)に係るもの(25)からその額(25)を限度として順次控除したときに、当該過年度特例残存欠損額(100)から控除することとなる額(40)を除く。
古いものから順次控除してみましょう。
・4年前 25-25=0
・3年前 25-15=10
・2年前 25
・1年前 25
マイナスする前の過年度特例残存欠損額は100でしたが、超える部分40をマイナスしますので、過年度特例残存欠損額(過去の特例残存欠損額)は60となります。
参考規定
過去の特例残存欠損額は、過年度特例残存欠損額とします。
2 当該事業年度における当該事業年度前の各事業年度に係る特例残存欠損額は、過年度特例残存欠損額(過年度特例残存欠損額の合計額が当該事業年度に係る特例暫定欠損額を超える場合には、その超える部分の額を過年度特例残存欠損額のうち最も古い事業年度に係るものからその額を限度として順次控除したときに、当該過年度特例残存欠損額から控除することとなる額を除く。)とする。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則第20条第2項、施行日令和7年4月1日
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