特例輸入者の帳簿の備付け等


今回は、特例輸入者の帳簿の備付け等に関する規定を確認してみましょう。

帳簿の備付け

支払った消費税を受け取った消費税からマイナスするためには、
一定の事項を記載した帳簿の保存が必要となりますが、
今回確認する帳簿は、別の帳簿の話です。

規定を確認してみましょう。
特例輸入者の帳簿の備付け等

3 法第五十八条に規定する特例輸入者(第一項に規定する事業者で法第三十七条第一項の規定の適用を受けない者を除く。次項において「特例輸入者」という。)は、帳簿を備え付けてこれに課税貨物(関税法第七条の二第二項(特例申告)に規定する特例申告に係る課税貨物(次項において「特例申告貨物」という。)に限る。)の保税地域からの引取りに関する財務省令で定める事項を整然と、かつ、明瞭に記録しなければならない。

消費税法施行令第71条第3項、施行日令和6年4月9日

特例輸入者とは、
・消費税が課される貨物の特例申告書を提出する人
をいいます。

カッコ書きの中に「第1項に規定する事業者で」
とあり、これは課税事業者を指しています。

「法第37条第1項の適用を受けない者を除く」は、
簡易課税制度の適用を受けない者=原則課税の適用を受ける者
を除くという意味です。

整理しますと特例輸入者のうち
原則課税を選択した課税事業者は、対象外となります。

・課税事業者で簡易課税を選択した人
・免税事業者
・個人事業者以外の個人
は、保存義務の対象となります。

原則課税の課税事業者が除外されているのは、
課税事業者の帳簿の備付け等の範囲と重複するからでしょう。

対象となる特例輸入者は、帳簿を備え付けて帳簿に
・特例申告貨物(特例申告に係る課税貨物)の保税地域からの引取り
について一定の事項を記録する必要があります。

保存期間

政令(消費税法施行令)では、
課税事業者と特例輸入者を分けて規定しています。

特例輸入者の帳簿については、
・その特例申告貨物の輸入の許可の日の属する月の翌月末日の翌日から7年間
保存する必要があります。

輸入許可月が4月の場合
・翌月末日(X年5月31日)の翌日(X年6月1日)から7年間(X+7年5月31日)
となり、X+7年5月31日が保存期限となります。

保存場所は、次の4つです。
・特例輸入者の本店
・特例輸入者の主たる事務所
・特例輸入者の特例申告貨物の輸入取引に係る事務所等の所在地
・特例輸入者の住所地

保存期間の特例

消費税に関する帳簿の保存期間は、原則として7年ですが、5年を経過した日以後については、財務大臣の定める方法による保存(マイクロフィルム保存)が可能となります。

財務省、税制関係の主な告示、消費税関係
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/zeihou_kokuji.html#a6

特例輸入者

帳簿の保存期間

4 特例輸入者は、前項の規定により記録した帳簿を整理し、これをその特例申告貨物の輸入の許可の日の属する月の翌月末日の翌日から七年間、当該特例輸入者の本店若しくは主たる事務所若しくは当該特例申告貨物の輸入取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地又は当該特例輸入者の住所地に保存しなければならない。

消費税法施行令第71条第4項、施行日令和6年4月9日

保存期間の特例

5 第二項の規定による帳簿の保存は同項に規定する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から、前項の規定による帳簿の保存は同項に規定する輸入の許可の日の属する月の翌月末日の翌日から、それぞれ五年を経過した日以後の期間においては、財務大臣の定める方法によることができる。

消費税法施行令第71条第5項、施行日令和6年4月9日
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