今回は、特別勘定を設定した後の保険金の圧縮記帳を確認してみましょう。
圧縮記帳と特別勘定
保険金の圧縮記帳の主な要件は、次の5つです。
1、固定資産が滅失する。固定資産が損壊する。
2、保険金等を受け取る。
3、事業年度が終わるまでに代わりの固定資産を取得する。
4、圧縮限度額の範囲内で、一定の経理をする。
5、確定申告書に別表を添付する。
受け取った保険金等に対して法人税がかかります。事業年度が終わるまでに代わりの固定資産(代替資産)を取得できなかった場合は、上記3の要件を満たさないため圧縮記帳ができなくなります。
圧縮記帳ができない場合は法人税がかかってしまうため、圧縮記帳の予約(特別勘定の設定)により、保険金収入に対する法人税の課税を先延ばしできます。
特別勘定を設定した後の圧縮記帳
今回確認する規定は、こちら↓です。
(特別勘定を設けた場合の保険金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)
法人税法第49条第1項、令和7年6月20日施行
第四十九条 前条第一項の特別勘定の金額(既に取り崩すべきこととなつたものを除く。)を有する内国法人が、同項に規定する期間(当該特別勘定の金額が同条第八項の規定により被合併法人から引継ぎを受けたものである場合その他の政令で定める場合には、政令で定める期間。第四項において「取得指定期間」という。)内に同条第一項に規定する取得又は改良をした場合において、その取得又は改良に係る固定資産につき、その取得又は改良をした日における当該特別勘定の金額のうちその取得又は改良に充てた保険金等に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この項及び第四項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
長い規定ですので分けて確認してみましょう。
まず、対象となる法人です。
前条第一項の特別勘定の金額(既に取り崩すべきこととなつたものを除く。)を有する内国法人が、
前条は、第48条(特別勘定の設定)を指します。特別勘定の金額を有する法人が対象となります。特別勘定の金額(圧縮記帳の予約)がない法人については、対象から外れます。
次は、要件です。
同項に規定する期間(当該特別勘定の金額が同条第八項の規定により被合併法人から引継ぎを受けたものである場合その他の政令で定める場合には、政令で定める期間。第四項において「取得指定期間」という。)内に同条第一項に規定する取得又は改良をした場合において、
圧縮記帳の予約には、期間の制限があります。「取得指定期間」といいます。この取得指定期間(原則として、翌期と翌々期の2年間)内に、保険金の圧縮記帳の要件を満たす固定資産を買う必要があります。
もう1つの要件があります。
その取得又は改良に係る固定資産につき、その取得又は改良をした日における当該特別勘定の金額のうちその取得又は改良に充てた保険金等に係るものとして政令で定めるところにより計算した金額(圧縮限度額)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(注4)により経理したときは、
特別勘定のうち、圧縮限度額の範囲内で
・帳簿価額の損金経理
・圧縮限度額以下の積立金経理
により経理する必要があります。
損金経理の仕訳例
借方 | 貸方 |
---|---|
固定資産圧縮損 ××円 | 固定資産 ××円 |
積立金経理の仕訳例
借方 | 貸方 |
---|---|
繰越利益剰余金 ××円 | 圧縮積立金 ××円 |
要件を満たした場合は、固定資産圧縮損などが法人の経費(損金算入)として扱われます。
特別勘定を設定した後の圧縮記帳については、確定申告書に別表の添付が必要となりますので注意しましょう。
参考情報
特別勘定の金額(既に取り崩すべきこととなつたものを除く。)の意味
特別勘定は、取り崩しが必要となる場合があります。取り崩さなかった場合は、特別勘定の金額がそのまま法人の帳簿に残りますが、既に取り崩すべき金額となりますので、特別勘定の金額から除外されています。
特別勘定を設定した後の圧縮記帳は、手続きが必要。
2 前項の規定は、確定申告書に同項に規定する減額し又は経理した金額に相当する金額の損金算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
法人税法第49条第2項、令和7年6月20日施行
やむを得ない事情がある場合
3 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
法人税法第49条第3項、令和7年6月20日施行
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