特別税額控除と圧縮記帳の通達改正案


今回は、特別税額控除と圧縮記帳の通達改正案を確認します。

通達改正の理由

一定の要件を満たした場合に法人税の減税ができる「特別控除」と
法人税の課税の繰り延べができる「圧縮記帳」について、
バランスが取れていない部分と通達に不具合が生じているため、
改正が予定されています。

参考情報
「租税特別措置法関係通達(法人税編)の制定について」(法令解釈通達)ほか3件の一部改正(案)に対する意見公募手続の実施について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410050058&Mode=0

今回は、この改正案の内容を一部確認します。

通達改正案の概要

「税額控除限度額等」の計算の基礎となる
「税額控除対象機械装置等」の取得価額は、次の取扱いに変更されます。

(1)対象資産の供用年度に圧縮記帳を適用する場合
 取得価額から「損金算入額」をマイナスします。
(2)対象資産の供用年度「後」に圧縮記帳を適用する予定の場合
 取得価額から「損金算入見込額」をマイナスします。

(注1)損金算入見込額の計算が困難な場合
国庫補助金等や保険金等の見込額をマイナスする方法も可能
(注2)上記(2)のマイナスをしないで圧縮記帳を適用した場合
特別控除の税額控除限度額等の修正が可能

上記の取扱いは法人税に関するものですが、
所得税についても同様の通達改正が予定されています。

消費税への影響

法人税の圧縮記帳や所得税の課税の繰延べを適用した場合、
固定資産の取得価額を減らす必要がありますが、
消費税には圧縮記帳(課税の繰延べ)制度がありませんので、影響ありません。
原則として、購入価額による消費税の控除が可能です。

基本通達の改正案

以下、基本通達の改正案の一部を加工して載せています。

(国庫補助金等の圧縮記帳の適用を受ける場合の取得価額)
42の5~48(共)-3の2
措置法第42条の6第2項、
第42条の9第1項、
第42条の10第2項、
第42条の11第2項、
第42条の11の2第2項、
第42条の11の3第2項、
第42条の12の4第2項、
第42条の12の6第2項若しくは
第42条の12の7第4項に規定する税額控除限度額又は
同条第6項に規定する生産工程効率化等設備等税額控除限度額
(以下「税額控除限度額等」という。)の計算の基礎となる

措置法第42条の6第1項に規定する特定機械装置等、
措置法第42条の9第1項に規定する工業用機械等、
措置法第42条の10第1項に規定する特定機械装置等、
措置法第42条の11第1項に規定する特定機械装置等、
措置法第42条の11の2第1項に規定する特定事業用機械等、
措置法第42条の11の3第1項に規定する特定建物等、
措置法第42条の12の4第1項に規定する特定経営力向上設備等、
措置法第42条の12の6第1項に規定する認定特定高度情報通信技術活用設備、措置法第42条の12の7第4項に規定する情報技術事業適応設備
又は
同条第3項に規定する生産工程効率化等設備等
(以下「税額控除対象機械装置等」という。)の取得価額は、
次に掲げる場合には、それぞれ次に定める金額による。

⑴ 法人が取得又は製作若しくは建設(以下「取得等」という。)をした税額控除対象機械装置等につき、当該取得等をして事業の用に供した事業年度(以下「供用年度」という。)において法第42条から第49条までの規定の適用を受ける場合 令第54条第3項の規定により同条第1項の取得価額とみなすこととされる金額

⑵ 法人が取得等をした税額控除対象機械装置等につき、供用年度後の事業年度において法第42条から第49条までの規定の適用を受けることが予定されている場合 令第54条第1項各号に定める額から当該供用年度後の事業年度において法第42条から第49条までの規定の適用を受けるとしたならば、令第54条第3項に規定する「損金の額に算入された金額(……金額を加算した金額)」となることが見込まれる金額(以下「損金算入見込額」という。)を控除した金額

(注)
1 ⑵の損金算入見込額を適正に見積もることが困難である場合には、⑵に定める金額は、令第54条第1項各号に定める額から、当該供用年度終了の日において、法第42条第1項に規定する国庫補助金等若しくは法第45条第1項の金銭の交付を受け、法第46条第1項の賦課に基づいて納付され、又は法第47条第1項に規定する保険金等の支払を受けることが見込まれる金額(法第44条の規定の適用を受けることが予定されている場合には、法第42条第1項に規定する国庫補助金等の交付を受けた金額で返還を要しないことが供用年度終了の日までに確定していないものを含む。)を控除した金額とする。

2 法人が税額控除対象機械装置等の供用年度において税額控除限度額等の計算の基礎となる税額控除対象機械装置等の取得価額を⑵に定める金額によることなく令第54条第1項各号に定める金額に基づき税額控除限度額等を計算して申告をしている場合において、供用年度後の事業年度に法第42条から第49条までの規定の適用を受けるときは、令第54条第3項の規定により同条第1項の取得価額とみなすこととされる金額に基づき供用年度の税額控除限度額等を修正することに留意する。

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