前回、被支配会社の定義を確認しましたので、
今回は特定同族会社を確認します。
被支配会社の判定
A社の株主等が次の3社の場合
B社、被支配会社×、所有割合75%
C社、被支配会社〇、所有割合20%
D社、被支配会社×、所有割合5%
A社が被支配会社に該当するかどうかの判定
B社の所有割合75%>50% → 被支配会社に該当します。
A社が特定同族会社に該当するかどうかの判定
被支配会社でない法人については株主等から除外して判定します。
上記の場合、B社とD社を判定から除外します。
株主等はC社だけとなります。
C社の所有割合が20%≦50%ですので、
A社は被支配会社に該当せず、特定同族会社に該当しません。
上記の判定で、被支配会社となるものであっても、
清算中の会社は除外されます。
被支配会社が1億円以下の場合
被支配会社が1億円以下の場合は、次の法人に限ります。
・前条(法人税法66条)5項2号から5号までの法人
・同条(法人税法66条)6項の大通算法人
参考規定
5 内国法人である普通法人のうち各事業年度終了の時において次に掲げる法人に該当するものについては、第二項の規定は、適用しない。
一 保険業法に規定する相互会社(次号ロにおいて「相互会社」という。)
二 大法人(次に掲げる法人をいう。以下この号及び次号において同じ。)との間に当該大法人による完全支配関係がある普通法人
イ 資本金の額又は出資金の額が五億円以上である法人
ロ 相互会社(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)
ハ 第四条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人(第六号において「受託法人」という。)
三 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式及び出資の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において当該いずれか一の法人と当該普通法人との間に当該いずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人(前号に掲げる法人を除く。)
四 投資法人
五 特定目的会社
六 受託法人6 第一項の場合において、中小通算法人(大通算法人(通算法人である普通法人又は当該普通法人の各事業年度終了の日において当該普通法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうち、いずれかの法人が次に掲げる法人に該当する場合における当該普通法人をいう。)以外の普通法人である通算法人をいう。以下この条において同じ。)の当該各事業年度の所得の金額のうち軽減対象所得金額以下の金額については、同項の規定にかかわらず、百分の十九の税率による。
法人税法66条
一 当該各事業年度終了の時における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人
二 当該各事業年度終了の時において前項第一号から第三号まで又は第六号に掲げる法人に該当する法人
大法人による完全支配関係がある場合
A社、資本金10億円(資本金1億円超、大法人)、被支配会社に該当
↓
↓ 所有割合100%
↓
B社、資本金1000万円
B社は、資本金が1億円以下ですが、
大法人(資本金5億円超)に100%支配されているため、
特定同族会社に該当します。
大通算法人の場合
グループ通算制度では、グループ通算法人のうち、
いずれかの法人が資本金1億円を超えると、大通算法人となります。
全ての法人の資本金が1億円以下の場合、中小通算法人になります。
A社、資本金2億円、通算制度を選択、被支配会社に該当
↓
↓ 所有割合100%
↓
B社、資本金1000万円、通算制度を選択
B社は、資本金が1億円以下ですが
大通算法人に該当するため、特定同族会社に該当します。
留意点
親の資本金が5億円超でなくても特定同族会社に該当する可能性があります。
参考情報
国税庁、令和4年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和4年4月1日以後終了事業年度等又は連結事業年度等分)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/01.htm
■特定同族会社の判定について(PDF/230KB)
特定同族会社の定義
特定同族会社(被支配会社で、被支配会社であることについての判定の基礎となつた株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるもの(資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるものにあつては、前条第五項第二号から第五号までに掲げるもの及び同条第六項に規定する大通算法人に限る。)をいい、清算中のものを除く。以下この条において同じ。)
法人税法67条1項