特定同族会社の特別税率_留保金課税


「留保金課税」とも言います。法人に留保した金額(留保金額)が一定額(留保控除額)を超えると、超えた部分に対して法人税が追加で課税される規定です。原則として資本金1億円以下の法人は適用除外となるため、中小企業等の実務ではほとんど見ない規定だと思います。

内容

規定をまとめると

内国法人である特定同族会社(注1)の各事業年度の留保金額が
留保控除額を超える場合には、
その特定同族会社に対して課する各事業年度の所得に対する法人税額は、
一定の規定に関係なく、通常の方法で計算した法人税額に、
一定の方法で計算した金額を加算します。

注1、特定同族会社の定義
省略

要件
1、特定同族会社に該当する。
2、留保金額>留保控除額

取扱い
留保控除額を超える部分の留保金額に応じて法人税を加算します。

計算例

次の場合
留保金額 2億円>留保控除額 5000万円

超える部分の留保金額
2億円-5000万円=1.5億円

加算する法人税

1、年3000万円以下
 3000万円×10%=300万円

2、年3000万円超~年1億円以下
 1億円-3000万円=7000万円×15%=1050万円

3、年1億円超
 1.5億円-1億円=5000万円×20%=1000万円

4、合計
 1+2+3=2350万円

参考、追加税率の割合
2350万円÷1.5億円=約15.6%

参考規定など

留保金課税の計算は、別表3(1)
特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書を使用します。https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/03(01).pdf

留保金課税についても通算法人の全体計算項目があります。
全体計算項目については、別表3(1)付表2を使用します。

別表3(1)付表2
通算法人の留保金額又は所得基準額の調整計算に関する明細書https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/pdf/03(01)-f2.pdf

(特定同族会社の特別税率)
第六十七条 内国法人である特定同族会社(被支配会社で、被支配会社であることについての判定の基礎となつた株主等のうちに被支配会社でない法人がある場合には、当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定するものとした場合においても被支配会社となるもの(資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるものにあつては、前条第五項第二号から第五号までに掲げるもの及び同条第六項に規定する大通算法人に限る。)をいい、清算中のものを除く。以下この条において同じ。)の各事業年度の留保金額が留保控除額を超える場合には、その特定同族会社に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の額は、前条第一項、第二項及び第六項並びに第六十九条第十九項(外国税額の控除)(同条第二十三項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定にかかわらず、これらの規定により計算した法人税の額に、その超える部分の留保金額を次の各号に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に当該各号に定める割合を乗じて計算した金額の合計額を加算した金額とする。
一 年三千万円以下の金額 百分の十
二 年三千万円を超え、年一億円以下の金額 百分の十五
三 年一億円を超える金額 百分の二十

法人税法

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