特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の改正


今回は、特定新規設立法人の納税義務の免除の特例の
改正法案を確認してみましょう。

特定新規設立法人の範囲拡大

改正予定の規定はこちら↓

第十二条の三
 その事業年度の基準期間がない法人(前条第一項に規定する新設法人及び社会福祉法第二十二条(定義)に規定する社会福祉法人その他の専ら別表第二に掲げる資産の譲渡等を行うことを目的として設立された法人で政令で定めるものを除く。以下この条において「新規設立法人」という。)のうち、その基準期間がない事業年度開始の日(以下この項及び次項において「新設開始日」という。)において特定要件(他の者により新規設立法人の発行済株式又は出資(その新規設立法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資が直接又は間接に保有される場合その他の他の者により新規設立法人が支配される場合として政令で定める場合であることをいう。以下この条において同じ。)に該当し、かつ、新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となつた他の者及び当該他の者と政令で定める特殊な関係にある法人のうちいずれかの者について当該新規設立法人の当該新設開始日の属する事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額(国又は地方公共団体が一般会計に係る業務として行う事業における課税資産の譲渡等の対価の額を除く。)が五億円を超える場合又は当該基準期間に相当する期間における総収入金額として政令で定めるところにより計算した金額(国若しくは地方公共団体が一般会計に係る業務として行う事業又は外国若しくは外国の地方公共団体が行う事業におけるものを除く。)が五十億円を超える場合における当該新規設立法人(以下この項及び第三項において「特定新規設立法人」という。)については、当該特定新規設立法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は第九条の二第一項、第十一条第三項若しくは第四項、第十二条第一項若しくは第二項若しくは前条第二項の規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

下線部分が追加されます。

基準期間がない法人については、
事業年度開始日の資本金の額で
消費税を納める必要があるかどうか(納税義務)を判定します。

資本金の額が1000万円以上であれば、
消費税の納税義務が発生します。
資本金の額が1000万円未満であれば、
特定新規設立法人の判定に移ります。

特定新規設立法人の判定では、
設立された法人の売上高ではなく、
設立された法人の親法人等の売上高で
消費税の納税義務を判定します。

通常は1000万円で判定しますが、
特定新規設立法人については、5億円で判定します。
5億円については、国内売上げに限定されています。

下線部分を再度確認してみましょう。

当該基準期間に相当する期間における総収入金額として政令で定めるところにより計算した金額(国若しくは地方公共団体が一般会計に係る業務として行う事業又は外国若しくは外国の地方公共団体が行う事業におけるものを除く。)が五十億円を超える場合における当該新規設立法人

50億円超とありますので、
プラットフォーム課税と関係があるのかと思いましたが、
税制改正大綱では、

③ 資本金1,000 万円未満の特定新規設立法人に対する納税義務の免除の特例について、本特例の対象となる特定新規設立法人の範囲に、その事業者の国外分を含む収入金額が50 億円超である者が直接又は間接に支配する法人を設立した場合のその法人を加えるほか、上記②と同様の措置を講ずる。

令和6年度税制改正大綱、94-95ページ

とあり、「その事業者の国外分を含む収入金額が50億円超」とありますので、
・国内の課税売上げ
・国外の課税売上げ
の合計(総収入金額)が50億円超かどうかで判定します。
(プラットフォーム課税収入の50億円とは直接関係しません。)

例えば、日本国内の課税売上げが4億円のみであれば
特定新規設立法人の特例に該当しませんが、
他に、国外の課税売上げが50億円あれば、合計で54億円となり、
特定新規設立法人の特例(課税事業者)に該当することになります。

応答義務

特定新規設立法人の判定については、
他の者(親法人など)の売上情報が必要となりますので、
親法人などは新規設立法人(子法人)に対し、
売上に関する情報を提供する必要があります。

応答義務規定についても、
上記の50億円基準が追加されています。

基準期間がある外国法人の特例

基準期間(原則として2期前)がある外国法人が
日本で商売を始めたら、2期前の売上高ではなく
「事業年度が開始した日の資本金の額」で
消費税の納税義務を判定することになります。

法案はこちら↓

5 その事業年度の基準期間がある外国法人が、当該基準期間の末日の翌日以後に国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した場合には、当該事業年度については、基準期間がないものとみなして、前各項の規定を適用する。

所得税法等の一部を改正する法律案

参考リンク
基準期間がある外国法人の納税義務の免除の特例

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