特定税額控除規定の不適用_前事業年度


今回は、特定税額控除規定の「前事業年度」を確認します。

前事業年度の定義

特定税額控除規定の不適用の判定では、前期の所得と当期の所得を比較するために、「前事業年度」を規定しています。通常、前期12月、当期12月となるため、あまり複雑にはなりません。

この「前事業年度」は、次の規定中に規定されています。

6 法第四十二条の十三第五項各号列記以外の部分に規定する政令で定める場合は、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下である場合とする。
一 法第四十二条の十三第五項に規定する対象年度(以下この条において「対象年度」という。)の基準所得等金額(当該対象年度開始の日前一年(当該対象年度が一年に満たない場合には、当該対象年度の期間。次号において同じ。)以内に終了した各事業年度(最初課税事業年度開始の日前に終了した各事業年度及び外国法人である人格のない社団等の第十三項第二号ニに規定する収益事業から生ずるものを有することとなつた日を含む事業年度開始の日からその有することとなつた日の前日までの期間を除く。次号において「前事業年度」という。)の月数を合計した数が当該対象年度の月数に満たない場合には、当該基準所得等金額を当該対象年度の月数で除し、これに当該合計した数を乗じて計算した金額)
二 前事業年度の基準所得等金額(対象年度開始の日から起算して一年前の日を含む前事業年度にあつては、当該前事業年度の基準所得等金額を当該前事業年度の月数で除し、これに当該一年前の日から当該前事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額)の合計額

措置法施行令27条の13

対象年度の定義

平成三十年四月一日から令和六年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「対象年度」という。)

措置法42条の13、5項、一部引用

その対象年度開始の日「前」1年以内に終了した各事業年度()を前事業年度といいます。一般的には事業年度は1年ですので、前事業年度も1年(12月)となります。

各事業年度のカッコ書きを見ると
最初課税事業年度開始の日前に終了した各事業年度及び外国法人である人格のない社団等の第十三項第二号ニに規定する収益事業から生ずるものを有することとなつた日を含む事業年度開始の日からその有することとなつた日の前日までの期間を除く。」とあります。

最初課税事業年度の定義は、次のとおりです。

二 最初課税事業年度 法第四十二条の十三第五項に規定する法人が次に掲げる法人に該当する場合におけるそれぞれ次に定める日を含む事業年度をいう。
イ 公益法人等又は内国法人である人格のない社団等 新たに収益事業を開始した日
ロ 公益法人等(収益事業を行つていないものに限る。)に該当していた普通法人又は協同組合等 当該普通法人又は協同組合等に該当することとなつた日
ハ 普通法人又は協同組合等に該当していた公益法人等 当該公益法人等に該当することとなつた日
ニ 外国法人 恒久的施設を有することとなつた日(人格のない社団等については、法人税法第百四十一条第一号に定める国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなつた日)

措置法施行令27条の13、13項、2号

各事業年度のカッコ書きは、
途中で課税関係が変わった場合の取扱い等を想定しています。

最初課税事業年度の具体例

ケース1
収益事業を行っていない公益法人等が前期に収益事業を始めた場合

4/1  スタート10/1  4/1           3/31
------×------|-----------|

4/1~9/30、最初課税事業年度開始の日前に終了した各事業年度
10/1~3/31、最初課税事業年度
となり、4/1~9/30までの期間は前事業年度から除外されます。

ケース2
収益事業を行っていない公益法人等が
前期に普通法人(全所得課税)に変更した場合

4/1     変更10/1   4/1           3/31
------×------|-----------|

4/1~9/30、最初課税事業年度開始の日前に終了した各事業年度
10/1~3/31、最初課税事業年度
となり、4/1~9/30までの期間は前事業年度から除外されます。

ケース3
普通法人(全所得課税)が公益法人等(収益事業課税)に変更した場合

4/1     変更10/1   4/1           3/31
------×------|-----------|

4/1~9/30、最初課税事業年度開始の日前に終了した各事業年度
10/1~3/31、最初課税事業年度
となり、4/1~9/30までの期間は前事業年度から除外されます。

前期の月数<当期の月数となる場合の調整計算など

当期の基準所得等金額を当期の対象年度の月数で除し、
これに当該合計した数を乗じて計算した金額とします。

具体的には、当期の所得÷12月(当期)×6月(10/1~3/31)の調整により、
前期の月数(6月)の金額と合わせます(1号調整)。
前期の金額を変えるのではなく、当期の金額を変更しています。

2号調整は、事業年度を変更した場合などを想定していると思います。

前事業年度の所得
———————-×1年前の日~前事業年度終了日までの月数
前事業年度の月数

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