特定親族特別控除が受けられない場合


今回は、特定親族特別控除が受けられない場合を確認してみましょう。

特定親族特別控除が受けられない場合

現行制度の配偶者特別控除が受けられない場合の特定親族版の規定です。

法案はこちら↓

2 前項の規定は、次に掲げる場合に該当するときは、適用しない。
一 特定親族が前項に規定する居住者として同項の規定の適用を受けている場合二 特定親族が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象親族(特定親族に限る。)がある居住者として第百八十五条第一項第一号若しくは第二号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)又は第百八十六条第一項第一号若しくは第二項第一号(賞与に係る徴収税額)の規定の適用を受けている場合(当該居住者としてこれらの規定の適用を受けている特定親族が、その年分の所得税につき、第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けた者である場合又は確定申告書の提出をし、若しくは決定を受けた者である場合を除く。)
三 前二号に掲げる場合のほか、政令で定める場合

次の場合に該当するときは特定親族特別控除が受けられない、と規定されています。

1、特定親族自身が特定親族特別控除を適用している場合
2、月次の給料等で源泉控除対象親族(特定親族あり)の源泉徴収を受けている場合
3、政令で定める場合

特定親族が特定親族特別控除を適用している場合

事例で考えてみましょう。

次の3人は、生計を一にする親族の関係です。
・居住者A
・居住者Aの特定親族B、年齢19歳以上23歳未満
・居住者Aの特定親族C、年齢19歳以上23歳未満

居住者AがBを特定親族として、特定親族特別控除を受けるとしましょう。

この場合に、B本人がCを特定親族として特定親族特別控除が適用すると、Aは特定親族特別控除が適用できなくなります。

事例2

次の3人は、生計を一にする特定親族の関係です。
・居住者A、年齢19歳以上23歳未満
・居住者B、年齢19歳以上23歳未満
・居住者C、年齢19歳以上23歳未満

A、B、Cの3人が別々に特定親族特別控除が適用できるのでしょうか?

左側が扶養する人、右側が扶養される人です。

居住者A→特定親族B
Aが特定親族特別控除を受けると、Cは特定親族特別控除が受けられません。

居住者B→特定親族C
Bが特定親族特別控除を受けると、Aは特定親族特別控除が受けられません。

居住者C→特定親族A
Cが特定親族特別控除を受けると、Bは特定親族特別控除が受けられません。

結論は、別々に特定親族特別控除が適用できない仕組みになっています。

誰か1人が他の2人を扶養するような場合、例えば、居住者Aが特定親族Bと特定親族Cを扶養する場合は、Aが2人分の特定親族特別控除を受けることができます。

月次の給料等で源泉控除対象親族(特定親族あり)の源泉徴収を受けている場合

規定を分けて確認してみましょう。


特定親族が、
・給与所得者の扶養控除等申告書又は
・従たる給与についての扶養控除等申告書
に記載された源泉控除対象親族(特定親族に限る。)がある居住者として

・第百八十五条第一項第一号若しくは第二号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)又は
・第百八十六条第一項第一号若しくは第二項第一号(賞与に係る徴収税額)
の規定の適用を受けている場合

(当該居住者としてこれらの規定の適用を受けている特定親族が、その年分の所得税につき、第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けた者である場合又は確定申告書の提出をし、若しくは決定を受けた者である場合を除く。)

特定親族が「給与所得者の扶養控除等申告書など」に記載された源泉控除対象扶養親族(特定親族に限る。)がある居住者として
・給料
・賞与
の源泉徴収の適用を受けている場合、特定親族特別控除が受けられません。

事例で考えてみましょう。

次の2人は、生計を一にする特定親族の関係です。
・居住者A、年齢19歳以上23歳未満
・居住者B、年齢19歳以上23歳未満

居住者Aは、扶養控除等申告書に特定親族Bを記載した。
居住者Bは、扶養控除等申告書に特定親族Aを記載した。

居住者Aと居住者Bは、特定親族特別控除が受けられるでしょうか?
原則として、2人とも特定親族特別控除が受けられないと読めます。

ただし、カッコ書きで、特定親族が
・年末調整を受けた場合
・確定申告書を提出した場合等
で税額を確定させたときは適用除外から除外される(適用できる)ため、いずれか1人が特定親族特別控除が受けることになるのでしょう。

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