特定資産譲渡等損失額_適格組織再編成等の場合(法法62条の7)


今回は、適格組織再編成等があった場合の特定資産譲渡等損失額の定義を確認します。

内容(法法62条の7②)

特定資産譲渡等損失額は、1号と2号の合計額です。

1号、特定引継資産の譲渡等の純損失合計額
内国法人が支配関係法人(法法62条の7①)から特定適格組織再編成等により移転を受けた資産(注1)でその支配関係法人がその内国法人との間に最後に支配関係(50%超)を有することとなった日(支配関係発生日)の属する事業年度開始日「前」から有していたもの(注2、特定引継資産)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失額として政令で定める金額の合計額から特定引継資産の譲渡、評価換えその他の事由による利益額として政令で定める金額の合計額をマイナスした金額

注1、棚卸資産、その特定適格組織再編成等の日における帳簿価額が少額であるものその他の政令で定めるものを除く。

注2、これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。

2号、特定保有資産の譲渡等の純損失合計額
内国法人が有する資産(注3)で支配関係発生日の属する事業年度開始日「前」から有していたもの(注4、特定保有資産)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失額として政令で定める金額の合計額から特定保有資産の譲渡、評価換えその他の事由による利益額として政令で定める金額の合計額をマイナスした金額

注3、棚卸資産、特定適格組織再編成等の日の属する事業年度開始日における帳簿価額が少額であるものその他の政令で定めるものを除く。

→ 除外される資産の判定日が
→ 特定引継資産については、再編成等の日
→ 特定保有資産については、事業年度の開始日で異なります。

注4、これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。


イメージ図

           開始日
合併法人等--ーーーーー|------|------|--譲渡等
(1号、特定保有資産)   ↓ 支配関係  ↑       →損金算入制限
=含み損益資産)      ↓ 発生日   ↑ 特定適格組織再編成等
              ↓       ↑
支配関係法人------|------|-|
(2号、特定引継資産)
=含み損益資産

特定資産譲渡等損失額=
1号(特定引継資産の譲渡等の純損失合計額)+
2号(特定保有資産の譲渡等の純損失合計額)

特定引継資産から除外されるもの

特定引継資産から除外されるものは次の6つです。

  1. 棚卸資産(土地等を除く。)
  2. 短期売買商品等
  3. 売買目的有価証券
  4. 特定適格組織再編成等の日における帳簿価額又は取得価額(一定の単位毎)が1000万円未満の資産
  5. 支配関係発生事業年度開始日の時価≧同日の帳簿価額(含み損が生じていない資産)、手続き要件を満たしたものに限ります。
  6. 非適格合併により移転を受けた資産で譲渡損益調整資産(法法61条の11①)以外のもの

参考規定

2 法第六十二条の七第二項第一号に規定するその他の政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 棚卸資産(土地(土地の上に存する権利を含む。第五項第三号において「土地等」という。)を除く。)
二 法第六十一条第二項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等
三 法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券
四 法第六十二条の七第一項に規定する特定適格組織再編成等(以下この条において「特定適格組織再編成等」という。)の日における帳簿価額又は取得価額(資産を財務省令で定める単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額又は取得価額とする。)が千万円に満たない資産

五 法第六十二条の七第二項第一号に規定する支配関係発生日(次項において「支配関係発生日」という。)の属する事業年度開始の日における価額が同日における帳簿価額を下回つていない資産(同条第一項の内国法人の同項に規定する特定組織再編成事業年度の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同日における当該資産の価額及びその帳簿価額に関する明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該資産に係る同日の価額の算定の基礎となる事項を記載した書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合における当該資産に限る。)

六 適格合併に該当しない合併により移転を受けた資産で法第六十一条の十一第一項に規定する譲渡損益調整資産(以下この条において「譲渡損益調整資産」という。)以外のもの

法人税法施行令123条の8、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
特定保有資産から除外されるもの

特定保有資産は、特定引継資産とほぼ同じです。
特定引継資産の譲渡損益調整資産以外の資産(6号)だけがありません。

読み替え後の規定

2 法第六十二条の七第二項第一号に規定するその他の政令で定めるものは、第一号から第五号までに掲げるものとする。
一 棚卸資産(土地(土地の上に存する権利を含む。第五項第三号において「土地等」という。)を除く。)
二 法第六十一条第二項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等
三 法第六十一条の三第一項第一号(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入等)に規定する売買目的有価証券
四 法第六十二条の七第一項に規定する特定適格組織再編成等(以下この条において「特定適格組織再編成等」という。)の日の属する事業年度開始の日における帳簿価額又は取得価額(資産を財務省令で定める単位に区分した後のそれぞれの資産の帳簿価額又は取得価額とする。)が千万円に満たない資産

五 法第六十二条の七第二項第一号に規定する支配関係発生日(次項において「支配関係発生日」という。)の属する事業年度開始の日における価額が同日における帳簿価額を下回つていない資産(同条第一項の内国法人の同項に規定する特定組織再編成事業年度の確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同日における当該資産の価額及びその帳簿価額に関する明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該資産に係る同日の価額の算定の基礎となる事項を記載した書類その他の財務省令で定める書類を保存している場合における当該資産に限る。)

法人税法施行令123条の8、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
参考規定

2 前項に規定する特定資産譲渡等損失額とは、次に掲げる金額の合計額をいう。
一 前項の内国法人が同項の支配関係法人から特定適格組織再編成等により移転を受けた資産(棚卸資産、当該特定適格組織再編成等の日における帳簿価額が少額であるものその他の政令で定めるものを除く。)で当該支配関係法人が当該内国法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日(次号において「支配関係発生日」という。)の属する事業年度開始の日前から有していたもの(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この号において「特定引継資産」という。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失の額として政令で定める金額の合計額から特定引継資産の譲渡、評価換えその他の事由による利益の額として政令で定める金額の合計額を控除した金額
二 前項の内国法人が有する資産(棚卸資産、特定適格組織再編成等の日の属する事業年度開始の日における帳簿価額が少額であるものその他の政令で定めるものを除く。)で支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から有していたもの(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この号において「特定保有資産」という。)の譲渡、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失の額として政令で定める金額の合計額から特定保有資産の譲渡、評価換えその他の事由による利益の額として政令で定める金額の合計額を控除した金額

法人税法62条の7、特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入
PAGE TOP