現金基準の計算


今回は、現金基準の計算を確認してみましょう。

収入の計算方法

利益を計算する場合、現預金の増減に関係なく、
取引の発生に対して記帳・集計をする必要があります。
(発生基準といいます。)

取引例
・商品を販売した。サービスを提供した。
・商品を仕入れた。サービスを受けた。
・固定資産を購入した。売却した。

ただし、小規模の事業者については、手続きすれば、
現預金の入出金に合わせて、売上や仕入・経費を集計することも可能です。
(現金基準といいます。)

現金基準の原則は、次の2つです。
・入金時に収入計上する。
・出金時に費用計上する。

ただし、例外にあてはまる場合は現金基準が選択できません。

例外は、次の3つです。
・業務の全部を売却した年、業務を廃止した年、亡くなった年
・山林、動産、不動産の売却
・米や麦等の農産物を収穫した場合

個人事業者が亡くなる前に掛け売上を行った場合、現金基準が選択できません。実際に売上代金を回収するのは相続人ですが、掛け売上を行った個人事業者の収入として確定申告が必要となります。

山林、動産、不動産の売却は、不動産所得や事業所得ではなく、
山林所得や譲渡所得の対象となるため、現金基準の対象外となります。

経費の計算方法

費用の計算についても、一部例外があります。

例外は、次の2つです。
・減価償却の計算
・資産の損失

1つ10万円以上の固定資産については、原則として
使用年数に応じて費用を按分する必要があります。
(減価償却といいます。)

減価償却は複数年にわたって計算するため、
現金基準の対象外となります。

資産の損失は損失の発生に応じて費用が計上するため、
現金基準の対象外となります。

参考規定

収入の計算方法

(小規模事業者の収入及び費用の帰属時期)
第百九十六条 法第六十七条第一項(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)に規定する居住者で前条各号に掲げる要件に該当するもののその年分(不動産所得を生ずべき業務及び事業所得を生ずべき業務の全部を譲渡し、若しくは廃止し、又は死亡した日の属する年分を除く。)の不動産所得の金額及び事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額に算入すべき金額は、法第二編第二章第二節第三款(収入金額の計算)(法第四十一条(農産物の収穫の場合の総収入金額算入)を除く。)の規定の適用を受けるものを除き、その者の選択により、これらの業務につきその年において収入した金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入した場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とすることができる。

所得税法施行令196条第1項、施行日令和6年4月1日

経費の計算方法

2 前項の規定の適用を受ける居住者のその年分の同項に規定する不動産所得の金額及び事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、償却費並びに法第五十一条第一項及び第四項(資産損失の必要経費算入)の規定の適用を受けるものを除き、その年においてこれらの所得の総収入金額を得るために直接支出した費用の額及びその年においてこれらの所得を生ずべき業務について支出した費用の額とする。

所得税法施行令196条第2項、施行日令和6年4月1日

現金基準を止める場合については、財務省令を確認

3 前二項に定めるもののほか、第一項の規定の適用を受ける居住者がその適用を受けないこととなる場合における不動産所得又は事業所得に係る総収入金額及び必要経費の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、財務省令で定める。

所得税法施行令196条第3項、施行日令和6年4月1日

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