生前に贈与した場合であっても相続税の計算に含まれないもの


今回は、生前に贈与した場合であっても相続税の計算に含まれないもの(特定贈与財産)を確認してみましょう。

特定贈与財産

相続税には、亡くなる前に贈与した財産を相続財産に足し戻す特例があります。生前贈与加算といいます。

原則として、亡くなった日を基準に7年さかのぼって足し戻します。令和8年12月31日までに亡くなった場合は、7年ではなく改正前と同じ3年となっています。

今回は、7年~3年の間に贈与した財産であっても足し戻さなくてよい財産(特定贈与財産)を確認してみましょう。

参考規定はこちら↓

2 前項に規定する特定贈与財産とは、第二十一条の六第一項に規定する婚姻期間が二十年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与により当該被相続人の配偶者が取得した同項に規定する居住用不動産又は金銭で次の各号に掲げる場合に該当するもののうち、当該各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める部分をいう。
一 当該贈与が当該相続の開始の年の前年以前にされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該贈与による取得の日の属する年分の贈与税につき第二十一条の六第一項の規定の適用を受けているとき 同項の規定により控除された金額に相当する部分
二 当該贈与が当該相続の開始の年においてされた場合で、当該被相続人の配偶者が当該被相続人からの贈与について既に第二十一条の六第一項の規定の適用を受けた者でないとき(政令で定める場合に限る。) 同項の規定の適用があるものとした場合に、同項の規定により控除されることとなる金額に相当する部分

相続税法第19条第2項、令和7年6月1日施行

特定贈与財産について定義されています。

1つ目の要件は、婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与です。

具体的には、
・婚姻の届出があった日から
・居住用不動産や金銭の贈与があった日まで
の期間が20年以上かどうかで判定します。

離婚している期間がある場合は、20年の計算から除外する必要があります。

2つ目の要件は、次の財産であることです。
・居住用不動産
・金銭

居住用財産は、別の規定で定義されていますので確認してみましょう。

(贈与税の配偶者控除)
第二十一条の六 その年において贈与によりその者との婚姻期間が二十年以上である配偶者から専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利若しくは家屋でこの法律の施行地にあるもの(以下この条において「居住用不動産」という。)以下省略

専ら居住の用に供する
・土地
・土地の上に存する権利(借地権など)
・家屋
の3つで、日本にあるものをいいます。外国にある土地や家屋は対象外です。

特定贈与財産は、2つあります。

相続があった年の前年以前(過去)に贈与があった場合

相続があった年の前年以前(過去)に贈与があった場合に、贈与により財産を受け取った配偶者が「贈与税の配偶者控除(2000万円控除)」を受けているときです。この場合は、控除された部分を足し戻す必要がなくなります。

2000万円を足し戻すと贈与税の計算で2000万円を控除した効果がなくなるからです。

相続があった年に贈与があった場合

亡くなった年と贈与した年が同じ場合については、贈与税の配偶者控除をまだ受けていないことがあります。既に贈与税の配偶者控除を受けている場合は対象外となります。

贈与税の配偶者控除を受けていない場合は、贈与税の配偶者控除を受けていると仮定します。仮定すると控除される部分がありますので、その部分については足し戻す必要がなくなります。

参考規定など

婚姻期間の計算方法

2 法第二十一条の六第一項に規定する婚姻期間は、同項に規定する配偶者と当該配偶者からの贈与により同項に規定する居住用不動産又は金銭を取得した者との婚姻につき民法第七百三十九条第一項(婚姻の届出)の届出があつた日から当該居住用不動産又は金銭の贈与があつた日までの期間(当該期間中に当該居住用不動産又は金銭を取得した者が当該贈与をした者の配偶者でなかつた期間がある場合には、当該配偶者でなかつた期間を除く。)により計算する。

相続税法施行令第4条の6第2項、令和7年4月1日施行

過去に贈与税の配偶者控除を受けずに、亡くなった年分で贈与税の配偶者控除を受ける場合

2 法第十九条第二項第二号に規定する政令で定める場合は、同号の被相続人の配偶者が、法第二十七条第一項の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。)又は国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に、法第十九条第二項に規定する居住用不動産又は金銭につきこれらの財産の価額を贈与税の課税価格に算入する旨その他財務省令で定める事項を記載し、財務省令で定める書類を添付して、これを提出した場合とする。

相続税法施行令第4条第2項、令和7年4月1日施行

おまけ

相続税法基本通達を確認してみましょう。

(相続開始の年の特定贈与財産に対する贈与税の課税)
19-9 相続の開始の年に当該相続に係る被相続人から贈与により取得した居住用不動産又は金銭で特定贈与財産に該当するものについては、法第21条の2第4項の規定の適用がなく、その財産の価額が相続の開始の日の属する年分の贈与税の課税価格に算入されるのであるから留意する。(平6課資2-114追加、平15課資2-1改正)
(注) 法第19条第2項第2号の規定により特定贈与財産に該当することとなった居住用不動産又は金銭の価額については、贈与税の配偶者控除の適用がない場合であっても、相続税の課税価格に加算されないのであるから留意する。

相続税法基本通達

「法第21条の2第4項」は、相続があった年の生前贈与で相続税の計算に含まれるものは、贈与税の計算に含めないという規定です。

「この規定が適用がなく」とありますので、特定贈与財産は贈与税の計算に含まれます。

注意書きは、「法第19条第2項第2号」の仮定計算のことです。仮定で計算するため贈与税の配偶者控除(2000万円控除)がなかったとしても、相続税の計算に含めないということが公表されています。

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