用途区分


今回は、消費税の用途区分について確認します。

用途区分が必要な場合

消費税には、用途区分という取扱いがあります。
用途区分が必要な事業者は、次の2つです。

  1. 当期の課税売上高が5億円を超える場合
  2. 当期の課税売上割合が95%未満の場合

1か2に該当する事業者は、支払った消費税について、
A、個別対応方式
B、一括比例配分方式
のいずれかで計算する必要があります。

Aの個別対応方式で計算する場合に、用途区分が必要となります。
Bの一括比例配分方式については、用途区分が不要です。

個別対応方式

支払った消費税について、次の3つに分けることを用途区分といいます。

  1. 課税資産の譲渡等にのみ要するもの
  2. その他の資産の譲渡等にのみ要するもの
  3. 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの
課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税売上対応)

支払った消費税が、将来の課税資産の譲渡等にのみ対応するものです。例えば、非課税売上に該当しない商品を販売するために、支払った消費税です。

仕入れ売上げ
仕入8,000円 / 現金8,800円
仮払消費税800円 /
現金11,000円 / 課税売上10,000円
       / 仮受消費税1,000円
課税売上げ対応

消費税には、預かった消費税(仮受消費税)がある場合に
支払った消費税(仮払消費税)の控除をするという考え方があります。
上記仕訳のように預かった消費税1,000円がある場合、
支払った消費税800円を控除することが可能です。

その他の資産の譲渡等にのみ要するもの(非課税売上対応)

支払った消費税が、将来の非課税資産の譲渡等にのみ対応するものです。
例えば、非課税売上に該当する商品を販売するために支払った消費税です。

仕入れ売上げ
仕入8,000円 / 現金8,800円
仮払消費税800円 /
現金11,000円/非課税売上11,000円
      /仮受消費税 0円
非課税売上げ対応

上記の仕訳のように、預かった消費税がない場合、
支払った消費税800円を控除できません。

課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(共通対応)

課税売上と非課税売上が混在する場合は、共通して要するものとして、
一定の割合(課税売上割合)に応じて消費税を控除することが可能です。

仕入れ売上げ
経費16,000円 / 現金17,600円
仮払消費税1,600円 /
現金11,000円/課税売上10,000円
      /仮受消費税1,000円
現金11,000円/非課税売上11,000円
      /仮受消費税 0円
共通対応

上記の仕訳のように、課税売上と非課税売上が混在する場合、支払った消費税1,600円の一部を課税売上割合に応じて控除することが可能です。

一括比例配分方式

一括比例配分方式は、個別対応方式の用途区分をせずに、
支払った消費税の一部を課税売上割合に応じて控除することが可能です。

参考規定など

仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A〔Ⅰ〕
【基本的な考え方編】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/kihon.pdf

仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A〔Ⅱ〕
【具体的事例編】
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/gutailei.pdf

2 前項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上高が五億円を超えるとき、又は当該課税期間における課税売上割合が百分の九十五に満たないときは、同項の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額、特定課税仕入れに係る消費税額及び同項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額(以下この章において「課税仕入れ等の税額」という。)の合計額は、同項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法により計算した金額とする。

一 当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ及び特定課税仕入れ並びに当該課税期間における前項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(以下この号において「その他の資産の譲渡等」という。)にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされている場合 イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算する方法
イ 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ、特定課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額
ロ 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ、特定課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額

二 前号に掲げる場合以外の場合 当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法

消費税法30条2項
PAGE TOP