留保金課税の留保金額の調整_通算法人に配当金を支払った場合(法令139条の8第2項)_その1


今回は、留保金課税の留保金額の調整のうち、
通算法人に配当金を支払った場合(法令139条の8第2項)を確認します。

内容

規定(法令139条の8第2項)をまとめると

特定同族会社である通算法人が
その事業年度において剰余金の配当等をした場合には、
留保金額は、調整前の留保金額に
通算外配当等流出額と通算内配当等の額をプラス、
通算外配当等流出配賦額をマイナスします。

算式だと
留保金額=調整前の留保金額+
通算外配当等流出額+通算内配当等の額-通算外配当等流出配賦額

通算外配当等流出額はグループ外に支払った配当金、
通算内配当等の額はグループ内に支払った配当金をいいます。
(通算内配当等の名前が支払いなのか受取りなのか把握しづらいですね。)

調整前の留保金額に、支払った配当金をプラスしているのは、
「配当金支払前の留保金額」に足し戻しています。

足し戻した後の留保金額から
「グループ外に支払った配当金のうち各通算法人の負担額」をマイナスします。
通算外配当等流出配賦額は全体計算です。

今回は、プラスする通算外配当等流出額と
通算内配当等の額の定義を確認します。

通算外配当等流出額

規定(法人税法施行令139条の8第3項第1号)をまとめると

通算外配当等流出額とは、
通算法人がした剰余金の配当等により減少した利益積立金額等のうち、
その基準日等「又は」その通算法人の事業年度終了日において
その通算法人との間に通算完全支配関係がない者に対して交付した
金銭等をいいます。

グループ外に支払った配当金です。

期中に通算グループ内に加入したり離脱したりした場合であっても、
「通算外配当等流出額」に該当します。

中途で加入した場合

 基準日等(関係なし)    又は   終了日(関係あり)  
--|------×---------------|--------
        配当金支払→通算外配当等流出額           

通算内配当等の額

規定(法人税法施行令139条の8第3項第2号)をまとめると

通算内配当等の額とは、
通算法人がした剰余金の配当等により減少した利益積立金額等のうち、
その基準日等「及び」その通算法人の事業年度終了日において
その通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人に対して交付した
金銭等をいいます。

グループ内に支払った配当金です。

通算外配当等流出額は「又は」ですが、
通算内配当等の額は「及び」で相違しています。
基準日等と終了日の両方で通算100%支配関係がある場合は、
「通算内配当等の額」となります。

基準日等と終了日の片方で通算100%支配関係がある場合は、
「通算外配当等流出額」となります。

 基準日等(関係あり)   及び    終了日(関係あり)  
--|------×---------------|--------
        配当金支払→通算内配当等の額

参考規定

グループ内に支払った配当金がある場合の留保金額の調整

2 特定同族会社である通算法人が当該事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。)において剰余金の配当若しくは利益の配当をし、又は特定同族会社である通算法人に当該事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。)において法第二十四条第一項各号に掲げる事由が生じた場合には、これらの通算法人における当該事業年度の法第六十七条第三項に規定する留保金額は、同項に規定する合計額を控除した金額にこれらの通算法人の通算外配当等流出額及び通算内配当等の額を加算した金額からこれらの通算法人の通算外配当等流出配賦額を減算した金額とする。

法人税法施行令139条の8

通算外配当等流出額(グループ外に支払った配当金)

3 前項及びこの項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 通算外配当等流出額 通算法人がした剰余金の配当又は利益の配当により減少した利益積立金額及び当該通算法人について生じた法第二十四条第一項各号に掲げる事由(剰余金の配当又は利益の配当に該当するものを除く。)により減少した利益積立金額の合計額のうち、その基準日等又は当該通算法人の事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。)終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がない者に対して交付した金銭その他の資産に係る部分の金額をいう。

法人税法施行令139条の8

通算内配当等の額(グループ内に支払った配当金)

3 前項及びこの項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
二 通算内配当等の額 通算法人がした剰余金の配当又は利益の配当(法第二十四条第一項第二号から第四号までに掲げる事由が生じたことに基因する金銭その他の資産の交付に該当するものを除く。)により減少した利益積立金額及び当該通算法人について生じた同項第四号から第七号まで(第四号にあつては、解散による残余財産の分配に係る部分を除く。)に掲げる事由により減少した利益積立金額の合計額のうち、その基準日等及び当該通算法人の事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限る。)終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人に対して交付した金銭その他の資産に係る部分の金額をいう。

法人税法施行令139条の8
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