今回は、法人税の益金の額について確認します。
益金の額の内容
益金とは、会計の収益みたいなもので、
益金算入すべきものの例示が6つあります。
- 資産の販売
- 有償による資産の譲渡
- 無償による資産の譲渡
- 有償による役務の提供
- 無償により役務の提供
- 無償による資産の譲受け
その他の取引で資産等取引以外のものに係るその年度の「収益の額」をいいます。一般的に会計上の収益の額が、法人税の益金の額となります。ただし、まったく同じではありません。
例示を確認します。
1の資産の販売は、例えば棚卸資産の販売です。
2の有償による資産の譲渡は、例えば有価証券や固定資産の譲渡です。
3と5は後で説明します。
4の有償による役務の提供は、サービスの提供のことです。
6はただで現金や資産をもらうことです。
後回しにした3番と5番については、
無償なのに益金が発生する取扱いです。
無償による資産の譲渡
例えば、時価1億円の土地を無償で譲渡した場合。
会計の仕訳は、
借方 | 貸方 |
---|---|
土地譲渡損 1億円 | 土地 1億円 |
となります。収益は発生しません。
上記に対して、法人税法では、一度時価で譲渡したと考えます。
株式会社などは個人と異なり営利目的だからです。
ただで物を渡すということを前提としていません。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 1億円 | 土地売却収入 1億円 |
(借方)現金1億円は実際に収受していないため、相手にただで渡したと考えます。
借方 | 貸方 |
---|---|
寄付金 1億円 | 現金 1億円 |
借方 | 貸方 |
---|---|
土地譲渡損 1億円 | 土地 1億円 |
土地の譲渡損については無償であっても有償であっても同じです。
ただで土地を渡したにもかかわらず、土地売却収入1億円が益金の額に算入されます。無償による資産の譲渡が益金の額に算入される理由です。土地譲渡損1億円については、損金の額に算入されます。
ただで渡した現金1億円については、(借方)寄付金1億円となり、原則の考えであれば全額損金の額に算入されますが、寄付金の損金不算入という例外規定があり、全額損金算入できない場合があります。
5番の無償による役務の提供は、3番と同じ考え方です。
ただでサービスを行った場合です。
例示には挙がっていませんが無償による役務の受領については、明確に記載されていませんが、あくまでも例示であるため、無償による役務の受領についても益金が発生すると考えます。
上記の取扱いは原則で、例外については「別段の定め」として別に規定が設けられています。