相続などで財産を取得しなかった場合の相続時精算課税と障がい者の控除


今回は、相続などで財産を取得しなかった場合の相続時精算課税と障がい者の控除を確認してみましょう。

障がい者の控除

障がいがある人が亡くなった人から財産を受け取った場合、相続税が少なくなる特例があります。障がい者控除といいます。

障がい者控除の主な要件は、次の3つです。
1、相続などにより財産を取得している。
2、民法で規定されている相続人(法定相続人)に該当する。
3、財産を受け取った人が障がい者に該当する。

参考リンク
相続税の障がい者控除

相続時精算課税との関係

相続時精算課税は、生前贈与の計算を相続税の計算に追加するため、規定を読み替える必要があります。

読替規定は、
1、相続などで財産を受け取った場合(相続税法第21条の15関係)
2、相続などで財産を受け取らなかった場合(相続税法第21条の16関係)
の2つに分かれます。

障がい者控除に関する読み替えについては、2の相続などで財産を受け取らなかった場合にあります。確認してみましょう。

第十九条の四第一項中「該当する者」とあるのは「該当する者及び同項第五号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)」とする。

実際に「相続税法第19条の4第1項」を読み替えてみましょう。

(障がい者控除)
第十九条の四 相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第二号から第四号までの規定に該当する者及び同項第五号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

財産を取得した者のカッコ書きの内容が変わります。

障がい者控除が受けられない人

カッコ書きの第1条の3第1項
・第2号、非居住無制限納税義務者
・第3号、居住制限納税義務者
・第4号、非居住制限納税義務者
に該当する場合は、障がい者控除の対象から外れます。
(第2号から第4号は、特殊なケースです。)

続きの「同項第五号の規定に該当する者(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)」が追加された部分です。

同項第5号は、
・相続時精算課税の対象となる贈与で財産を受け取った人
をいいます。

ただし、相続などで財産を受け取った人は含まれません。

カッコ書きを確認してみましょう。

(当該相続に係る被相続人の相続開始の時においてこの法律の施行地に住所を有しない者に限る。)

亡くなった方(被相続人)の相続が始まったタイミングで、日本国内(この法律の施行地)に住所を有しないものに限って、障がい者控除の対象から外れることになります。

日本国内に住所がある場合は、障がい者控除の対象となります。

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