今回は、相続などで財産を取得しなかった場合の相続時精算課税で相続税の計算に足し戻す金額を確認してみましょう。
相続などで財産を取得しなかった場合
規定を確認してみましょう。
3 第一項の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産に係る第一節の規定の適用については、次に定めるところによる。
相続税法第21条の16第3項、令和7年6月1日施行
一 当該財産の価額は、第一項の贈与の時における価額とする。
二 当該財産の価額から第二十一条の十一の二第一項の規定による控除をした残額を第十一条の二の相続税の課税価格に算入する。
「第1項」は、相続などで財産を取得しなかった相続時精算課税を選択した人に関する規定です。
相続などで財産を取得しなかったとしても、生前贈与のときに支払った贈与税を相続税の計算で精算することを選択しているため、贈与で受け取った財産を相続で受け取ったものとして取り扱われます。
「第1節」は、相続税に関する規定です。取扱いは2つあります。
1、相続税の計算に足し戻す時の基準は、相続ではなく贈与の時です。
例えば、10年前の受け取った建物の金額が2,110万円の場合、2,110万円が相続税の計算の対象となります。亡くなった時の価額は関係ありません。
2、相続時精算課税の基礎控除(110万円)がマイナスできます。
「第21条の11の2第1項の規定による控除」は、相続時精算課税の基礎控除のことです。
基礎控除をマイナスした残額を相続税が課税される金額にプラスします。
例えば、10年前の受け取った建物の金額が2,110万円の場合、相続時精算課税の基礎控除(110万円)をマイナスした残り2,000万円が相続税の計算に追加されます。
相続などで財産を取得した場合
相続などで財産を取得した場合は、相続税法第21条の16第3項のような規定がありませんが、贈与で受け取った財産を相続税の計算に追加する必要があります。
参考規定は、こちら↓
第二十一条の十五 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるもの(第二十一条の二第一項から第三項まで、第二十一条の三、第二十一条の四及び第二十一条の十の規定により当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。)の価額から第二十一条の十一の二第一項の規定による控除をした残額を相続税の課税価格に加算した価額をもつて、相続税の課税価格とする。
相続税法第21条の15第1項、令和7年6月1日施行
相続時精算課税の対象となる財産については、カッコ書きで「当該取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるものに限る。」とあります。
当該取得は、相続時精算課税の要件を満たす人(例、親など)からの贈与による取得をいいますので、贈与時の金額で相続税の計算をする必要があります。
相続などで財産を取得した場合についても、「第21条の11の2第1項の規定による控除」とありますので、相続時精算課税の基礎控除(110万円)がマイナスできます。
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