今回は、相続時精算課税の手続きをする前に亡くなった場合を確認してみましょう。
相続人が手続きできる。
1つ目の要件は、贈与により財産を取得した人が、相続時精算課税を選択できる場合です。
2つ目の要件は、贈与により財産を取得した人が相続時精算課税を選択するための届出書を提出期限の前に届出書を提出しないで亡くなった場合です。
2つの要件を満たした場合は、相続時精算課税を選択しようとした人の相続人が亡くなった人に代わって届出書を提出できます。
提出期限は、相続税の申告書の提出期限(相続開始から10月以内)と同じです。
参考規定
第二十一条の十八 贈与により財産を取得した者(以下この条において「被相続人」という。)が第二十一条の九第一項の規定の適用を受けることができる場合に、当該被相続人が同条第二項の規定による同項の届出書の提出期限前に当該届出書を提出しないで死亡したときは、当該被相続人の相続人(当該贈与をした者を除く。以下この条において同じ。)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(相続人が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に、政令で定めるところにより、当該届出書を当該被相続人の納税地の所轄税務署長に共同して提出することができる。
相続税法第21条の18第1項、令和7年6月1日施行
手続きした人が引き継ぐ。
相続時精算課税を選択しようとした人の相続人は、亡くなった人の相続時精算課税に関する権利や義務を引き継ぎます。
参考規定
2 前項の規定により第二十一条の九第二項の届出書を提出した相続人は、被相続人が有することとなる同条第一項の規定の適用を受けることに伴う納税に係る権利又は義務を承継する。この場合において、前条第二項及び第三項の規定を準用する。
相続税法第21条の18第2項、令和7年6月1日施行
前条(第21条の17)第2項、限定承認した場合
前条第3項、国税通則法との関係(法定相続分等の按分、連帯納付責任)
手続きしようとした人が亡くなった場合
相続時精算課税を選択しようとした人の相続人が、届出書を提出期限までに提出しないで亡くなった場合は、前2項を準用します。
前2項は、次の2つです。
・第21条の18条第1項、被相続人の相続時精算課税の手続き
・第21条の18条第2項、相続時精算課税に関する権利や義務の承継
参考規定
3 第一項の規定により第二十一条の九第二項の届出書を提出することができる被相続人の相続人が当該届出書を提出しないで死亡した場合には、前二項の規定を準用する。
相続税法第21条の18第3項、令和7年6月1日施行