今回は、相続税の申告書に関する規定を確認してみましょう。
規定の内容
先に規定を確認してみましょう。
(相続税の申告書)
第二十七条 相続又は遺贈(注2)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注3)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(注4)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(注5)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(カッコ書きが多いので、省略しています。)
規定の前半には、
・誰が申告書を提出するのか
・申告書を提出する条件
が規定されています。
相続税の申告書を提出するのは、次の2人です。
1、相続などにより財産を取得した人
2、亡くなった方の相続時精算課税を選択した人
申告書を提出する条件を確認してみましょう。2つあります。
当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(注3)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合
1、亡くなった方から相続などにより財産を取得した「すべての人」の相続税の課税される財産の金額の合計額
2、遺産の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人)
3、1>2の場合
が条件となります。
例えば、次の場合
・亡くなった方の相続税が課税される財産 8000万円
・法定相続人の2人が、相続などにより8000万円の財産を全て取得
1、課税される財産 8000万円
2、3000万円+600万円×法定相続人2人=4200万円
3、1>2
となり、条件をクリアします。
もう1つ条件があります。
その者に係る相続税の課税価格(注4)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるとき
「相続税があるとき」が条件です。相続税の計算では、基礎控除(3000万円+α)の他に、相続税が減る特例があります。相続税が減る特例を利用した結果、相続税がない場合は、相続税の申告書を提出する必要はありません。
2つの条件をクリアした場合は、相続税の申告書を提出する必要があります。続きは、いつまでに提出する必要があるのかが規定されています。
その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(注5)
相続税の申告期限は、亡くなった日から10カ月以内です。
(所得税の申告期限は、4カ月以内)
最後に、何を誰に提出すればいいのかが規定されています。
課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
「相続税の申告書」を相続税の基準となる場所(納税地)の税務署に提出してくださいね、と規定されています。
カッコ書きの内容
省略したカッコ書きは、4つあります。
1つ目のカッコ書き
当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。
遺贈には、相続時精算課税が選択された贈与を含みます。相続時精算課税を選択した場合、相続時に贈与税を精算する必要があるからです。
2つ目のカッコ書き
第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額
相続税の計算には、相続税が増える特例もあります。相続税が増える特例を計算した後の金額という意味です。
3つ目のカッコ書き
第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額
2つ目のカッコ書きと同じ内容です。
4つ目のカッコ書き
その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで
その者は、相続税の申告書を提出する必要がある人を指しています。
相続税の申告書を提出する必要がある人が、
・納税管理人の届出をしないで10カ月以内に海外に引越し
する場合は、引越し前に相続税の申告を済ませる必要があります。
(税金に関する手続きを管理する人を「納税管理人」といいます。)
「納税管理人の届出をしないで」とありますので、
納税管理人の届出をした場合は、10カ月以内が申告期限となります。
参考情報
条文番号がたくさん出てきましたので、タイトルだけ載せています。
第十五条(遺産に係る基礎控除)
第十六条(相続税の総額)
第十七条(各相続人等の相続税額)
第十八条(相続税額の加算)
第十九条(相続開始前七年以内に贈与があつた場合の相続税額)第十九条の二(配偶者に対する相続税額の軽減)第十九条の三(未成年者控除)
第十九条の四(障害者控除)
第二十条(相次相続控除)
第二十条の二(在外財産に対する相続税額の控除)
第二十一条の十四(相続時精算課税に係る相続税額)
第二十一条の十五
第二十一条の十六
第二十一条の十七(相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等)
第二十一条の十八
今回確認した規定
(相続税の申告書)
相続税法第27条第1項、令和7年6月1日
第二十七条 相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものに係る贈与を含む。以下この条において同じ。)により財産を取得した者及び当該被相続人に係る相続時精算課税適用者は、当該被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者に係る相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)に係る第十五条から第十九条まで、第十九条の三から第二十条の二まで及び第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定による相続税額があるときは、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
編集後記
規定を見たときに「相続税の確定申告書」ではなく、「相続税の申告書」となっていたことに気づきました。相続税には中間申告がないからなんでしょうね。
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