今回は、相続税の申告書に関するその他の規定を確認してみましょう。
明細書と書類の添付が必要
今回確認する規定は、こちら↓
4 前三項の規定により申告書を提出する場合には、当該申告書に被相続人の死亡の時における財産及び債務、当該被相続人から相続又は遺贈により財産を取得したすべての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細その他財務省令で定める事項を記載した明細書その他財務省令で定める書類を添付しなければならない。
相続税法第27条第4項、令和7年6月1日施行
前3項は、次の3つの規定です。
・第1項、相続税の申告が必要な場合
・第2項、相続税の申告をする人が亡くなった場合
・第3項、還付申告を受ける場合
上記3つの規定により、申告書を提出する場合には、申告書に
1、亡くなった方の財産、相続人などが受け取った財産の明細など
2、財務省令で定める事項を記載した明細書
3、財務省令で定める書類
の3つを添付する必要があります。
申告書に添付する明細書
2番の明細書の主な記載事項は、次の7つです。
1、亡くなった方の氏名、住所
2、亡くなった方のプラスの財産の情報
3、亡くなった方のマイナスの財産(借金など)の情報
4、相続人が相続などで受け取った財産の情報
5、未成年の相続人の情報
6、特殊な法人に相続税がかかる場合の情報
7、参考情報
参考規定
(相続税の申告書に添付する明細書の記載事項等)
相続税法施行規則第16条第1項、令和7年4月1日
第十六条 法第二十七条第四項に規定する財務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 被相続人の氏名及びその死亡の時における住所又は居所(当該被相続人に係る相続人のうちに法第二十一条の九第五項に規定する相続時精算課税適用者(以下「相続時精算課税適用者」という。)がある場合には、当該相続時精算課税適用者が相続時精算課税選択届出書を提出した後の住所又は居所の異動の明細を含む。)
二 被相続人の死亡の時における財産の種類、数量、価額及び所在場所の明細
三 被相続人の死亡の時における債務の債権者別の種類及び金額の明細並びに債権者の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地
四 被相続人から相続又は遺贈(法第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る贈与を含む。)により財産を取得した全ての者がこれらの事由により取得した財産又は承継した債務の各人ごとの明細
五 被相続人の法第十九条の三第一項に規定する相続人に関する事項
六 法第六十六条の二第一項の規定の適用がある場合には、次に掲げる事項
イ 被相続人の死亡の時において法第六十六条の二第一項の特定一般社団法人等が有する財産の種類、数量、価額及び所在場所の明細
ロ イの特定一般社団法人等に係る施行令第三十四条第一項第二号イからニまでに掲げる金額の明細
七 その他参考となるべき事項
申告書に添付する書類
3番の書類に関する規定を確認してみましょう。
3 法第二十七条第四項に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類(第二十九条第五項の規定により第一号に掲げる書類を提出している場合には、同号に掲げる書類を除く。)とする。
相続税法施行規則第16条第3項、令和7年4月1日
一 次に掲げるいずれかの書類(当該書類を複写機により複写したものを含む。)
イ 相続の開始の日から十日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本で被相続人の全ての相続人を明らかにするもの
ロ 不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)第二百四十七条第五項(法定相続情報一覧図)の規定により交付を受けた同条第一項に規定する法定相続情報一覧図の写しのうち、被相続人と相続人との関係を系統的に図示したものであつて当該被相続人の子が実子又は養子のいずれであるかの別が記載されたもの(被相続人に養子がある場合には、当該写し及び当該養子の戸籍の謄本又は抄本)
二 被相続人に係る相続時精算課税適用者がある場合には、相続の開始の日以後に作成された当該被相続人の戸籍の附票の写し又は当該写しを複写機により複写したもの
三 法第六十六条の二第一項の規定の適用がある場合には、相続の開始の日以後に作成された同項の特定一般社団法人等の登記事項証明書
長い規定ですが、主に必要な書類は第1号の書類です。
「次に掲げるいずれかの書類」とあり、次のイやロの書類です。
イ、戸籍謄本など(亡くなった方の全ての相続人の明らかにするもの)
ロ、法定相続情報一覧図で、実子や養子の記載があるもの
第2号は、相続時精算課税を選択した人がいる場合の規定です。
亡くなった方の戸籍の附票の写し等が必要となります。
第3号は、特殊な法人に相続税がかかる場合の規定です。
申告書の共同提出
亡くなった方の相続人が2人以上いる場合は、相続税の申告書を共同して提出できます。
参考規定
5 同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者又はその者の相続人で第一項、第二項(次条第二項において準用する場合を含む。)又は第三項の規定により申告書を提出すべきもの又は提出することができるものが二人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、政令で定めるところにより、当該申告書を共同して提出することができる。
相続税法第27条第5項、令和7年6月1日施行
詳細は、政令を確認してみましょう。
(申告書の共同提出)
相続税法施行令第7条、令和7年4月1日
第七条 法第二十七条第五項(法第二十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定により二人以上の者が共同して行う法第二十七条第一項又は第二項(法第二十八条第二項及び第二十九条第二項において準用する場合を含む。)の申告書の提出は、これらの者が一の申告書に連署してするものとする。
共同提出の方法は、相続人が1つの申告書に連署する必要があります。
相続税の申告書、第1表に
・財産を取得した人の合計額
・財産を取得した人の情報、1人目
相続税の申告書、第1表(続)に
・財産を取得した人の情報、2人目
・財産を取得した人の情報、3人目
を記載します。
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おまけ
6 第一項から第三項までの規定は、これらの項に規定する申告書の提出期限前に相続税について決定があつた場合には、適用しない。
相続税法第27条第6項、令和7年6月1日施行
申告書の提出がなかった場合に、税務署長が調査して税額などを決めることを「決定」といいます。申告期限の前に決定があった場合は、相続税の申告書(10カ月以内に申告が必要)の規定は適用されなくなります。