相続税の障がい者控除


今回は、障がいがある人が相続した場合の特例を確認してみましょう。

障がいがある人の特例

障がいがある人が亡くなった人から財産を受け取った場合、相続税が少なくなる特例があります。

主な要件は、次の3つです。
1、相続などにより財産を取得している。
2、民法で規定されている相続人(法定相続人)に該当する。
3、財産を受け取った人が障がい者に該当する。

要件を満たす場合は、
・100,000円×85歳に達するまでの年数(端数は1年に切上げ)
の控除(障がい者控除)を受けることが可能です。

特別障がい者の場合は、控除額が
・200,000円×85歳に達するまでの年数(端数は1年に切上げ)
に変わります。

障がい者と特別障がい者

障がい者と特別障がい者の定義を確認してみましょう。

2 前項に規定する障害者とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいい、同項に規定する特別障害者とは、同項の障害者のうち精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。

相続税法第19条の4第2項、令和7年6月1日施行

相続税法施行令を確認してみましょう。

障がい者の定義

(障害者の範囲等)
第四条の四 法第十九条の四第二項に規定する精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一 所得税法施行令第十条第一項第一号から第五号まで及び第七号(障害者及び特別障害者の範囲)に掲げる者
二 所得税法施行令第十条第一項第六号に掲げる者のうち、その障害の程度が同項第一号又は第三号に掲げる者に準ずるものとして同項第七号に規定する市町村長等の認定を受けている者

相続税法施行令第4条の4第1項、令和7年4月1日施行

相続税の障がい者の内容は、所得税法施行令第10条第1項で規定されているものと同じです。

特別障がい者の定義

2 法第十九条の四第二項に規定する精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものは、次に掲げる者とする。
一 所得税法施行令第十条第二項第一号から第四号まで及び第六号に掲げる者
二 所得税法施行令第十条第一項第五号に掲げる者
三 前項第二号に掲げる者のうち、その障害の程度が所得税法施行令第十条第二項第一号又は第三号に掲げる者に準ずるものとして同条第一項第七号に規定する市町村長等の認定を受けている者

相続税法施行令第4条の4第2項、令和7年4月1日施行

相続税の障がい者の内容は、所得税法施行令第10条第2項で規定されているものと同じです。

障がい者の控除額が相続税より多い場合

障がい者の控除額が相続税より多い場合は、相続税がなくなります。この場合、マイナスしきれなかった控除額は、どうなるでしょうか?

例えば、控除額が160万円、相続税が100万円の場合、マイナスしきれない金額(残り60万円)が発生します。

このマイナスしきれない60万円は、障がいがある人の扶養義務者(配偶者や兄弟姉妹、一定の3親等内の親族)の相続税からマイナスが可能です。

参考規定など

相続税の障がい者控除

第十九条の四 相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第二号から第四号までの規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の前条第一項に規定する相続人に該当し、かつ、障害者である場合には、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円(その者が特別障害者である場合には、二十万円)にその者が八十五歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。

相続税法第19条の4第1項、令和7年6月1日施行

国税庁、タックスアンサー、No.4167 障害者の税額控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4167.htm

PAGE TOP