相続財産法人から財産を受け取った場合等の相続税の申告


今回は、相続財産法人から財産を受け取った場合等の相続税の申告を確認してみましょう。

相続財産法人から財産を受け取った場合等

今回確認する規定は、こちら↓

(相続財産法人に係る財産を与えられた者等に係る相続税の申告書)
第二十九条 第四条第一項又は第二項に規定する事由が生じたため新たに第二十七条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた者は、同項の規定にかかわらず、当該事由が生じたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

相続税法第29条第1項、令和7年6月1日施行

最初に、相続税の申告書を提出する必要がある人が規定されています。

第四条第一項又は第二項に規定する事由が生じたため新たに第二十七条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた者

第4条第1項は特別縁故者、第4条第2項は特別寄与者に関する規定です。

いずれも、亡くなった方から遺贈により財産を取得していませんが、相続税法の規定により遺贈により財産を取得したものとして取り扱われるため、相続税の申告書を提出するかどうかの判定が必要となります。

判定した結果、相続税の申告書の提出が必要となる場合は、

当該事由が生じたことを知つた日の翌日から10月以内

に相続税の申告書を相続税の基準となる場所(納税地)の税務署に提出する必要があります。

一般的な相続税の申告書の提出期限は、

その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10月以内

です。亡くなったことを知った日から期間をカウントしますが、今回の特例に該当する場合は、事由が生じたことを知つた日から期間をカウントします。

そのため、「同項の規定にかかわらず」=第27条第1項、相続税の申告書の規定に関係なく、と規定されています。

準用規定の内容

準用規定を確認してみましょう。

2 第二十七条第二項及び第四項から第六項までの規定は、前項の場合について準用する。

相続税法第29条第2項、令和7年6月1日施行

第27条は、相続税の申告書に関する規定です。

2025/7/27、17:28、訂正後

・第27条第2項及び
・第4項から第6項まで
とありますので、対象となる規定は、次の4つです。

・第2項、相続税の申告書を提出しないで亡くなった場合
第3項、相続時精算課税を選択した人は還付申告ができる。
・第4項、相続税の申告書には、明細書や書類の添付が必要
・第5項、相続税の申告書は共同提出できる。
・第6項、相続税の申告書の提出期限前に決定があった場合

準用元の規定に第5項は含まれているため、要件をクリアすれば共同提出が可能です。

訂正前

・第2項、相続税の申告書を提出しないで亡くなった場合
・第3項、相続時精算課税を選択した人は還付申告ができる。
・第4項、相続税の申告書には、明細書や書類の添付が必要
第5項
・第6項、相続税の申告書の提出期限前に決定があった場合
の規定は、前項(第29条第1項)の場合について、準用します。

準用元の規定に、第5項の規定が含まれていません。

第5項の規定は、相続税の申告書の共同提出に関する規定です。準用規定がないため、共同提出はできません。

参考情報

裁判所、特別縁故者に対する相続財産分与
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_16/index.html

裁判所、特別の寄与に関する処分調停
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_25/index.html

民法、特別縁故者に対する相続財産の分与

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の二 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十二条第二項の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

民法第958条の2、令和7年6月6日施行

特別縁故者の範囲
・亡くなった方と生計を一にしていた人
・亡くなった方の療養看護に努めた人
・亡くなった方と特別の縁故があった人

民法、特別の寄与

第千五十条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

民法第1050条第1項、令和7年6月6日施行

特別寄与者の範囲
・亡くなった方に無償でサービス(例、療養看護)をしたことで、亡くなった方の財産の維持や増加について特別の寄与をした亡くなった方の親族

ただし、相続人などは除外されます。

相続税法第4条、遺贈により取得したものとみなす場合

第四条 民法第九百五十八条の二第一項(特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により同項に規定する相続財産の全部又は一部を与えられた場合においては、その与えられた者が、その与えられた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)に相当する金額を当該財産に係る被相続人から遺贈により取得したものとみなす。
2 特別寄与者が支払を受けるべき特別寄与料の額が確定した場合においては、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を当該特別寄与者による特別の寄与を受けた被相続人から遺贈により取得したものとみなす。

相続税法第4条、令和7年6月1日施行


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