確定申告で定額減税を受ける場合


今回は、確定申告で定額減税を受ける場合を確認してみましょう。

定額減税の種類

定額減税については、
・月次の給与・賞与
・公的年金等
・予定納税(個人の中間の所得税)
・年末調整
・確定申告
の5つの区分で実施されます。

今回は、確定申告の定額減税を確認してみましょう。

所得税の特別控除

定額減税のポイントは、次の3点です。
・居住者
・令和6年分の所得税に限定
・合計所得金額が1805万円以下(給与収入で2000万円以下)

参考規定

(令和六年分における所得税額の特別控除)
第四十一条の三の三 居住者の令和六年分の所得税については、その者のその年分の所得税の額から、令和六年分特別税額控除額を控除する。ただし、その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額(所得税法第二条第一項第三十号の合計所得金額をいう。以下この節において同じ。)が千八百五万円を超える場合については、この限りでない。

租税特別措置法第41条の3の3第1項、施行日令和6年6月1日
定額減税は3万円

原則として、3万円の定額減税があります。

・同一生計配偶者
・扶養親族
がいる場合は、1人につき3万円が加算されます。

同一生計配偶者、扶養親族(親2人、子2人)の場合は、
本人3万円+5人×3万円=18万円の定額減税となります。

参考規定

2 前項に規定する令和六年分特別税額控除額は、居住者について三万円(同一生計配偶者(所得税法第二条第一項第三十三号に規定する同一生計配偶者をいい、居住者に限る。以下この節において同じ。)又は扶養親族(同条第一項第三十四号に規定する扶養親族をいい、居住者に限る。以下この節において同じ。)を有する居住者については、三万円に当該同一生計配偶者又は当該扶養親族一人につき三万円を加算した金額)とする。

租税特別措置法第41条の3の3第2項、施行日令和6年6月1日
同一生計配偶者・扶養親族の判定時期

定額減税の加算対象者は、
・令和6年12月31日
を基準に判定します。

例外は2つあります。

令和6年中に本人が
・亡くなった場合
・出国した場合(単なる出国ではなく税法で規定する出国)
は、亡くなった時や出国時の現況で判断します。

令和6年12月31日で判定すると
定額減税の対象から外れるからです。

本人ではなく、判定対象者(同一生計配偶者や扶養親族)が
先に亡くなっている場合は、その亡くなった時の現況で判断します。

本人を基準にすると加算対象者が
定額減税の対象から外れるからです。

参考規定

3 前二項の場合において、その者が同一生計配偶者又は扶養親族に該当するかどうかの判定は、その年十二月三十一日(その居住者がその年の中途において死亡し、又は出国(所得税法第二条第一項第四十二号に規定する出国をいう。以下この項において同じ。)をする場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、その判定に係る者がその当時既に死亡している場合は、その死亡の時の現況による。

租税特別措置法第41条の3の3第3項、施行日令和6年6月1日
配当控除との関係

一定の配当を受け取った場合に
所得税を控除できる「配当控除」があります。

配当控除は、所得税を限度に控除します。
所得税の還付は受けられません。

定額減税についても所得税を限度に控除します。
配当控除と同様に所得税の還付はありません。

参考規定

4 所得税法第九十二条第二項の規定は、第一項の規定による控除をすべき金額について準用する。この場合において、同条第二項中「前項の規定による控除」とあるのは「前項及び租税特別措置法第四十一条の三の三第一項(令和六年分における所得税額の特別控除)の規定による控除」と、「当該控除をすべき金額」とあるのは「これらの控除をすべき金額の合計額」と読み替えるものとする。

租税特別措置法第41条の3の3第4項、施行日令和6年6月1日
確定所得申告との関係

仮に所得税を申告したとした場合の所得税が
配当控除の金額を超える場合は、
原則として、確定申告が必要となります。

令和6年分については、
配当控除の金額に定額減税をプラスします。

仮に所得税を申告したとした場合の所得税が
「配当控除+定額減税の合計額」を超える場合は、
原則として、確定申告が必要となります。

参考規定

5 居住者の令和六年分の所得税の確定申告書の提出に係る所得税法第百二十条第一項の規定の適用については、同項中「配当控除の額」とあるのは、「配当控除の額と租税特別措置法第四十一条の三の三第一項(令和六年分における所得税額の特別控除)の規定により控除される金額との合計額」とする。

租税特別措置法第41条の3の3第5項、施行日令和6年6月1日

(確定所得申告)
第百二十条 居住者は、その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額が第二章第四節(所得控除)の規定による雑損控除その他の控除の額の合計額を超える場合において、当該総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額からこれらの控除の額を第八十七条第二項(所得控除の順序)の規定に準じて控除した後の金額をそれぞれ課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額とみなして第八十九条(税率)の規定を適用して計算した場合の所得税の額の合計額が配当控除の額と租税特別措置法第四十一条の三の三第一項(令和六年分における所得税額の特別控除)の規定により控除される金額との合計額を超えるとき(第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合、第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合又は第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた予納税額がある場合を除く。)は、第百二十三条第一項(確定損失申告)の規定による申告書を提出する場合を除き、第三期(その年の翌年二月十六日から三月十五日までの期間をいう。以下この節において同じ。)において、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。この場合において、その年において支払を受けるべき第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等で第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けたものを有する居住者が、当該申告書を提出するときは、次に掲げる事項のうち財務省令で定めるものについては、財務省令で定める記載によることができる。

所得税法、読替後
控除しきれない外国税額控除との関係

外国税額控除(外国に支払った税金を所得税から差し引く特例)で、
控除しきれない場合は、確定所得申告の義務がなくなります。

確定所得申告の義務を判定する際、
定額減税についても考慮されます。

参考規定

6 令和六年分の所得税について第一項の規定の適用を受ける場合における所得税法第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額の計算については、同号中「第三章(税額の計算)」とあるのは、「第三章(税額の計算)及び租税特別措置法第四十一条の三の三第一項(令和六年分における所得税額の特別控除)」とする。

租税特別措置法第41条の3の3第6項、施行日令和6年6月1日
控除する順番

定額減税による所得税の控除は、
・配当控除
・分配時調整外国税相当額控除
・外国税額控除と特例
・住宅ローン控除その他の特例
の後になります。

例えば、次の場合で確認してみましょう。
・所得税 20万円
・住宅ローン控除 15万円
・定額減税 18万円

先に住宅ローン控除を適用しますので、
所得税20万円-住宅ローン控除15万円=所得税5万円
となります。

後で定額減税を適用します。
所得税5万円-定額減税5万円(注)=所得税0円
注、所得税5万円<定額減税18万円、少ない金額5万円
となります。

外国税額控除の後に控除するため、
確定申告書の源泉徴収税額48欄の上あたりに
記載欄が追加されるのでしょう。

参考規定

7 第一項の規定による控除は、所得税法第二編第三章第二節の規定、第四十一条第一項の規定その他の財務省令で定める規定の適用がある場合には、これらの規定を適用した後に行うものとする。

租税特別措置法第41条の3の3第7項、施行日令和6年6月1日
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