確定申告書に記載する氏名・住所


 今回は、確定申告書に記載する氏名は誰の名前を記載するのかという問題です。それは本人の名前に決まっていますが、これもルールで決めておかないと、他人の名前を勝手に記載して確定申告書を提出してしまうことができるため、ルールが定められています。

 今回確認する内容は「国税通則法」です。左に規定、右に要約を記載しています。

国税通則法124条(書類提出者の氏名、住所及び番号の記載)

規定要約
 国税に関する法律に基づき税務署長その他の行政機関の長又はその職員に申告書、申請書、届出書、調書その他の書類(以下この条において「税務書類」という。)を提出する者は、当該税務書類にその氏名(法人については、名称。以下この条において同じ。)、住所又は居所及び番号(番号を有しない者にあつては、その氏名及び住所又は居所とし、税務書類のうち個人番号の記載を要しない書類(納税申告書及び調書を除く。)として財務省令で定める書類については、当該書類を提出する者の氏名及び住所又は居所とする。)を記載しなければならない。税務書類(確定申告書など)を提出する人は、その書類に氏名、住所等を記載する必要がある。

この場合において、その者が法人であるとき、納税管理人若しくは代理人代理の権限を有することを書面で証明した者に限る。以下この条において同じ。)によつて当該税務書類を提出するとき、又は不服申立人が総代を通じて当該税務書類を提出するときは、その代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)、納税管理人若しくは代理人又は総代の氏名及び住所又は居所をあわせて記載しなければならない。提出する場合において、納税管理人・代理人によって、確定申告書を提出するときは、その納税管理人・代理人の氏名と住所等をあわせて記載する必要がある。

ここでいう代理人は、代理権限を有することを書面で証明した者に限ります。

とある解説では、「代理権限を有することの証明書類の添付義務がない」と書いてあります。理由を考えてみると、規定上は、「証明」としか書いてないからでしょうか。

国税通則法124条の確認

 例えば、税理士がお客様の依頼を受けて、お客様の確定申告書を提出する場合、「税務代理権限証書」を確定申告書と一緒に提出します。

国税庁、[手続名]税務代理の権限の明示
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/zeirishi/annai/001.htm

理由となる法令は税理士法です。

(税務代理の権限の明示)
第三十条 税理士は、税務代理をする場合においては、財務省令で定めるところにより、その権限を有することを証する書面を税務官公署に提出しなければならない。

税理士法30条(税務代理の権限の明示)

財務省令を確認します。

(税務代理権限証書)
第十五条 法第三十条(法第四十八条の十六において準用する場合を含む。)に規定する財務省令で定めるところにより提出しなければならない税務代理の権限を有することを証する書面は、別紙第八号様式による税務代理権限証書とする。

税理士法施行規則15条(税務代理権限証書)

 この税務代理権限証書のひな形は、上記URLから確認できます。税務代理権限証書の記載要領を確認してみると、

4 「依頼者」欄には、依頼者の氏名又は名称及び住所又は事務所の所在地を記載してください。 なお、相続税の場合は、依頼者である相続人ごとに税務代理権限証書を作成することに留意してください。

税務代理権限証書の記載要領

 この場合に、依頼者が後見人である場合の確定申告書の氏名の記載方法は、「●●●●(被後見人氏名)成年後見人 ○○○○」と記載します。後見人から教えていただきました。ありがとうございます。自分でも調べてみると、日税連成年後見支援センターにも同じ内容の記載がありました。

申告書の氏名はどのように記載すればいいですか。

納税者署名押印欄には、代理人である成年後見人の住所、氏名、押印が必要なため、「乙野花子(被後見人氏名) 成年後見人 甲野太郎」と記載、押印してください。印字の場合も同様です。

日税連成年後見支援センター、https://www.nichizeiren-seinenkouken.org/faq/index.html

氏名を記載するにも法令があり、一生勉強と思った1日です。

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