今回は、移転価格税制の国外関連者と間接取引する場合を確認してみましょう。
国外関連者と間接取引する場合
移転価格税制の対象となる法人(取引先)は、国外関連者です。外国法人で特殊の関係にあるものを国外関連者といいます。
(特殊の関係は、原則として50%以上の支配関係で判断)
外国法人との取引が移転価格税制の対象となる場合、国外関連者と直接取引しないで国外関連者に該当しない法人を間に入れて、国外関連者と間接取引すれば移転価格税制の対象から外れるのでは、と考えることができそうです。
移転価格税制の対象?
当社 → 国外関連者以外 → 国外関連者
当社 ← 国外関連者以外 ← 国外関連者
そのため、国外関連者との間接取引についても、国外関連者との直接取引として取り扱う規定があります。
5 法人が当該法人に係る国外関連者との取引を他の者(当該法人に係る他の国外関連者及び当該国外関連者と特殊の関係のある内国法人を除く。以下この項において「非関連者」という。)を通じて行う場合として政令で定める場合における当該法人と当該非関連者との取引は、当該法人の国外関連取引とみなして、第一項の規定を適用する。
租税特別措置法第66条の4第5項、令和7年10月1日施行
法人(当社)が国外関連者との取引を
・他の者を通じて行う場合として政令で定める場合
が要件です。
他の者のカッコ書きが、非関連者の定義です。
当該法人に係る他の国外関連者及び当該国外関連者と特殊の関係のある内国法人を除く。以下この項において「非関連者」という。
・法人(当社)の他の国外関連者
・国外関連者と特殊の関係(50%以上の支配関係など)のある内国法人
上記2つは、非関連者から除外されます。
要件を満たす場合、法人(当社)と非関連者との取引は、国外関連取引として取り扱われます。
法人(当社) → 非関連者
法人(当社) ← 非関連者
(国外関連取引として取り扱われます。)
疑問点が1つ。
非関連者との取引は、全て国外関連取引になるのでしょうか?
規定の確認
施行令を確認してみましょう。
9 法第六十六条の四第五項に規定する政令で定める場合は、同項の法人と同項の非関連者(以下この項及び次項において「非関連者」という。)との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引の対象となる資産、役務その他のものが同条第五項の当該法人に係る国外関連者に販売、譲渡、貸付けその他の方法によつて移転又は提供されることが当該取引を行つた時において契約その他によりあらかじめ定まつている場合で、かつ、当該移転又は提供に係る対価の額が当該法人と当該国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合及び同項の当該法人に係る国外関連者と非関連者との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引の対象となる資産、役務その他のものが同項の法人に販売、譲渡、貸付けその他の方法によつて移転又は提供されることが当該取引を行つた時において契約その他によりあらかじめ定まつている場合で、かつ、当該移転又は提供に係る対価の額が当該法人と当該国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合とする。
租税特別措置法施行令第39条の12第9項、令和7年10月1日施行
2つ目の「及び」で区切ります。A及びBです。
A、同項の法人と同項の非関連者(以下この項及び次項において「非関連者」という。)との間で行う
・資産の販売
・資産の購入
・役務の提供
・その他の取引の対象となる資産、役務その他のものが
同条第五項の当該法人に係る国外関連者に販売、譲渡、貸付けその他の方法によつて移転又は提供されることが当該取引を行つた時において契約その他によりあらかじめ定まつている場合で、かつ、
当該移転又は提供に係る対価の額が当該法人と当該国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合
及び
B、同項の当該法人に係る国外関連者と非関連者との間で行う
・資産の販売
・資産の購入
・役務の提供
・その他の取引の対象となる資産、役務その他のものが
同項の法人に販売、譲渡、貸付けその他の方法によつて移転又は提供されることが当該取引を行つた時において契約その他によりあらかじめ定まつている場合で、かつ、
当該移転又は提供に係る対価の額が当該法人と当該国外関連者との間で実質的に決定されていると認められる場合
とする。
国外関連取引として取り扱われる場合
Aは、法人(当社)が商品の販売などをする場合です。
1、法人(当社)と非関連者との取引(例、資産の販売やサービスの提供)が国外関連者に移転や提供されることが、事前に決まっている場合
2、取引価格が、
・法人(当社)
・国外関連者
の間で、実質的に決定されていると認められる場合
取引イメージ
法人(当社) → 非関連者 → 国外関連者
(間接取引であっても国外関連取引)
Bは、法人(当社)が商品の購入などをする場合です。
1、国外関連者と非関連者との取引(例、資産の販売やサービスの提供)が法人(当社)に移転や提供されることが、事前に決まっている場合
2、取引価格が、
・法人(当社)
・国外関連者
の間で、実質的に決定されていると認められる場合
取引イメージ
法人(当社) ← 非関連者 ← 国外関連者
(間接取引であっても国外関連取引)
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