税込経理と税抜経理の別表調整の違い


今回は、税込経理と税抜経理の別表調整の違いを
確認してみましょう。

具体例

税込売上11,000円、税込仕入7,700円の計上がもれていた場合。

税務調整仕訳の作成手順

  1. 会計上の仕訳(現時点の仕訳)を確認する。
  2. 税務上の仕訳(あるべき仕訳)を作成する。
  3. 税務調整仕訳(1の仕訳を2の仕訳に調整する仕訳)を作成する。

この手順は変わりません。
1の仕訳がないため、3の税務調整仕訳を記載します。

税込経理

計上もれの仕訳

借方貸方
売掛金 11,000円売上 11,000円
仕入 7,700円買掛金 7,700円
税込経理
税抜経理

計上もれの仕訳

借方貸方
売掛金 11,000円売上 10,000円
仮受消費税 1,000円
仕入 7,000円買掛金 7,700円
仮払消費税 700円
税抜経理

消費税精算仕訳

借方貸方
仮受消費税 1,000円仮払消費税 700円
未払消費税 300円
税抜経理の消費税精算仕訳

消費税精算差額(雑収入など)については別表調整が必要です。

別表調整

税務調整仕訳を別表調整に反映させます。

別表4、課税所得の計算
(税込経理と税抜経理で比較)

項目税込経理税抜経理
当期純利益0円0円
売上計上もれ11,000円10,000円
仕入計上もれ△7,700円△7,000円
課税所得3,300円3,000円
税込経理と税抜経理の比較

課税所得に消費税300円の差異が生じます。
税込経理の場合、納付する消費税の未払計上が認められています。

税込経理、消費税の仕訳

借方貸方
租税公課 300円未払消費税 300円
税込経理の消費税の仕訳

この仕訳を別表4に反映させると、
課税所得が3,000円で一致します。

項目税込経理税抜経理
当期純利益0円0円
売上計上もれ11,000円10,000円
仕入計上もれ△7,700円△7,000円
租税公課計上もれ△300円
課税所得3,000円3,000円
税込経理と税抜経理の比較

上記のように、税込経理では納付する消費税を未払計上できるため、
当期純利益に差は生じません。

この消費税の処理が税務上(修正申告・更正の請求)で
認められるかというと、認められないと考えます。

税込経理と税抜経理で課税所得が一致しない。

「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」に
法人税計算上の消費税の取扱いが公表されています。

(消費税等の損金算入の時期)
7 法人税の課税所得金額の計算に当たり、税込経理方式を適用している法人が納付すべき消費税等は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する事業年度の損金の額に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該法人が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払金に計上したときの当該金額については、当該損金経理をした事業年度の損金の額に算入する。(平9年課法2-1により改正)

消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて

上記の取扱いは、税込経理を採用している場合です。

原則として、消費税の確定申告書を提出した日(期)の損金算入となります。
更正等があった場合は、更正等があった日(期)の損金算入となります。

例外として、申告期限が到来していない場合に
損金経理により未払金で計上したときは、
その損金経理した金額について損金算入が可能です。

「租税公課計上もれ」は、損金経理した金額ではないため、
別表4での調整(申告調整)は認められないのでしょうね。

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