今回は、税制改正大綱の「空き家の譲渡所得の特別控除」と「低未利用土地等の譲渡所得の特別控除」について確認します。
空き家の譲渡所得の特別控除の期限の緩和
令和5年度改正で使用できる期限が4年延長されました。
この他に、被相続人が住んでいた家屋の要件が緩和されています。
譲渡した時から「譲渡年の翌年2月15日まで」に
1、耐震基準に適合することとなった場合
2、全部取壊し等をした場合
には、空き家の譲渡所得の特別控除が使用できるようになります。
現行の制度では、要件が厳しく3000万円の特別控除が使用できる状況で使用しなかったケースがありました。例えば、自分で家屋を取り壊さずに家屋と土地を一緒に譲渡して、買主がリフォームや取壊しをするケースです。
改正により「譲渡した時まで」ではなく、
「譲渡年の翌年2月15日まで」期限を延長して、
特別控除の要件を緩和しています。
税制改正大綱
被相続人死亡 譲渡時 翌年2月15日
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相続---空き家-------------------取壊し等
相続---空き家の土地-----------------|
空き家の譲渡所得の特別控除の減額
現行制度では、特別控除額が3000万円で取得した相続人の人数に制限がありません。3人が特別控除を3000万円使用した場合は、合計9000万円の特別控除となります。
改正により、取得した相続人が3人以上の場合は、
特別控除額が2000万円に減額されます。
仮に相続人が3人の場合は、
それぞれ2000万円の特別控除となり、合計6000万円の特別控除となります。
上記2つの改正については、令和6年1月1日以後の譲渡からとなります。
低未利用土地等の譲渡所得の特別控除
1、低未利用土地等の譲渡後の用途から、コインパーキングが除外されます。コインパーキングだと土地を有効活用できていないということなのでしょうね。
こちらは不利な改正です
2、一定の区域内の譲渡については、譲渡対価要件が500万円以下から800万円以下に増加します。こちらは有利な改正です。
一定の区域
イ、市街化区域・区域区分に関する都市計画が定められていない都市計画区域(用途地域が定められていない区域限定)
ロ、所有者不明土地対策計画を作成した市町村区域
この改正については、令和5年1月1日以後の譲渡からとなります。
1については不利な改正ですが、軽微なものとして遡及するのでしょうね。