空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除_その他の規定


今回は、空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除の
その他の規定を確認します。

通知義務(措法35⑦)

空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除については、
他の居住用家屋を相続した人に、対象譲渡をしたこと、
対象譲渡をした日等を通知する必要があります。

空き家の特別控除については、
譲渡対価の合計額が1億円を超えると使用できなくなるため、
他の相続人に対象譲渡をしたことを知らせる必要があります。

対象譲渡の通知を受けた人が
適用「前」譲渡をしている場合は、対象譲渡の通知を受けた後すぐに、
適用前譲渡の情報を通知する必要があります。

対象譲渡の通知を受けた人が
適用「後」譲渡をした場合は、適用後譲渡をした後すぐに、
適用後譲渡の情報を通知する必要があります。

例えば、

相続時 最初の年末 1年目年末 2年目年末 3年目年末 4年目年末
 |----|--×--|-----|-----|-----|
    対象譲渡の対価A|→1/1             3年目12/31
      (過去)  |---適用後譲渡の対価B-----
            |   (今回の対象譲渡)
  適用前譲渡の対価C |
  (過去)      |

適用前譲渡の場合

Aが対象譲渡をした場合、対象譲渡をしたことをBとCに通知します。
Cは、Aに対し、適用前譲渡していることを通知します。

適用後譲渡の場合

Bが適用後譲渡をした場合、適用後譲渡をしたことをAに通知します。

参考規定、通知義務

 第三項の規定の適用を受けようとする者は、他の居住用家屋取得相続人に対し、対象譲渡をした旨、対象譲渡をした日その他参考となるべき事項の通知をしなければならない。

この場合において、当該通知を受けた居住用家屋取得相続人で適用前譲渡をしている者は当該通知を受けた後遅滞なく、当該通知を受けた居住用家屋取得相続人で適用後譲渡をした者は当該適用後譲渡をした後遅滞なく、それぞれ、当該通知をした者に対し、その譲渡をした旨、その譲渡をした日、その譲渡の対価の額その他参考となるべき事項の通知をしなければならない。

租税特別措置法35条
修正申告の義務(措法35⑧)

対象譲渡につき空き家の特別控除の適用を受けている人(上記のAとC)は、
適用後譲渡(上記のBの譲渡)により
譲渡対価合計額が1億円超えてしまった場合には、

居住用家屋を取得した相続人(上記のB)が
その該当することとなった適用後譲渡をした日から4か月以内
その対象譲渡をした日の属する年分の所得税についての
修正申告書を提出して、所得税を納付する必要があります。

参考規定、修正申告の義務

 対象譲渡につき第三項の規定の適用を受けている者は、第六項の規定に該当することとなつた場合には、居住用家屋取得相続人がその該当することとなつた適用後譲渡をした日から四月を経過する日までに当該対象譲渡をした日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し、かつ、当該期限内に当該申告書の提出により納付すべき税額を納付しなければならない。

租税特別措置法35条
更正(措法35⑨)

上記の修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、
その申告書に記載すべきであった所得金額等につき
更正(国法24、26)を行います。

 前項の規定に該当する場合において、修正申告書の提出がないときは、納税地の所轄税務署長は、当該申告書に記載すべきであつた所得金額、所得税の額その他の事項につき国税通則法第二十四条又は第二十六条の規定による更正を行う。

租税特別措置法35条
手続き(措法35⑩⑪)

居住用財産(空き家)の3000万円の特別控除は、
居住用財産等を譲渡した年分の確定申告書に、
特例を受けようとする旨等を記載して、
計算書や一定の書類を添付する必要があります。

11 第一項の規定は、その適用を受けようとする者の同項に規定する資産の譲渡をした日の属する年分の確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨その他の財務省令で定める事項の記載があり、かつ、当該譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

租税特別措置法35条

12 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載若しくは添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出又は記載若しくは添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該記載をした書類及び同項の財務省令で定める書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。

租税特別措置法35条
修正申告書は期限内申告書とみなされます(措法35⑫)

譲渡対価合計額が1億円を超えることにより、
修正申告書を期限内に提出した場合には、
修正申告書の提出によるペナルティがかかりません。

実際の規定は、収用交換等の規定を読み替えて準用します。
詳細は省略します。

10 第三十三条の五第三項の規定は、第八項の規定による修正申告書及び前項の更正について準用する。この場合において、同条第三項第一号及び第二号中「第一項に規定する提出期限」とあるのは「第三十五条第八項に規定する提出期限」と、同号中「第三十三条の五第一項」とあるのは「第三十五条第八項」と読み替えるものとする。

租税特別措置法35条

3 第一項の規定による修正申告書及び前項の更正に対する国税通則法の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該修正申告書で第三十五条第八項に規定する提出期限内に提出されたものについては、国税通則法第二十条の規定を適用する場合を除き、これを同法第十七条第二項に規定する期限内申告書とみなす
二 当該修正申告書で第三十五条第八項に規定する提出期限後に提出されたもの及び当該更正については、国税通則法第二章から第七章までの規定中「法定申告期限」とあり、及び「法定納期限」とあるのは「租税特別措置法第三十五条第八項に規定する修正申告書の提出期限」と、同法第六十一条第一項第一号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」と、同条第二項中「期限内申告書又は期限後申告書」とあるのは「租税特別措置法第三十三条の五第一項の規定による修正申告書」と、同法第六十五条第一項、第三項第二号及び第四項第二号中「期限内申告書」とあるのは「租税特別措置法第二条第一項第十号に規定する確定申告書」とする。
三 国税通則法第六十一条第一項第二号及び第六十六条の規定は、前号に規定する修正申告書及び更正には、適用しない。

租税特別措置法33条の5、収用交換等に伴い代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告等

国税通則法61条、延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例
国税通則法65条、過少申告加算税
国税通則法66条、無申告加算税

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