空き家を譲渡した場合の3000万円の特別控除_被相続人居住用家屋の定義


今回は、被相続人居住用家屋の定義を確認します。

被相続人居住用家屋の定義(措法35④)

「被相続人居住用家屋」とは、
その相続開始「直前」においてその相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む)の居住用(注1、特定事由の対象従前居住の用を含む。)に供されていた家屋(注2、一定の要件)で一定のもの(注4)をいいます。

特定事由の対象従前居住の用を含む(注1、政令で定める事由)

注1、居住用にできない事由として政令で定める事由(注1-2、特定事由)により相続開始「直前」においてその被相続人の居住用にされていなかった場合(注3、政令で定める要件を満たす場合に限る。)におけるその特定事由により居住用に供されなくなる「直前」のその被相続人の居住用(対象従前居住の用)を含む

注1-2、特定事由
有料老人ホームなど一定の住居・施設に入居・入所していたこと。

空き家の特別控除の対象となる空き家の要件(注2)

注2、次に掲げる要件を満たすものに限ります。

1、耐震基準が改正される前で倒壊等にリスクが高い家屋
2、マンションの1室などではなく一軒家である
3、他に誰も住んでいなかった
の3要件を満たす空き家が特別控除の対象となります。

詳しくは

  1. 昭和56年5月31日「前」に建築されたこと。
  2. 建物の区分所有等に関する法律第一条の規定に該当する建物でないこと。
  3. その相続の開始の直前においてその被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと(その被相続人のその居住用に供されていた家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合(特定事由に該当する場合)には、その特定事由によりその家屋が居住用に供されなくなる「直前」においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと。)。
事業用、貸付用などの禁止(注3、政令で定める要件)

注3、政令で定める要件を満たす場合に限ります。

1、特定事由により被相続人居住用家屋が被相続人の居住用に供されなくなった時から相続開始直前まで引き続きその被相続人居住用家屋がその被相続人の物品の保管等の用に供されていたこと。

被相続人の
家屋-----居住×(特定事由)------相続開始直前
            |
   居住していた ← | → 居住しなくなる。
            | → 物品の保管等

2、特定事由により被相続人居住用家屋が被相続人の居住用に供されなくなった時から相続開始直前までその被相続人居住用家屋が、事業用・貸付用・被相続人以外の居住用に供されたことがないこと。

被相続人の
家屋-----居住×(特定事由)------相続開始直前
            |
   居住していた ← | → 居住しなくなる。
            | → 事業用×、貸付用×、居住用×

3、被相続人が有料老人ホームなど一定の住居・施設に入所・入居した時から相続開始直前までの間においてその被相続人の居住用家屋が2以上ある場合には、2以上の家屋のうち、その住居・施設が、その被相続人が主としてその居住用に供していた1の家屋に該当するものであること。

被相続人の
家屋-----居住×(特定事由)------相続開始直前
            |
   居住していた ← | → 居住しなくなる。
            | → 住居・施設が主として居住用に
            | → 供していた1の家屋に該当する。

有料老人ホーム等に入る前の住まいが2以上ある場合ではなく、住居・施設が2以上ある場合の取扱いです。主たる1つの家屋が要件を満たしている必要があります。形式的に有料老人ホーム等に入所・入居して実際には要件を満たしていないところで生活すると要件を満たしません。

特別控除の対象となる家屋は1つだけ(注4、政令で定める家屋)

政令で定める家屋は、相続開始直前(注5)において、被相続人の居住用に供されていた家屋(措法35④各号の要件を満たすものに限る。)であって、その被相続人が主としてその居住用に供していたと認められる一の建築物に限ります。(措法35④=耐震基準改正前の建物、一軒家、誰も住んでいないの3要件)

被相続人の
家屋-------相続開始直前
            |
居住していた家屋は ← |
メインの1つに限る。  |

注5、その家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、特定事由によりその家屋が被相続人の居住用に供されなくなる直前

被相続人の
家屋-----居住×(特定事由)------相続開始直前
            |
居住していた家屋は ← |
メインの1つに限る。  |

参考規定

被相続人居住用家屋の定義

4 前項及び次項に規定する被相続人居住用家屋とは、当該相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人(包括遺贈者を含む。以下この項及び次項において同じ。)の居住の用(居住の用に供することができない事由として政令で定める事由(以下この項及び次項において「特定事由」という。)により当該相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合政令で定める要件を満たす場合に限る。)における当該特定事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用(第三号において「対象従前居住の用」という。)を含む。)に供されていた家屋(次に掲げる要件を満たすものに限る。)政令で定めるものをいい、前項及び次項に規定する被相続人居住用家屋の敷地等とは、当該相続の開始の直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地として政令で定めるもの又は当該土地の上に存する権利をいう。
一 昭和五十六年五月三十一日以前に建築されたこと。
二 建物の区分所有等に関する法律第一条の規定に該当する建物でないこと。
三 当該相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと(当該被相続人の当該居住の用に供されていた家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、当該特定事由により当該家屋が居住の用に供されなくなる直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかつたこと。)

租税特別措置法35条、居住用財産の譲渡所得の特別控除

被相続人居住用家屋×居住用割合

3 法第三十五条第三項第一号に規定する被相続人居住用家屋の政令で定める部分は、同号に規定する被相続人居住用家屋の譲渡の対価の額に、次の各号に掲げる被相続人居住用家屋(同条第四項に規定する被相続人居住用家屋をいう。以下この項、次項及び第七項において同じ。)の区分に応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額に相当する部分とする。
一 法第三十五条第四項の相続の開始の直前において同項に規定する被相続人(以下この条において「被相続人」という。)の居住の用に供されていた被相続人居住用家屋 当該相続の開始の直前における被相続人居住用家屋の床面積のうちに当該相続の開始の直前における当該被相続人の居住の用に供されていた部分の床面積の占める割合
二 法第三十五条第四項に規定する対象従前居住の用(第八項及び第九項において「対象従前居住の用」という。)に供されていた被相続人居住用家屋 同条第四項に規定する特定事由(以下この条において「特定事由」という。)により被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなる直前における当該被相続人居住用家屋の床面積のうちに当該居住の用に供されなくなる直前における当該被相続人の居住の用に供されていた部分の床面積の占める割合

租税特別措置法施行令23条、居住用財産の譲渡所得の特別控除

特定事由(相続直前に居住していなくても特別控除が使用できる場合)

6 法第三十五条第四項に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十九条第一項に規定する要介護認定又は同条第二項に規定する要支援認定を受けていた被相続人その他これに類する被相続人として財務省令で定めるものが次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。
イ 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の二第六項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第二十条の四に規定する養護老人ホーム、同法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム、同法第二十条の六に規定する軽費老人ホーム又は同法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム
ロ 介護保険法第八条第二十八項に規定する介護老人保健施設又は同条第二十九項に規定する介護医療院
ハ 高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五条第一項に規定するサービス付き高齢者向け住宅(イに規定する有料老人ホームを除く。)

二 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第二十一条第一項に規定する障害支援区分の認定を受けていた被相続人が同法第五条第十一項に規定する障害者支援施設(同条第十項に規定する施設入所支援が行われるものに限る。)又は同条第十七項に規定する共同生活援助を行う住居入所又は入居をしていたこと。

租税特別措置法施行令23条、居住用財産の譲渡所得の特別控除

被相続人が居住しなくなった後の家屋の使用要件

7 法第三十五条第四項に規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。
一 特定事由により被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなつた時から法第三十五条第四項の相続の開始の直前まで引き続き当該被相続人居住用家屋が当該被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと。
二 特定事由により被相続人居住用家屋が被相続人の居住の用に供されなくなつた時から法第三十五条第四項の相続の開始の直前まで当該被相続人居住用家屋が事業の用、貸付けの用又は当該被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。
三 被相続人が前項各号に規定する住居又は施設に入居又は入所をした時から法第三十五条第四項の相続の開始の直前までの間において当該被相続人の居住の用に供する家屋が二以上ある場合には、これらの家屋のうち、当該住居又は施設が、当該被相続人が主としてその居住の用に供していた一の家屋に該当するものであること。

租税特別措置法施行令23条、居住用財産の譲渡所得の特別控除

政令で定める家屋(メインの1の建築物に限る)

8 法第三十五条第四項に規定する政令で定める家屋は、同項の相続の開始の直前(当該家屋が対象従前居住の用に供されていた家屋である場合には、特定事由により当該家屋が被相続人の居住の用に供されなくなる直前)において、被相続人の居住の用に供されていた同項各号に掲げる要件を満たす家屋であつて、当該被相続人が主としてその居住の用に供していたと認められる一の建築物に限るものとする。

租税特別措置法施行令23条、居住用財産の譲渡所得の特別控除
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