空き家特例の譲渡の日はいつ?


今回は、新設される通達のうち、
空き家特例の「譲渡の日の判定」を確認します。

通達の内容

通達の内容を簡略します。


空き家特例に規定する
「譲渡の日の属する年の翌年2月15日」とは、

空き家を売却して3000万円
(相続人が3人以上の場合は2000万円)の特別控除を利用する人について、

所得税基本通達36-12(別の通達)に
基づく収入すべき時期を「譲渡の日」とする。


1つの物件を売却したのであれば、
譲渡の日は1日(1つ)だけのはずです。

譲渡の日はいつ?

「譲渡の日」の情報は、別の通達に基づく、
とありますので通達を確認してみましょう。
(長いので一番下に載せています。)

通達の内容は、次の2つです。
1、原則、物件の引渡しがあった日が「譲渡の日」となります。
2、ただし、物件の譲渡契約の効力発生日を「譲渡の日」として選択可能です。

留意点
譲渡の日(収入計上すべき時期)は、原則として
譲渡代金を決済を了した日より後になりません。
(代金を決済した後に、譲渡の日が到来することはありません。)

------代金決済日------譲渡の日---→
                   ×

1つの物件について、譲渡の日が2つ登場します。
選択できますので、選択した日が譲渡の日となります。

例えば、契約の効力発生日が令和5年、
実際の物件を引渡しが令和6年の場合、

譲渡の日について
・効力発生日を選択した場合は、令和5年分の確定申告の対象
・引渡し日を選択した場合は、令和6年分の確定申告の対象
となります。

翌年2月15日

空き家特例を利用する場合の注意点は、
翌年2月15日までに

1、亡くなった方が住んでいた家屋について耐震基準に適合すること
2、亡くなった方が住んでいた家屋の全部の取壊し等を行うこと

いずれかを満たす必要があることです。
(令和6年分以後の特例の取扱いです。)

翌年2月15日は、譲渡した年の翌年2月15日を指しますので、
契約の効力発生日と引渡し日が異なる年の場合は、
「譲渡の日の属する年の翌年2月15日」も2つ登場します。

譲渡した年が令和6年の場合、令和7年2月15日までに、
譲渡した年が令和7年の場合、令和8年2月15日までに、
上記1か2の要件を満たす必要がありますので、
「譲渡の日」については、確認しておきましょう。

参考通達

(譲渡の日の判定)
35-9の4 措置法第35条第3項に規定する「譲渡の日の属する年の翌年2月15日」とは、対象譲渡について同項の規定の適用を受ける者に係る所得税基本通達36-12《山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期》に基づく収入すべき時期を「譲渡の日」とし、その日の属する年の翌年2月15日をいうことに留意する。

「租税特別措置法(山林所得・譲渡所得関係)の取扱いについて」等の一部改正について(法令解釈通達)

(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)
36-12 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第7号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。(平3課資3-1、課所4-5改正、平21課資3-8、課個2-24、課審6-23、令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9改正)

(注)
1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。

2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

所得税基本通達

空き家特例

省略
第三号に掲げる譲渡をした場合にあつては、当該譲渡の時から当該譲渡の日の属する年の翌年二月十五日までの間に、当該被相続人居住用家屋が耐震基準(地震に対する安全性に係る規定又は基準として政令で定めるものをいう。第一号ロにおいて同じ。)に適合することとなつた場合又は当該被相続人居住用家屋の全部の取壊し若しくは除却がされ、若しくはその全部が滅失をした場合に限る。)には、第一項に規定する居住用財産を譲渡した場合に該当するものとみなして、同項の規定を適用する。

租税特別措置法、施行日令和6年1月1日
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